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「谷崎潤一郎賞」歴代受賞作品 一覧【2026年最新版】

  • 2026.9.7

谷崎潤一郎賞は、1965年に創設された、日本を代表する純文学賞のひとつ。その年を代表する優れた小説や戯曲に贈られ、歴代受賞者には大江健三郎、村上春樹、川上弘美、吉本ばなななど、名だたる作家が名を連ねている。本記事では、最新の受賞作品からさかのぼり、歴代谷崎潤一郎賞受賞作品を一挙紹介!ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。

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【文学賞 受賞作品】一覧

第62回 チェロ湖/いしいしんじ

チェロ湖

弦楽器のかたちの湖にボートで漕ぎだす若い男。野鳥の声の録音を生業とする彼が釣るのはアユだけではない。釣竿の先に、祖母が遺した蓄音器の針をつけて湖水に垂らすと、そのまっすぐな針に、一族四代、百年にわたる「ものがたり」が釣りあげられてゆく。野人めいたタフな祖父、蓄音器に魅せられた祖母、チェリストの母、神出鬼没の建築家の父、風の音、鳥のさえずり、駆けまわる馬、レコード、オーケストラ、数々の歌……。物語作家いしいしんじが並外れた才能を発揮した、心震わせる圧倒的長篇!

第61回 熊はどこにいるの/木村紅美

熊はどこにいるの

推定4、5歳の身元不明の男児が国道沿いのショッピングモールで保護されたーー。

暴力から逃れた女を匿う山奥の家に暮らす、リツとアイ。津波ですべてを失ったサキと、災後の移住者であるヒロ。震災から7年の地で、4人の女たちの運命が動き出す。圧巻の神話的サスペンス!!

第60回 続きと始まり/柴崎友香

続きと始まり

あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから?

日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。

第59回 水車小屋のネネ/津村記久子

水車小屋のネネ

「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」幅広い年代に支持されるハート・ウォーミングな物語で、 第59回谷崎潤一郎賞、2024年「本屋大賞」第2位など、読書界の話題をさらった津村記久子の代表作、ついに文庫化!

第58回 ミトンとふびん/吉本ばなな

ミトンとふびん

互いに事情を抱え、母親達の同意を得られぬまま結婚した外山くんとゆき世。新婚旅行先のヘルシンキで、レストランのクロークの男性と見知らぬ老夫婦の言葉が、若いふたりを優しく包み込む(「ミトンとふびん」)。金沢、台北、ローマ、八丈島。いつもと違う街角で、悲しみが小さな幸せに変わるまでを描く極上の6編。

第57回 アンソーシャル ディスタンス/金原ひとみ

アンソーシャル ディスタンス

心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、高アルコール飲料に依存する女。(「ストロングゼロ」)

十歳年下の彼氏の肌の若さに当てられ、整形沼へ走る女。(「デバッガ―」)夫から逃げだしたのに、今度は不倫相手に振り回される女。(「コンスキエンティア」)

生きる糧だった推しのライブが中止になり、彼氏と豪遊の心中旅行に繰り出す女。(「アンソーシャル ディスタンス」)

恋人と会えない孤独の日々の中、性欲と激辛欲が荒ぶる女。(「テクノブレイク」)

絶望に溺れる手で掴んだものが間違っていたとしても、それは私が今を生き抜くために、どうしても必要な希望だった。女性たちの疾走人生を鮮烈に描く五つの短編。

第56回 日本蒙昧前史/磯﨑憲一郎

日本蒙昧前史

大阪万博、ロッキード事件など、戦後を彩る事件をそれぞれの渦中の人物の視点で描く、芥川賞作家の最新長篇にして、文体の真骨頂。

第55回 飛族/村田喜代子

飛族

日本海のはずれ、朝鮮との国境に浮か養生島。 かつては漁業で栄えていた離島で暮らす三人の老女のうち、ナオの死で、いまはイオとソメ子のふたりが取り残されている。 九十二歳でひとり暮らしのイオの娘、ウメ子も六十五歳になった。 イオは海女をなりわいとして、八十五歳までアワビを獲るほど、心身ともに丈夫ではあるけれど、娘のウメ子としては心配でならない。 二十五年前の海難事故で命を落とした夫を供養するイオとソメ子。 異国からの密漁船による侵略や、地球温暖化など、不吉な未来を予感しながら、泰然と暮らしを守り続ける老女たち。 そんな島に、おそろしい台風が近づいてきて……。

