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「これはもう、テーマパークだろ」砂湯、蒸し湯、温泉吸入に地獄蒸し!別府で見つけた温泉ファンの楽園【九州の日帰り温泉vol.18】

  • 2026.8.12

大分県・別府といえば、日本有数の温泉地として知られる場所。街を歩けばいたるところから湯けむりが立ち上り、独特の硫黄の香りや温泉文化が日常に溶け込んでいる。なかでも鉄輪(かんなわ)エリアは、地中から噴き出す豊富な蒸気を暮らしのなかで活用してきた、“湯けむり文化”が根付くエリアだ。温泉の蒸気で野菜や卵、海鮮などを蒸し上げる「地獄蒸し」は、別府を代表する名物グルメのひとつ。温泉の力で素材のうま味がぎゅっと凝縮され、温泉の成分をごちそうとして体内に取り入れる、別府ならではの食文化である。

地獄蒸しは別府鉄輪に古くから伝わる食文化である
地獄蒸しは別府鉄輪に古くから伝わる食文化である

さらに、温泉の蒸気熱を利用して体をじんわり温める「蒸し湯」も鉄輪ならではの体験。古くから鉄輪に伝わる蒸し風呂は、いわば「天然サウナ」。昨今人気のサウナとは少し異なり、湿度が高めのため息苦しさを感じにくいのが特徴だ。温泉成分に包まれ、呼吸するたびに温泉成分を体内に吸収し、体の中から温まることができる。

歩いても温泉、食べても温泉、入っても温泉。街全体が温泉でできている——そんな別府ならではの魅力がギュッと凝縮されているのが鉄輪エリアなのである。

湯けむりが立ち上る、鉄輪温泉街の石畳。まさに「歩いても温泉」!
湯けむりが立ち上る、鉄輪温泉街の石畳。まさに「歩いても温泉」!

源泉を全身で味わう、“温泉版テーマパーク”「ひょうたん温泉」

そんな鉄輪エリアにある「ひょうたん温泉」は、一般的な日帰り温泉施設とはひと味違う。砂湯、蒸し湯、瀧湯、露天風呂、家族風呂に加え、食事まで楽しめる、まさに“温泉版テーマパーク”ともいえるスポットなのである。今回、家族旅行や友人同士の旅行が増える夏休みシーズンに紹介するのにピッタリな、ひょうたん温泉を取材。その魅力を伝えたい。

ひょうたん温泉内には、温泉の地熱を利用した砂湯もあり、入浴料+840円(浴衣代)で体験可能 画像提供:ひょうたん温泉
ひょうたん温泉内には、温泉の地熱を利用した砂湯もあり、入浴料+840円(浴衣代)で体験可能 画像提供:ひょうたん温泉

ひょうたん温泉の敷地内には開放感あふれる露天風呂をはじめ、湯量豊富な大浴場、頭上から豪快に湯が落ちる瀧湯、じんわりと体を温める“鉄輪版・天然サウナ”の蒸し湯、砂に埋まって体を温め、デトックス効果のある砂湯などがそろい、鉄輪に古くから伝わる温泉文化やこの地ならではの温泉体験が楽しめる。また、ひょうたん温泉の魅力は、温泉に“入る”だけで終わらないことにもある。敷地内には飲食棟があり、地獄蒸しを自分で作ることができる「地獄蒸体験専門店 蒸汎景(じょうはんけい)」や、別府の郷土料理がそろう「お食事処 温泉めし ゆらり」も。温泉に入って、食べて、休んで、また入る…というくつろぎ方が自由にできるので、ついつい何時間も滞在してしまう。気づけば半日、あるいは1日経っていた、なんてことも!そんな滞在型の利用ができるのも、ひょうたん温泉の魅力であろう。

ひょうたん温泉には100年の歴史がある。創業時に作られたひょうたん型の岩風呂は、今も女湯にある 画像提供:ひょうたん温泉
ひょうたん温泉には100年の歴史がある。創業時に作られたひょうたん型の岩風呂は、今も女湯にある 画像提供:ひょうたん温泉

今回はより詳しくひょうたん温泉について知るために、ひょうたん温泉の施設部部長・森茂雄さんに話を聞いてみた。

こちらは男湯のひょうたん風呂 画像提供:ひょうたん温泉
こちらは男湯のひょうたん風呂 画像提供:ひょうたん温泉

――ひょうたん温泉は、さながら温泉のテーマパークのようですね。なかでも蒸し湯は鉄輪ならではの温泉文化だと思います。普通のサウナとの違いを教えていただけますか?

