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妻「毎晩のように目が覚める」“設計士の忠告”を無視して“1階を寝室”に→深夜1時に襲われた大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.10.3
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「深夜1時ごろ、隣の家の室外機の音で毎晩のように目が覚めていました。寝室の窓から1.5m先で、給湯機とエアコンの室外機が動いていたんです」

そう話すのは、1年前に郊外の住宅地に大手ハウスメーカーで注文住宅(3LDK・延床約94㎡/土地約110㎡、約5,050万円)を建てたAさん(30代女性・会社員、夫と二人暮らし)です。夫とは結婚2年目の共働きです。

エコキュートなどに代表される家庭用ヒートポンプ給湯機は、空気の熱を利用してお湯を沸かすため、光熱費を抑えやすいというメリットがあります。Aさんが家を建てた土地の北側には、先に建っていた隣の家の給湯機の室外機と、エアコンの室外機3台が、境界沿いに並んでいました。

Aさん夫婦の希望は、南側をリビングに、1階の北側を寝室にすることでした。けれども設計担当からは、「お隣の給湯機は、電気代の安い深夜にお湯を沸かします。この位置に寝室を置くのはおすすめしません。寝室は2階の南東にしませんか」と、はっきり止められていました。

それでもAさん夫婦は「老後まで住む家だから、寝室は階段を使わない1階に」と譲らず、1階の北側を寝室にしたのです。

家庭用ヒートポンプ給湯機は、夜にお湯を沸かす

家庭用ヒートポンプ給湯機は、屋外に置く室外機(ヒートポンプユニット)で空気の熱を集めてお湯を沸かし、タンクにためておく仕組みです。多くは電気代の安い夜の時間帯に運転するため、周りが静かな深夜に音を出すことになります。

運転音には、低周波音(低い音や、耳では聞き取りにくい空気の振動)も含まれます。窓や壁が音を通しにくい家では、高い音が小さくなるぶん、低い音がかえって目立つことがあります。低い音の感じ方は、人によっても違います。

2014年には、消費者庁の消費者安全調査委員会が、隣の家の給湯機の音で不眠や頭痛などの症状が出たという申し出を調べ、報告書をまとめました。問題の給湯機は申し出た人の家から約2mの場所にあり、運転は夜11時から朝7時まででした。報告書は、この事案では運転音が症状の発生に関与していると考えられ、運転音に含まれる低周波音も関与している可能性がある、としています。

業界団体の一般社団法人日本冷凍空調工業会も、設置の手引きとなる「据付けガイドブック」で、自分の家や隣の家の寝室のそばを避けて置くよう呼びかけています。

なお、低周波音はスマートフォンの騒音計アプリでは正確に測れません。環境省も、低周波音の大きさを知るには、低周波音レベル計などの特別な測定器が必要だとしています。

夏の夜、毎晩1時に目が覚める

入居して初めての夏のことです。夜になると、隣の家のエアコンの室外機3台と給湯機が一緒に動き、Aさんは深夜1時ごろに目が覚める日が続きました。寝不足で、日中の仕事にも支障が出ていたといいます。

隣の家は先に建っていて、給湯機も室外機も前からそこにありました。あとから建てた側が、動かしてほしいと頼むのは、現実的にハードルが高いものです。

Aさんと夫が選んだのは、自分の家でできる対策です。低い音は窓の対策だけでは防ぎにくいため、寝る部屋そのものを、室外機から離れた場所に移すことにしました。

設計担当が勧めていた2階の南東の部屋を寝室にし、1階の北側の部屋は書斎にしています。いまは、夜中に目が覚めることはなくなったそうです。

寝室は、隣の室外機を見てから決める

家庭用ヒートポンプ給湯機は、少ない電気でお湯を沸かせる、暮らしに役立つ設備です。置き場所に気を配れば、隣の家との音の心配も減らせます。

一方で、先に建っていた隣の家の機械は、あとから動かしてもらうのが難しいものです。だからこそ、寝室の位置は、隣の室外機がどこにあるかを見てから決めることが欠かせません。

・家庭用ヒートポンプ給湯機は、主に夜に運転する。寝室の窓の近くに隣の家の室外機がないか、間取りを決める前に確かめる
・運転音には低周波音も含まれ、感じ方には個人差がある。低周波音はスマートフォンの騒音計アプリでは正確に測れない
・隣の家が先に建っているなら、対策は自分の側で考える。あとから機械を動かしてもらうのは難しい
・低い音は、窓の対策だけでは防ぎにくい。眠れないときは、寝室を室外機から離れた部屋に移すことも考える

間取りを決める前に、隣の家の室外機がどこに並んでいるか、境界沿いを一度歩いてみてください。

参考:
家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案(消費者庁)
家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブックについて(一般社団法人日本冷凍空調工業会)
よくわかる低周波音(環境省)
低周波音問題に関するQ&A(環境省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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