第54回 焰/星野智幸

学生時代に仲のよかった友人は、すっかり変わっていた。まるで別人みたい。でも、同僚からも恋人からも、変わったのは私の方だと言われてしまう。いったい、何が起こったのか? 昨日までの平和な日常に、不穏な足音が迫る「木星」。

近隣諸国との武力衝突の危険性が高まるなか、人々が集団で〝あること〟を始める「ピンク」。突然泣き出してしまう〝謎の病〟が流行する「眼魚」。南米やアフリカなど各地からの力士が集い、頂点を極めようとする「世界大角力共和国杯」。

そして、祈りや驚嘆、希望などさまざまな思いを込めて語られた九つの物語は、最後に大きく燃え上がる。その先に待っていたのは……

第53回 名誉と恍惚/松浦寿輝

名誉と恍惚

日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇(チンパン)の頭目・蕭炎彬(ショー・イーピン)との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる……。祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者渾身の傑作長編。

第52回 薄情/絲山 秋子

薄情

境界とはなにか、よそ者とは誰かーー。土地に寄り添い描かれる、迫真のドラマ。

地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、東京から移住した木工職人・鹿谷さんとの交流を通し、徐々に考えを改めていく。そしてある日、決定的な事件が起き――。季節の移り変わりとともに揺れる主人公の内面を照らし出す、著者渾身の長編小説。

第52回 三の隣は五号室/長嶋有

三の隣は五号室

今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。

傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、

どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。――そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。

驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。優しく心を揺さぶる著者最高作。

各メディアで話題を呼んだアパート小説の金字塔。

第51回 ヤモリ、カエル、シジミチョウ/江國香織

ヤモリ、カエル、シジミチョウ

虫と話ができる幼稚園児の拓人、そんな弟を懸命に庇護しようとする姉、ためらいなく恋人との時間を優先させる父、その帰りを思い煩いながら待ちつづける母――。

危ういバランスにある家族にいて、拓人が両親と姉のほかにちかしさを覚えるのは、ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。

彼らは言葉を発さなくとも、拓人と意思の疎通ができる世界の住人だ。近隣の自然とふれあいながら、ゆるやかに成長する拓人。

第50回 東京自叙伝/奥泉光

東京自叙伝

明治維新から第二次世界大戦、バブル、地下鉄サリン事件、福島原発事故まで、帝都トーキョウに暗躍した謎の男の無責任一代記! 滅亡する東京を予言する一気読み必至の長編小説。(解説/原武史)

第49回 愛の夢とか/川上 未映子

愛の夢とか

あのとき、ふたりが世界のすべてになった――。

ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。

第48回 さよならクリストファー・ロビン/高橋源一郎

さよならクリストファー・ロビン

お話の中には、いつも、ぼくのいる場所がある──いつも考えている幼い少年と、なにかを書く仕事をしているパパ。「お子さま携帯」が時々「けいほう」を鳴らす日々。ぼくは何でもパパに聞き、パパは一緒に考える。物語をめぐり、あらゆる場所を訪れ、新しい物語の誕生に立ち会う。「虚無」と戦うものたちの物語。

第47回 半島へ/稲葉真弓

半島へ

「海松」を超えた、究極の「半島物語」。東京を離れ、志摩半島を望む町で暮らし始めた中年女性。孤独な暮らしのなか、彼女がそこで見つめたものは?

川端賞受賞作「海松」を超えた、究極の「半島物語」。谷崎潤一郎賞、中日文化賞、親鸞賞受賞作!

第46回 ピストルズ/阿部和重

「若木(おさなぎ)山の裏手には、魔術師の一家が暮らしている――」

田舎町で書店を営む石川は、あるキッカケから、町の外れに住む“魔術師一家”と噂される人々 に接触する。その名は菖蒲(あやめ)家。謎に包まれた一族の秘密を探るべく、石川は四姉妹の次女・あおばにインタビューを敢行するのだが……。そこで語られ始めたのは、一族の間で千年以上も受け継がれた“秘術”にまつわる目眩めく壮大な歴史だった。史実の闇に葬り去られた「神の町」の盛衰とともに明かされていく「アヤメメソッド」の正体と、一族の忌まわしき宿命とは。そして秘術の後継者である末娘・みずきが引き起こしてしまった取り返しのつかない過ちとは 一体――?やがて物語は二〇〇五年夏に起きた“血の日曜日事件”の隠された真実を暴き出してゆく……!