ひょうたん温泉の蒸し湯は、温泉の蒸気を利用した昔ながらの蒸し風呂です。一般的なサウナがストーブで室内を高温にするのに対し、蒸し湯は温泉から湧き上がる天然の蒸気で室内を温めるため、やわらかく包み込むような温かさが特徴です。鉄輪では古くから地熱や噴気を生活に取り入れてきた歴史があり、蒸し湯もその温泉文化の一つとして親しまれてきました。温泉の恵みをそのまま活かした入浴法は、鉄輪ならではの貴重な体験と言えます。

こちらは男湯の蒸し湯。やさしい温かさで湿度も高いので、サウナが苦手な人にもチャレンジしてみてほしい 画像提供:ひょうたん温泉
こちらは男湯の蒸し湯。やさしい温かさで湿度も高いので、サウナが苦手な人にもチャレンジしてみてほしい 画像提供:ひょうたん温泉

――おすすめの入浴方法も教えていただけますか?

5~10分程度を目安に無理のない範囲で蒸し湯を楽しみ、その後に露天風呂で外気に当たったり、水分補給を取り入れながらゆっくりと湯めぐりをしてみてください。

――砂に埋まって温まる“砂湯”も別府ならではの文化ですね!セルフスタイルの砂湯とのことですが、入浴のコツはありますか?

当館はセルフスタイルなので、砂の量や深さをご自身で調整でき、初めての方でも無理なく自分のペースでお楽しみいただけます。熱く感じる場合は、砂を浅めに掛けるのがおすすめです。砂湯の砂は温泉の熱で温められており、体の芯からじんわり温まることができます。

また、男女一緒に利用できるので、ファミリーやご友人同士、カップルで会話を楽しみながら入れるのも魅力です。お子さまは砂遊びのような感覚で楽しめるため、「砂湯デビュー」にぴったり。大人も子どもも一緒に笑顔になれる、ひょうたん温泉ならではの体験です。

子どもは遊び感覚で楽しめる砂湯。別府の温泉文化の体験が、楽しい思い出に! 画像提供:ひょうたん温泉
子どもは遊び感覚で楽しめる砂湯。別府の温泉文化の体験が、楽しい思い出に! 画像提供:ひょうたん温泉

――ひょうたん温泉では竹製温泉冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」を使用して、源泉を冷却していると聞きました。これはどういう装置なのでしょうか?

「湯雨竹」は、竹製の温泉冷却装置です。高温の源泉を竹に流し、自然の風に触れさせることで、水で薄めることなく適温まで冷ますことができ、環境にもやさしい仕組みです。この技術のおかげで、源泉そのままの温泉をお客様に味わっていただくことができています。

自然の力で源泉を冷ますので、環境にもやさしい「湯雨竹」 画像提供:ひょうたん温泉
自然の力で源泉を冷ますので、環境にもやさしい「湯雨竹」 画像提供:ひょうたん温泉

――「湯雨竹」はどのような経緯で生まれたものでしょうか?

以前は、高温の源泉を自然に冷ますのに時間がかかるため営業は21時までとしていました。しかし「仕事帰りや遅い時間にしか来られない方にも温泉を楽しんでいただきたい」という想いもあり、開発したのが「湯雨竹」です。竹を伝わせて冷ますことで、短時間で適温にできるようになり、営業時間の延長も可能になりました。「湯雨竹」は源泉を大切にしたいというこだわりと、お客様への想いから生まれた装置です。

女湯に備えられた冷却温泉風呂「湯雨竹」 画像提供:ひょうたん温泉
女湯に備えられた冷却温泉風呂「湯雨竹」 画像提供:ひょうたん温泉

――驚くことに、水風呂も「湯雨竹」を利用して冷却しているんですよね。そこまで源泉100%にこだわる理由を教えてください。

ひょうたん温泉は、「源泉十割=源泉100%」を掲げており、それは水風呂も例外ではありません。一般的な水風呂とは異なり、温泉成分を含んだやわらかな肌あたりが特徴で、温泉と水風呂を交互に楽しむことで、源泉ならではの心地よさを感じていただけます。「源泉十割」(源泉100%)へのこだわりは、温泉の恵みをそのままお客様へ届けたいという、ひょうたん温泉の創業以来からの変わらない方針・想いです。

