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妻「『もうやめた』と言っていたのに…」管理会社からの注意文書で発覚、在宅勤務中の“夫の裏切り”【一級建築士は見た】

  • 2026.10.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「管理会社から『ベランダでの喫煙はご遠慮ください』という文書が届いたんです。夫はたばこをやめたと言っていたのに…」

そう話すのは、結婚1年目のIさん(30代女性・会社員、夫と二人暮らし)です。共働きで、この春、賃貸マンション4階の2LDK(57㎡・家賃16万円)に入居しました。

Iさんはたばこの煙が苦手です。夫は結婚前に禁煙を約束し、「もう吸っていない」と言っていました。

契約のときには仲介会社から、「このマンションでは、使用細則でベランダでの喫煙が禁止されています」と説明も受けています。使用細則とは、共用部分の使い方などを細かく定めた、マンションのルールのことです。

ところが在宅勤務が増えた夫は、Iさんが出社する日の午後に、ベランダで1日3本ほど吸うようになりました。

隣の部屋から管理会社へ「煙が部屋に入ってくる」と苦情が寄せられ、私たちの郵便受けに管理会社からの注意の文書が届いたのです。

ベランダの煙は、隣の部屋に入る

ベランダは屋外のように見えますが、隣室との間は薄い仕切り板1枚で隔てられているだけです。煙は風に乗って、隣の窓や給気口から室内に入ります。

ベランダは、住む人が専用に使えるものの、建物全体の共用部分にあたります。多くのマンションはその使い方を使用細則で定めていて、喫煙を禁じる物件が増えています。

では、細則で禁止されていなければ大丈夫なのでしょうか。そうとは言えません。2012年(平成24年)12月、名古屋地方裁判所が、マンションのベランダでの喫煙について損害賠償を命じた事例があります。

この裁判では、上の階に住む人が、下の階の人のベランダでの喫煙で煙が部屋に入って困り、手紙や電話で繰り返しやめるよう求めていました。それでも下の階の人は、平日の午前中だけで5〜6本の喫煙を続け、煙を防ぐ対策もとりませんでした。裁判所は、相手に大きな迷惑をかけていると分かっていながら喫煙を続け、何の対策もとらなかった点を重く見て、この喫煙を不法行為(法律上の責任を負う行為)と認め、慰謝料5万円の支払いを命じました。「使用細則でベランダの喫煙は禁止されていない」という反論は、認められませんでした。

ただし、この判決は「ベランダで吸えばすぐに違法になる」といったものではありません。相手が困っていると分かったあとも続けた、という事情が重く見られています。また、判決の内容や慰謝料の額は、喫煙の頻度、建物の構造、相手の健康被害の程度など、個別の事情によって変わります。

郵便受けの文書を、妻が開けた

管理会社からの文書を開けたのは、Iさんでした。宛先は世帯主である夫です。夫は初め「外で吸っていたから」と言いました。しかし、「ベランダでの喫煙について、隣室から苦情が寄せられています」という一文で、Iさんは夫の「やめた」がうそだったと知りました。

隣の部屋の窓は、ベランダの仕切り板から1mも離れていません。

夫は隣の部屋に謝りに行き、管理会社にも連絡を入れました。Iさんに「マンションのルールを破ったことはもちろん、やめたとうそをついていたことも嫌だった」と言われ、夫は自分で禁煙外来を予約し、その場で通院日を決めました。

隣の部屋からの苦情は、それきり止まっています。

ベランダは、隣の部屋の続き

ベランダで風に当たる時間は、暮らしの息抜きです。使い方さえ守れば、隣の人とも気持ちよく暮らせます。

一方で、煙は仕切り板1枚の向こうに届き、場合によっては法律上の責任を問われることもあります。また、副流煙で他者の健康を害するおそれもあります。だからこそ、「外だから大丈夫」という感覚を捨てることが欠かせません。

・ベランダは共用部分で、使い方は使用細則で定められている。喫煙を禁止する物件は増えている
・細則に禁止の定めがなくても、相手が困っていると分かったうえで喫煙を続ければ、不法行為になり得る(賠償金額や判決は個別の事情で異なる)
・煙は隣の窓や給気口から室内に入る。仕切り板で煙を防ぐことはできない
・禁煙外来にかかる場合、条件を満たせば健康保険が使え、標準的な治療の自己負担は1万3,000円〜2万円程度が目安

思わぬトラブルを防ぐためにも、マンションのルールを遵守することが大切です。

※たばこは20歳になってから

参考:
ベランダでの喫煙に対し、損害賠償命令が出された事例/名古屋地方裁判所 平成24年12月13日(大阪市マンション管理支援機構)
マンション標準管理規約(国土交通省)
禁煙治療(国立がん研究センター がん情報サービス)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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