1. トップ
  2. 子だくさん、一戸建てマイホーム、マイカー所有…なぜ地方の「マイルドヤンキー」が“金持ち”に見えるのか

子だくさん、一戸建てマイホーム、マイカー所有…なぜ地方の「マイルドヤンキー」が“金持ち”に見えるのか

  • 2026.8.15
写真はイメージです
写真はイメージです

地方や郊外で、高卒で地元の企業に就職し、子どもが複数人いて、ミニバンサイズの車に乗っている若い夫婦を見かけることがあります。そういった夫婦に対して、SNSでは「お金はどこから出ているのだろう?」と疑問の声が挙がることがあります。俗にいう不良とは異なり、地元への強い帰属意識や保守的な価値観を持ちながら、穏やかに生活する若年層を指す「マイルドヤンキー」という言葉があります。そこで、同ワードにひも付けながら、自身が生まれ育った地域で豊かな暮らしをする20~30代の若者の価値観を探ってみたいと思います。

大卒枠の仕事は給与が高いとは限らない

筆者が社会人になって気づいたのは、専門職であっても非正規雇用の割合が高いということです。例えば、司書、学芸員、研究員は大学・大学院を修了しなければなりませんが、正規雇用の枠は少なく、時給や月給はそれほど高くないのが実情です。スーパーマーケットのレジスタッフやファミレスのホールスタッフよりも時給が低い求人を見かけたこともあります。

また、5年ほど前、筆者はデータ入力のアルバイトをしていました。都心の立派なオフィスで、服装も自由、人間関係の悩みも身体的な疲労もなく働けましたが、時給は当時の最低時給を少し超える程度でした。専業で従事する大卒の人も比較的多く、彼らの中には「働きやすいけど、給与が低くて、生活は大変」と本音を明かしてくれた人もいました。 大学に進学すると、大手企業や公務員の大卒枠の選考を受ける“切符”を得られます。しかし、それ以外の選択をすると、想定外にも経済的に厳しくなることは珍しくありません。

筆者自身も該当しますが、体力をさほど消耗しない大卒枠の仕事に就き、推し活やグルメ、ファッションを楽しむ余裕はあるものの、“マイホームもマイカーも夢のまた夢”という人は都会に少なくありません。

地方・郊外に裕福な“マイルドヤンキー”がいる理由とは?

高校卒業後、地元で就職した人の中には、親から土地を譲り受けたり、住宅購入資金の一部を援助してもらったりするケースもあります。また、東京では月6~8万円の予算では単身者向けの物件が中心ですが、地方では同じ予算でファミリー向けの賃貸物件に住めます。

さらに、高卒であっても体力次第では、給与が高い仕事に就ける見込みもあります。例えば、建築や管工事などの現場職、工場の作業員は、高卒にも門戸が開かれています。厳しい労働環境や夜勤の代償ですが、給与は高めに設定されています。

また、建設業は個人経営の会社が多い業種です。中学・高校を卒業後、知り合いの会社に就職して経験を積み、しばらく働いた後に独立する人も少なくありません。近畿地方に住む知人が家の修繕を依頼した業者は、まさにそうした企業でした。知人は「社長さんが一人で来て作業してくれたよ。若い男性がテキパキと働いてくれた」と話していました。 そのほかにも、都会と地方では教育費の負担にも大きな差があります。地方・郊外で暮らす若者は、実家の近くに住む傾向が強いため、学童や学童代わりの習い事の月謝が必要ない家庭がほとんどです。また、地方は公立の学校が中心であり、中学受験の文化もありません。

ただし、誰もが地元に残れば安定した生活が保障されるわけではないと思います。大都市の富裕層とは異なり、地元密着型の実業や堅実な労働で生活基盤やマイホームを築きつつ、実家との良好な関係、学生時代に築いた人間関係、周囲との協調性、大型車への投資など、さまざまなモノが求められると思います。

“マイルドヤンキー”が令和の社会問題を救う?

近年、若者のホワイトカラー志向が強まっていますが、ホワイトカラーを取り巻く環境は、AIの影響や都市部を中心とした家賃や物価の高騰などにより、厳しくなる一方です。 そうした中でも、地方・郊外で暮らす若者たちの中には、子どもを複数人育て、製造業や建築業など社会の基盤を支える重要な役割を担っていたりします。

さらに、老後についても、孤独死のリスクや高齢者に対する物件の貸し渋りなどの問題に直面する可能性は比較的低いといえるかもしれません。

令和の日本では、介護業界の人材不足、若者の地方流出、少子化、高齢者の住宅問題、独身者の老後など、さまざまな課題を抱えています。そうした中で、いわゆる“マイルドヤンキー”と呼ばれる彼らが、日本全体にとって貴重な“光”となる存在になる可能性もあります。

西田梨紗

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