――スタッフおすすめの“夏休みのファミリーでの過ごし方”を教えてください。

夏休みにご家族でお越しいただくなら、最初はみんなで一緒に楽しめる砂湯がおすすめです。セルフスタイルなので、お子さまも砂遊びをするような感覚で楽しめ、ご家族の思い出作りにぴったりです。砂湯のあとは大浴場へ。瀧湯や露天風呂、蒸し湯など、それぞれ違った温泉を巡りながら、ご家族で「次はどのお風呂に入ろう?」と会話を楽しみながら入浴できるのも、ひょうたん温泉ならではの魅力です。入浴後は、「お食事処 温泉めし ゆらり」で別府名物料理を味わったり、中庭の飲泉堂で季節のフルーツジュースや温泉たまご、プリンを食べたりと、休憩を挟みながらゆったりお過ごしいただけます。

こちらは女性露天風呂。男湯の露天スペースも広々としている。 画像提供:ひょうたん温泉
こちらは女性露天風呂。男湯の露天スペースも広々としている。 画像提供:ひょうたん温泉

ひょうたん温泉は、一度ご入館いただければ、お風呂・お食事・無料休憩室などを自由に行き来できますので、お風呂だけでなく、お食事や休憩も含めて一日ゆっくり過ごしていただけると思います。暑い夏でも、家族みんなで別府ならではの温泉文化をぜひ体験してみてください。

食事処でいただける「別府冷麺(1300円)」や「別府式 石焼きまぜちゃんぽん(1650円)」 画像提供:ひょうたん温泉
食事処でいただける「別府冷麺(1300円)」や「別府式 石焼きまぜちゃんぽん(1650円)」 画像提供:ひょうたん温泉

――お食事といえば、「地獄蒸体験専門店 蒸汎景」が2026年6月にリニューアルしたそうですが、どのような点が変わりましたか?そもそも“地獄蒸し”とはどのような料理でしょうか?

地獄蒸しとは、温泉から噴き出す約100度の高温蒸気を利用して食材を蒸し上げる、別府に古くから伝わる伝統的な調理法です。高温の蒸気で一気に火を通すことで、素材本来の旨味や甘味を引き出し、余分な脂を落としてヘルシーに仕上がるのが特徴です。

その地獄蒸しが味わえるのが「地獄蒸体験専門店 蒸汎景」で、今回のリニューアルでは、小さなせいろを自由に選び、自分好みに組み合わせて楽しめるスタイルへ生まれ変わりました。ご家族やご友人同士でシェアしながら、さまざまな食材を気軽に味わっていただけます。

――人気の地獄蒸しメニューは?

人気メニューは、「糀仕立て 豚肉せいろ」と「チーズフォンデュ」です。「糀仕立て 豚肉せいろ」は、糀に漬け込んだ豚肉のやわらかさと旨味を楽しめる一品。「チーズフォンデュ」は、とろけるチーズに蒸し野菜やソーセージを絡めて味わう、お子さまから大人まで人気ナンバーワンのメニューです。それぞれ600円というお手頃な価格ですので、別府ならではの地獄蒸し料理をお好みの組み合わせでお楽しみください。

左から「糀仕立て 豚肉せいろ(600円)」「本日の魚のレモン蒸し(600円)」「うなぎ蒲焼(600円)」 画像提供:ひょうたん温泉
左から「糀仕立て 豚肉せいろ(600円)」「本日の魚のレモン蒸し(600円)」「うなぎ蒲焼(600円)」 画像提供:ひょうたん温泉

――さきほどはファミリーにおすすめの過ごし方を聞きましたが、女性グループにおすすめの美肌・デトックスコースがありましたら教えてください。

そうですね。こちらのコースでもまずは砂湯で体をじんわり温めるのがおすすめです。その後は大浴場や露天風呂に入浴…といきたいのですが、ここでのポイントは“蒸し湯”ですね。じっくり蒸されたあとに源泉100%の水風呂へ…と、温冷浴を交互に取り入れることで、心も体もリフレッシュできます。

そしてお腹が空いたら、「地獄蒸体験専門店 蒸汎景」へ行き、ご自身で食材を選び地獄蒸し料理を作ってみてはいかがでしょうか?体験としても楽しいですし、美容や健康を意識する方にとても人気があります。その後は中庭に隣接したスペースに“温泉吸入”がございますので、ぜひご体験ください。喉にもよく、スチーム効果で美容にもいいんですよ。

