1. トップ
  2. エピソード
  3. 「仕事を辞めれば、家に戻って手伝えるだろう」兄と弟に家業を継がせたかった義父。だが、兄の一言に救われた

「仕事を辞めれば、家に戻って手伝えるだろう」兄と弟に家業を継がせたかった義父。だが、兄の一言に救われた

  • 2026.8.29

「次男だから」と安心していた

夫は次男です。

結婚を決めたころ、私は義実家の家業について深く考えていませんでした。

家業では専門の資格が必要な仕事があり、その資格を持っている長男が実家で働いていました。夫は別の会社に勤めていて、資格もありません。

だから私たちは、このまま今の場所で暮らしていくのだと思っていたのです。

ところが結婚してから、義父は折に触れて夫へ実家に戻るよう勧めるようになりました。

「仕事を辞めれば、家に戻って手伝えるだろう。兄弟でやったほうが安心だ」

家業には資格が必要な仕事だけでなく、事務や取引先への対応などもあります。

義父としては、息子二人で家業を支えてほしかったのでしょう。

夫はそのたびに、「今の仕事を辞めるつもりはないよ」と断っていました。

義母も強く責めるわけではありません。ただ、「近くにいてくれたら、お父さんも安心するんだけどね」と口にすることがありました。

年末やお盆など、親族が集まるたびに似た話が出ます。

私も何度か言葉を挟みそうになりましたが、夫自身が断っている以上、私が前に出る話ではないと思い、黙っていました。

そうしたやり取りは、気づけば15年近く続いていました。

ずっと黙っていた兄が、口を開いた

ある年の集まりでも、義父はいつものように夫へ話を向けました。

「そろそろ考えてもいいんじゃないか。こっちに戻ればできることはいくらでもある」

夫は少し間を置いてから、「何度も言ってるけど、今の仕事を続けるよ」と答えました。

そこで、それまで話を聞いていた長男が湯呑みを置きました。

「もう、その話はいいんじゃないか」

義父が長男を見ると、長男は淡々と続けました。

「こっちの仕事は僕がやってるし、人手が必要なら必要な形で考えればいい。弟が仕事を辞めて戻ることとは別の話だよ」

夫から何度聞いても納得しなかった義父でしたが、その日はしばらく黙っていました。

義母も「そうね」と小さく答え、それ以上話を続けることはありませんでした。

そのあとも食事は普段どおり続きました。大げさに誰かが謝ったわけでも、家族関係が急に変わったわけでもありません。

ただ、それ以来、夫に実家へ戻るよう求める話はほとんど出なくなりました。

帰りの車で夫が、「兄貴もずっと気になってたのかな」とつぶやきました。

私は「そうかもしれないね」と答えました。

15年続いた話が終わったのは、誰かが言い負かしたからではありません。同じ家業の中にいる長男が、「家業を続けること」と「弟が戻ってくること」は別だと伝えた。その一言が、義父にとって一番受け止めやすかったのだと思います。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