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メゾンの太陽のような存在。ディオールのPRマネージャー、マチルド・ファヴィエが死去。

  • 2026.8.19

【訃報】ファッション界に衝撃が走っている。ディオールのPRディレクターを務めるマチルド・ファヴィエが、8月17日(月)、恋人でプロデューサーのニコラ・アルトマイヤーとともに遭遇した交通事故により亡くなった。

2026年のカンヌ国際映画祭に出席したマチルド・ファヴィエ(右)と映画プロデューサーである恋人のニコラ・アルトマイヤー。photography: Pascal Le Segretain / Getty Images

彼女はジュネーヴ、ロンドン、ニューヨーク、パリを行き来する暮らしを送っていたが、何よりも彼女が体現していたのは、生まれながらの洗練されたセンスを持つパリジェンヌだった。陽気な貴族階級と華やかなジェットセットを受け継ぐ、まさにその申し子ともいえる存在。14年にわたり、彼女はディオールのVIPたちの象徴的な存在であり続け、ディオールのPRディレクターとして、世界中から訪れるスターたちを迎え、衣装を用意する役割を担っていた。彼女はまた、カーラ・ブルーニ、プッチのアーティスティック・ディレクターを務めるカミーユ・ミチェリ、インテリアデコレーターのヴァンサン・ダレ、インディア・マダヴィら、パリ社交界の名士たちとも親しい友人関係にあった。2人の子どもの母親だったマチルド・ファヴィエは、8月17日(月)、トゥアールとパルトネーの間に位置するエールヴォーの県道938号線で発生した激しい交通事故により57歳で亡くなった。

受け継がれたエレガンス

いつも短く髪を切り揃え、輝くような笑顔を讃えたすらりと背の高い女性、マチルド・ファヴィエの人生は、まるでおとぎ話のようだった。彼女のインスタグラムでは、「ソーシャライト」としての日々を垣間見ることができた。パリでのオートクチュールのショーに足を運び、ヴェルサイユで超がつくほどエレガントなランチを楽しみ、ヴェネツィアの高級ホテルでカクテルを嗜む―そんな華やかな日常を過ごしていた。最近では、妹のヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌが手がけるディオールのハイジュエリー・コレクションを祝うため、リド・カジノで開かれたパーティにも出席していた。

ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌと妹のマチルド・ファヴィエ。(2025年1月27日、パリ)photography: Zabulon Laurent/ABACA

また、彼女のアカウントには、インテリアや美術品、ヨガ、ヘルシーな食事へのこだわり、そして乳がんとの闘いについても綴られていた。エレガンスと人生を楽しむ術は、まさに彼女のDNAに刻まれていたのだ。母フランソワーズ・デュフールは、生まれながらのエレガンスを備えた女性だった。アントワーヌ・ドゥ・カステラーヌ侯爵と離婚した後、IBMのコミュニケーション部門のディレクターを務めていた父ブルーノ・ファヴィエと再婚。そんな母は、幼いマチルドに早くから美しいものを愛する感性を教え込んだ。マチルド・ファヴィエは、ジャーナリストのフレデリック・デデとともに執筆し、2024年にフラマリオン社から出版した著書『Mathilde à Paris(マチルド・ア・パリ)』についても、「すべてを教えてくれた母へのオマージュとして書いた」とよく語っていた。母は、家を美しく整えることに長けた、偉大な「インテリア上手」であり、マチルドにあらゆることを教えてくれた女性だった。

ファッションへの情熱

マチルド・ファヴィエは、パリ16区で、7歳年上の姉ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ(現在はディオール・ジュエリーのアーティスティック・ディレクター)と、妹のポリーヌ(ブランド「ブルーム・パリ」のクリエイター、ポリーヌ・ファヴィエ=エナン)とともに育った。彼女は幼い頃から、ジャクリーヌ・ド・リベやマドレーヌ・カスタンなど、自身が「刺激を与えてくれる女性たち」と語っていた人々に囲まれていた。やがて少し成長すると、ランベール館で開かれる舞踏会や、ラランヌ家でのディナー、エドゥアール&アリエル・ド・ロスチャイルド夫妻の邸宅で催されるレセプションにも足を運ぶようになった。まさに、裕福な家庭に生まれた華やかな青春だった。叔父の名はジル・デュフール。カール・ラガーフェルドの右腕として知られていた彼は、マチルドにカンボン通りのメゾンでの最初の研修の機会を取りつけてくれた。マチルドは当時わずか14歳。ファッションへの情熱を生まれながらに持っていた彼女は、そのまま自分の進むべき道を歩み続けることになる。

2025年3月4日、ディオールの2025-2026年秋冬ウィメンズコレクションのショーでのマチルド・ファヴィエとジス。photography: Stephane Cardinale – Corbis / Corbis via Getty Images

ディオールのスターたちを支えた立役者

高校卒業後、将来ディオールのPR責任者となるマチルドは、しばらくファッション・ジャーナリズムに携わり、のちにふたりの子ども、エロイーズとカルロ(現在28歳と26歳)の父親となるロベルト・アゴスティネッリと出会う。2011年、ディオールのデルフィーヌ・アルノーから声をかけられ、ディオールへ。そこでVIP対応を取り仕切る中心人物となり、今日のラグジュアリーブランドの存在感を支えるうえで極めて重要な役割を担うことになる。

カンヌ国際映画祭では、ここ数年、ディオールと「マダムフィガロ」とともに、映画界の名だたる人物が一堂に会するディナーの「共同ホスト」も務めていた。彼女の時代には、ショーの最前列に座る常連として、K-POP界のアイコンであるジスをはじめ、ナタリー・ポートマン、リアーナ、カミーユ・コッタン、レティシア・カスタ、ディーヴァ・カッセル、ジェニファー・ローレンス、アニャ・テイラー=ジョイといったスターたちと親しい間柄を築いていた。彼女は、ショーが開催されるたびに、まばゆいばかりの笑顔でスターたちを迎えていた。その笑顔を、彼女を知る人々は決して忘れることはないだろう。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

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