第45回 受賞作なし

第44回 東京島/桐野夏生

東京島

清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える──。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世記。

第43回 爆心/青来有一

爆心

殉教の火に、原爆の火に焼かれながら、人はなぜ罪を犯し続けるのか? 欲望と贖罪、エロスと死の背反にもがく人間の「業」を描く傑作。

第42回 ミーナの行進/小川洋子

ミーナの行進

美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない――

ミュンヘンオリンピックの年に芦屋の洋館で育まれた、ふたりの少女と、家族の物語。

第41回 告白/町田康

告白

人はなぜ人を殺すのか―。

河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。

第41回 風味絶佳/山田詠美

風味絶佳

「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。恋の妙味を描く珠玉の6篇。20年目のマイルストーン的作品集。谷崎賞受賞。

第40回 雪沼とその周辺/堀江敏幸

雪沼とその周辺

小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。

第39回 容疑者の夜行列車/多和田葉子

容疑者の夜行列車

旅人のあなたを待ち受ける奇妙な乗客と残酷な歓待。宙返りする言葉を武器にして、あなたは国境を越えてゆけるか。戦慄と陶酔の夢十三夜。

第38回 受賞作なし

第37回 センセイの鞄/川上 弘美

センセイの鞄

「センセイ」は私の高校時代の古文の先生。十数年ぶりに再会したセンセイと私の、セツセツとした淡き恋の行方は? 人気女流作家のオカシくて、哀しい最新長編恋愛小説。

第36回 遊動亭円木/辻原 登

高座をおりた遊動亭円木、金魚池にはまって死んだはずが…。落語に日常と幻想とが入り交じる十の奇妙な物語。谷崎潤一郎賞受賞作。

第36回 共生虫/村上 龍

共生虫

体内に謎の虫を宿したウエハラは、ある日ネットを通じ、それが「殺人と殺戮を許され委ねられた人間」だけに生息する「共生虫」だと刷り込まれる。そして「共生虫」に捧げる生け贄を求めて引きこもりから自らを解き放ったウエハラが、現実と接触し、覚醒していく先に見たものとは…。

2000年、第36回谷崎潤一郎賞を受賞した本小説は、1人の引きこもりの青年を通し、進みゆくネット社会のコミュニケーション不全を描いた問題作。

第35回 透光の樹/髙樹のぶ子

透光の樹

「心に決めていたんです……わたし、郷さんの娼婦になるって」加賀平野の清冽な自然に抱かれる鶴来町で、25年を経て再会した男女。テレビ業界駆け出しの青年は制作会社社長となり、セーラー服ではにかんでいた少女は、母となりやがて離婚、借金をかかえる病床の父のもとへ戻っていた。迸る性愛に突き動かされながらも、魂の奥底を求めあい、逢瀬を重ねる二人。人生の後半で燃えあがる奇跡の恋愛を描き、第35回谷崎潤一郎賞受賞を受賞。

第34回 火の山―山猿記/津島 佑子

火の山―山猿記(上)

火の山――とは富士山のこと。その富士山に寄り添いながら生きた有森家の変遷史。誕生と死、愛と結婚の型。戦中戦後を生きた人たちを描きながら、日本の近代を見つめ直した傑作長編小説。第51回野間文芸賞、第34回谷崎潤一郎賞受賞作。平成18年4月から放送されたNHK連続テレビ小説『純情きらり』の原案。

火の山―山猿記(下)

死ぬ時に、ああ、私にはもっと別の人生があった筈なのに、と自分の生涯を後悔しなければならない程不幸な事があるだろうか、と今まで私は思い続け、それで死ぬのも怖れ続けていた。でもこうした後悔は随分傲慢な思いなのかもしれない。――始まりがあれば、終りがある。死とはそうしたもの。

第33回 季節の記憶/保坂 和志

第33回(1997年) 谷崎潤一郎賞受賞

第33回 路地/三木 卓

路地

詩人の鋭敏な感覚が描き出す古都の別の貌!古刹が点在し高級住宅街が広がる古都鎌倉。そんな町にも様々な人生が交錯する「路地」がある。古書店主、人力車夫など市井の人々の細やかな真実を掬い上げた七篇

第32回 受賞作なし

第31回 西行花伝/辻 邦生

西行花伝

花も鳥も風も月も――森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために……。

高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う“美”に身を置き通した行動の歌人。流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。