【写真】温泉の蒸気を吸入してリフレッシュ! 画像提供:ひょうたん温泉
【写真】温泉の蒸気を吸入してリフレッシュ! 画像提供:ひょうたん温泉

最後は飲泉堂で、人気のかぼすサイダーや体に優しい季節のフルーツジュースでクールダウン…足湯につかりながら飲むのもおすすめです。

飲泉堂ではカボスサイダー(580円)や地獄の釜出しプリン(300円)などもある 画像提供:ひょうたん温泉
飲泉堂ではカボスサイダー(580円)や地獄の釜出しプリン(300円)などもある 画像提供:ひょうたん温泉

――ひょうたん温泉内にはたくさんのスポットがありますが、来客の反応で一番リアクションが大きい場所はどこでしょうか?

私が特にお客様のリアクションが印象的だと感じるのは、中庭と瀧湯(打たせ湯)です。中庭は受付を通って最初に目に入る場所なので、お客様の表情がよく見えるのですが、「わあ、素敵!」「こんな空間があるんですね」と足を止めてくださる方がとても多いです。木々に囲まれた落ち着いた雰囲気や、温泉たまごや飲泉堂がある空間に、「ここでゆっくり過ごしたい」と感じていただけるようです。

大浴場の瀧湯は、ご覧になると「すごい迫力!」「こんな打たせ湯は初めて!」と驚かれる方も多く、ひょうたん温泉ならではのスケール感を楽しんでいただいています。ひょうたん温泉は、お風呂に入るだけでなく、館内を散策しながら思い思いの時間を過ごせるのも魅力の一つだと思っています。

男湯の瀧湯。上から勢いよく落ちてくる湯は子どもにも人気が高い 画像提供:ひょうたん温泉
男湯の瀧湯。上から勢いよく落ちてくる湯は子どもにも人気が高い 画像提供:ひょうたん温泉

現在の旅行トレンド“体験旅”がひょうたん温泉で叶う!

別府には数え切れないほどの温泉がある。しかし、ひとつの施設内で、砂に埋まり、温泉蒸気に蒸され、滝のような湯を浴び、温泉成分を体内に吸入し、地獄蒸しまで味わう…というバラエティに富んだ場所はない。ひょうたん温泉は、ただ湯につかるだけではなく、別府に根付く温泉文化そのものを“体験する場所”という顔も兼ね備えていた。森さんによると「この夏は『館内回遊型のスタンプラリー』を実施します」とのこと。取材時はまだ最終調整中だったが、「温泉に入る」だけでなく、ファミリーで会話を楽しみながら館内を巡るという体験を楽しめる企画のようだ。また記事中のインタビューで登場した食事処については「食事のみでの利用も可能」だという。1日たっぷり遊ぶもよし、半日使うもよし、ちょっと食事で立ち寄るのもよし。湯けむりが立ち上る鉄輪の温泉街には、子どもも大人も虜にする“温泉版テーマパーク”が待っていた。この夏休みは、いつものレジャー施設とは少し異なる“温泉施設で遊ぶ旅”へ出かけてみるのもよいかもしれない。

女湯には大きなひょうたん風呂も! 画像提供:ひょうたん温泉
女湯には大きなひょうたん風呂も! 画像提供:ひょうたん温泉

【ひょうたん温泉】

大分県別府市鉄輪159-2

電話番号:0977-66-0527

〈大浴場〉

■入浴料:13歳以上1160円、7~12歳400円、4~6歳280円、3歳以下無料

※砂湯は入浴料+840円(浴衣代)で入浴可

■営業時間:9時~25時※大浴場は24時まで、砂湯は23時まで(最終受付22時30分)

■休館日:なし(4・6・12月に施設整備の臨時休業あり)

■大浴場の数:内湯男1女1、露天男1女1、砂湯(混浴)1

■泉質名:ナトリウム-塩化物泉(弱酸性低張性高温泉)

■湯の特徴・効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、きりきず、やけど、虚弱児童、慢性婦人病、慢性便秘など

〈貸切風呂〉

■入浴料:1室60分2400円(大人3名まで・1名増えるごとに700円)

■営業時間:9時~25時(最終受付24時)

■休館日:なし(4・6・12月に施設整備の臨時休業あり)

■貸切風呂の種類:貸切内湯8、貸切露天6

取材・文=大庭かおり

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