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高齢患者の娘が「毎回、薬剤師さんの名札を撮りたい」一体、なぜ? その『驚きの理由』とは

  • 2026.9.2

人間の欲の中でも特に怖いのが、金銭にまつわることではないでしょうか。お金関係とは無縁と思われる医療や介護の現場でも、恐ろしい人間ドラマを見聞きしてしまうことがあります。今回は同僚の前田さん(仮名・薬剤師)から聞いた、薬局での驚きのエピソードをご紹介します。

写真を撮らせてほしい

私が薬局で担当をしていた患者の田代さん(仮名・90代女性)は認知症の治療中です。そのため娘の涼子さん(仮名・60代)が通院や薬局に毎回付き添っていました。同居はしていないけれど、田代さんのことを一番理解している人だと思っていました。

ある日、いつものように涼子さんに薬の説明をしていると「突然ですが、これから毎回薬局へ来たときに、前田さんの写真を撮ってもいいですか?」と相談をされました。

利用目的を尋ねると

私は驚き、写真の利用目的を尋ねました。すると涼子さんが「私がいつも母の付き添いをしていることを記録したいのです。スマホのカメラで撮れば、撮影日時は自動的に残るでしょ。 顔は写らなくてもいいので、前田さんの名札を撮らせてください」と怖いくらいの真顔で言われます。

私は理解が追い付かない様子で「付き添いの証明ですか。何に利用するのでしょうか」とさらに尋ねました。

驚きの理由とは

涼子さんは答えます。「母の前で言いたくないのですが……実は母の遺産相続のことで、私の兄弟との間でもめているんです。そこで私が普段から母の世話をしていることを記録に残せば、相続の時に有利になると知人から聞いたんです」

驚きすぎて言葉が出ない私に、涼子さんは「薬剤師さんは毎回記録を書いていますよね。遺産でもめたら前田さんの名前を出すので、何か聞かれたらちゃんと伝えてくださいね」と不気味な笑顔で言いました。

薬剤師ができることは

そばで待っていた田代さんは自分がいなくなった時の話をされていると理解したようで、悲しそうにしていました。その後、私は毎月、涼子さんからネームプレートの写真を撮られています。

まさか医療現場で遺産の話をされるなんて思わず、ショックな出来事でした。薬剤師が頼りにされているというより、利用されるような気がしてしまいました。

お金の問題には口を出せないので、せめて介護の大変さを理解してあげることが、薬剤師のできることなのかなと思っています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:伊村 えりか
薬剤師歴12年。就業を通じて多くの人生や、悩み、奇跡などに直面し、それらを伝えるべく執筆活動を開始。職場や同世代の女性との会話をもとに、医療現場の裏側から家族の「あるある」まで、多岐にわたるテーマで執筆を手がける。子育て
サイトのアンバサダーを務め、身近な視点を活かしたコラムを執筆中。

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