第30回 虹の岬/辻井 喬

虹の岬

住友本社の次期総理事というトップの座を約束されながら、五十四歳で住友を去った川田順。著名な財界人として、また皇太子の作歌指導役まで務めた優れた歌人として名を馳せた彼が、六十歳なかばにして落ちた「老いらくの恋」を、端正に香り高く描く谷崎潤一郎賞受賞作。巻末に「困った宿命」「小説『虹の岬』について」二本の自作解説を付す。

第29回 マシアス・ギリの失脚/池澤 夏樹

マシアス・ギリの失脚

のどかな南洋の島国の独裁者を、島人たちの噂でも巫女の霊力でもない不思議な力が包み込む。物語に浸る楽しみに満ちた傑作長編。

第28回 花に問え/瀬戸内寂聴

花に問え

第28回(1992年) 谷崎潤一郎賞受賞

第27回 シャンハイムーン(戯曲)/井上ひさし

シャンハイムーン(戯曲)

魯迅は、いまさら言うまでもなく、アジアを代表する世界的な文学者の一人です。たとえば、1927年、ノーベル賞選考委員会は上海へ特使を送ってきました。その年の文学賞を受けてくれるかどうか、魯迅の胸中を打診しにきたのです。ところが魯迅は、それから10年とは生きておりませんでした。そしてここに不思議は、彼の臨終に立ち会ったのが、彼の妻と弟のほかは、みんな日本人だったという事実です。日本を心底憎みながら日本人を心から愛した魯迅。それはこの魯迅とその妻と、彼の臨終に立ち会った4人の日本人の滑稽な、しかしなかなか感動的な物語です。

第26回 やすらかに今はねむり給え/林 京子

やすらかに今はねむり給え

昭和20年5月から原爆投下の8月9日までの日々――長崎の兵器工場に動員された女学生たちの苛酷な青春。一瞬の光にのまれ、理不尽に消えてしまった〈生〉記録をたずね事実を基に、綿密に綴った被爆体験。谷崎潤一郎賞受賞作「やすらかに今はねむり給え」のほか恩師・友人たちの最期を鮮烈に描いた「道」を収録。鎮魂の思いをこめた林京子の原点。

第25回 受賞作なし

第24回 受賞作なし

第23回 夢の木坂分岐点/筒井 康隆

夢の木坂分岐点

サラリーマンか作家か? 夢と虚構と現実を自在に流転し、一人の人間に与えられた、ありうべき幾つもの生を重層的に描いた話題作。

第22回 砂丘が動くように/日野 啓三

砂丘が動くように

第22回(1986年) 谷崎潤一郎賞受賞

第21回 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)

〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。〈私〉の行く先は永遠の生か、それとも死か? そして又、〔世界の終り〕の街から〈僕〉は脱出できるのか? 同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか!?

第20回 群棲/黒井千次

群棲

向う三軒両隣ならぬ“向う二軒片隣”の四軒の家を舞台とし、現代の近郊の都市居住者の日常を鋭く鮮かに描き出す。著者の最高傑作と評され、谷崎潤一郎賞も受賞した“現代文学”の秀作。

第20回 この国の空/高井 有一

この国の空

戦争末期の東京――空襲に怯え、明日をもしれぬ不安な日々を過ごす十九歳の里子。母と伯母と杉並の家に暮らす彼女の前に、妻子を疎開させた隣人・市毛が現れる。切迫する時代の空の下、身の回りの世話をするうち、里子と市毛はやがて密やかに結ばれるが……。戦時を生きる市井の人々の日常と一人の女性の成長を、端正な筆致で描き上げた長編文学作品。

第19回 槿(あさがお)/古井 由吉

第19回(1983年) 谷崎潤一郎賞受賞

第18回 寂兮寥兮(かたちもなく)/大庭みな子

寂兮寥兮

幼なじみの万有子と泊は、ごっこ遊びの延長の如き微妙な愛情関係にあったが、それぞれの夫と妻の裏切りの死を契機に……。ふたりを軸に三世代の織りなす人間模様は、過去と今、夢とうつつが混じり合い、愛も性もアモラルな自他の境なき幽明に帰してゆく。デビュー以来、西欧への違和を表現してきた著者が親炙する老子の思想に触発され、生と性の不可解さを前衛的手法で描いた谷崎潤一郎賞受賞作。

