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「大惨事になってしまった…」実家ブロック塀の異変を放置した50代男性→9月に突然届いた“予想外の知らせ”

  • 2026.9.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

両親から実家を相続したものの、自分や家族が住む予定がなく、そのまま空き家になっているという方もいるのではないでしょうか。「いずれ売るかもしれない」「今後どうするか決まっていない」と考えていると、できるだけお金をかけずに現状のまま維持したくなるものです。

しかし、誰も住んでいないからといって、建物や敷地で起こるトラブルまでなくなるわけではありません。

今日は、管理会社から実家のブロック塀について何度も指摘を受けていたものの、対応を先延ばしにしてしまった50代男性に起きた“思わぬトラブル”をご紹介します。

以前から指摘されていたブロック塀の異変

以前、空き家になった実家の扱いについて相談を受けた、50代のAさんのお話です。Aさんは、両親から築40年以上の戸建てを相続していました。

しかし、Aさんは妻とともに実家から離れた地域に自宅を構えて生活しており、実家に戻って暮らす予定はありません。かといって、すぐに売却する決心もつかなかったため、ひとまず空き家として残すことにしました。

遠方に住むAさんは、実家の巡回や建物の確認を空き家管理会社へ依頼していたそうです。そんななか、管理会社から気になる報告が入るようになりました。問題になったのは、敷地と道路の境にある古いブロック塀でした。

「ひび割れがありますし、少し傾いているところもあります。このブロック塀は放置しないほうがいいですよ。一度、専門業者に見てもらいましょう」

管理会社からは、このように対応を勧められていたといいます。ところが、Aさんには一つの迷いがありました。

「この家、売るかもしれないんですよね。売るかもしれない家に、今から何十万円もかけるのはちょっと…」

実家を残すのか、売却するのか。それすら決まっていない段階で修繕費を負担することに抵抗があったのです。

妻からも「危ないと言われているなら、見てもらったほうがいいんじゃない?」と言われましたが、Aさんは「40年以上残っている塀だし、数ヶ月で急に倒れることはないだろう」と考え、対応を先延ばしにしてしまいました。

9月、突然届いた「通行人がケガをしました」という連絡

それから数ヶ月後。9月に入り、雨や風の強い日が続いていたある日、Aさんのもとへ実家に関する連絡が入りました。内容を聞いて、Aさんは言葉を失ったといいます。

「ブロック塀の一部が崩れて、通行していた方に当たったようです。ケガをされていて、病院へ行かれています」

幸いにも命にかかわるような大きな事故ではありませんでした。それでも、自分が所有する実家のブロック塀が崩れ、通行人にケガをさせてしまったことに変わりはありません。

Aさんは急いで実家へ向かい、崩れたブロック塀の状況を確認しました。その後、ケガをした方へ連絡を取り、改めて謝罪したといいます。さらに、残っているブロック塀について専門業者へ確認を依頼したところ、安全面を考慮して撤去・改修することになりました。

「あのとき見てもらっていれば…。お金をかけたくないと思って先延ばしにしたのに、結局大惨事になってしまった」

しかし、Aさんが頭を抱えたのは、ブロック塀の撤去・改修費だけではありませんでした。ケガをした通行人の治療費や慰謝料などについても、対応が必要になったのです。

空き家でも所有者には大きな責任がある

ここで知っておきたいのが、民法717条に定められている「工作物責任」です。ブロック塀のような「土地の工作物」の設置や保存に問題があり、通行人などに被害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性があります。

民法717条では、原則として、まず工作物を占有している人が責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防ぐために必要な注意をしていた場合は、所有者が責任を負うと定められています。

ここで注意したいのが、空き家の管理を管理会社へ依頼しているケースです。

管理会社へ巡回や点検を依頼していたとしても、その会社が必ずしも民法717条上の「占有者」にあたるとは限りません。誰がどこまで責任を負うのかは、管理契約の内容や実際の管理状況などによって異なります。そのため、「管理会社に任せているから、所有者である自分には責任がない」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。

今回のAさんも、管理会社から事前にブロック塀のひび割れや傾きを指摘され、専門業者に確認してもらうよう勧められていました。それにもかかわらず対応を先延ばしにしてしまったことを、事故が起きてから強く後悔したといいます。

空き家は「売るか決めてから直す」では遅いこともある

空き家を相続すると、「売却する」「賃貸に出す」「自分たちで使う」「しばらく保有する」など、今後どうするか迷うことがあります。

方針が決まっていない段階では、できるだけ大きなお金をかけたくないと考える方もいるでしょう。しかし、安全にかかわる部分まで「売るかどうか決めてから考えよう」と先送りにするのは注意が必要です。

国土交通省では、ブロック塀の高さや厚さ、基礎の有無などに加えて、傾きやひび割れがないかも点検項目として挙げています。安全点検によって危険性が確認された場合には、付近を通る人への注意表示や補修、撤去などの対応が必要です。

また、注意したいのはブロック塀だけではありません。外壁や屋根材なども、劣化した部分が落下したり飛散したりすれば、近くを通る人や周辺の建物などに被害を与えるおそれがあります。特に道路や歩道に面している部分は、定期的に状態を確認しておきましょう。

管理会社などから「このまま放置するのはおすすめしない」「専門業者に確認してもらったほうがいい」と指摘された場合は、そのままにせず、まずは現状を詳しく確認することが大切です。そのうえで、必要に応じて補修や撤去などを検討しましょう。

参考:建築物の既設の塀(ブロック塀や組積造の塀)の安全点検について(国土交通省)



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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