第17回 みちのくの人形たち/深沢 七郎

みちのくの人形たち

お産が近づくと屏風を借りにくる村人たち、両腕のない仏さまと人形――奇習と宿業の中に生の暗闇を描いた表題作のほか七篇を収録。

第17回 吉野大夫/後藤 明生

第17回(1981年) 谷崎潤一郎賞受賞

第16回 一年の牧歌/河野 多惠子

第15回 ポロポロ/田中 小実昌

父の開いていた祈祷会では、みんなポロポロという言葉にならない祈りをさけんだり、つぶやいたりしていた――。

第14回 夏/中村 真一郎

第14回(1978年) 谷崎潤一郎賞受賞

第13回 日の移ろい/島尾 敏雄

第13回(1977年) 谷崎潤一郎賞受賞

第12回 田紳有楽/藤枝 静男

第12回(1976年) 谷崎潤一郎賞受賞

第11回 一休/水上 勉

第11回(1975年) 谷崎潤一郎賞受賞

第10回 安曇野/臼井 吉見

第10回(1974年) 谷崎潤一郎賞受賞

第9回 帰らざる夏/加賀乙彦

帰らざる夏

省治は、時代の要請や陸軍将校の従兄への憧れなどから100人に1人の難関を突破し陸軍幼年学校へ入学する。日々繰返される過酷な修練に耐え、皇国の不滅を信じ、鉄壁の軍国思想を培うが、敗戦。〈聖戦〉を信じた心は引裂かれ玉音放送を否定、大混乱の只中で〈義〉に殉じ自決。戦時下の特異な青春の苦悩を鮮烈に描いた力作長篇。

第8回 たった一人の反乱/戸川昌子

たった一人の反乱

出向を拒否して通産省をとび出し、民間会社に就職した馬淵英介は、若いモデルと再婚する。殺人の刑期を終えた妻の祖母が同居し始めたことから、新家庭はとめどなく奇妙な方向へ傾き、ついに周囲の登場人物がそれぞれ勝手な「反乱」を企てるに到る。――現代的な都会の風俗を背景に、市民社会と個人の関係を知的ユーモアたっぷりに描いた、現代の名作。

第7回 青年の環/野間 宏

第7回(1971年) 谷崎潤一郎賞受賞

第6回 闇のなかの黒い馬/埴谷雄高

闇のなかの黒い馬

第5回 「朱を奪うもの」「傷ある翼」「虹と修羅」 <三部作>/円地 文子

朱を奪うもの

朱の色を侵蝕する紫にも似た、女の成熟の秘密……。性のめざめから、冒険的恋愛の嵐たる青春をへて、見合い結婚の初夜にいたるひと筋の道程で、女の中に着実に形成されてゆく、妖しい美しさや恐ろしさを、あたかも肌に感じさせるかのように、明確な筆にとらえてゆく。冷然と凝視し、大胆で香り高い自伝的長編小説であり、発表されるや、ひときわ当時の文壇の注目を集めた作品。

傷ある翼

乳、子宮、歯と、女性としての機能を次々に喪失した主人公・宗像滋子は、生身の人間であることよりも、むしろ空想や観念の生活の豊かさを自覚し、文学表現のなかで女と性とを開花させようと決意する。厳格な家庭や、烈しい時代の流れのもとでの、プロレタリア演劇活動、恋愛、そして打算的な結婚を描いて、鮮烈な一少女像を刻む。――「朱を奪うもの」の第二部をなす。

虹と修羅

敗戦直後、宗像滋子は子宮癌の手術を受け、女の機能を喪失する。再発を恐れる彼女に、打算で結婚した夫と、学業も投げやりにして歌舞伎役者になろうとする娘との、神経を磨り減らす生活が重くのしかかる。そんな日々の中、彼女は昔の恋人との交際に慰められ、小説を書くことに情熱を燃やすが……。一人の女性の理性と情念の相剋。『朱を奪うもの』『傷ある翼』に続く三部作の終局。

第4回 受賞作なし

第3回 万延元年のフットボール/大江健三郎

万延元年のフットボール

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇。谷崎賞受賞。

第3回 友達・榎本武揚―戯曲/安部公房

第2回 沈黙/遠藤 周作

沈黙

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。

神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

第1回 抱擁家族/小島 信夫

抱擁家族

※本ページで紹介する情報は、2026年8月31日18時現在のものです。

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