1. トップ
  2. エピソード
  3. 「もしかして、私のこと好きなの?」ただの推し友のはずだった。だが、近すぎる距離感に縁を切った瞬間

「もしかして、私のこと好きなの?」ただの推し友のはずだった。だが、近すぎる距離感に縁を切った瞬間

  • 2026.8.9

推し友のはずだった

研修で隣になった人と、たまたま同じアイドルグループのファンだと分かって意気投合した。

連絡先を交換してからは、推しの活躍を報告し合うだけの気楽な関係。ただそれだけで、じゅうぶん楽しかった。

新しいグッズが出た、あの衣装がよかった、次のツアーはどこに入る。

そんな他愛のない話を、時間を気にせず送り合える。年齢も立場も関係なく、推しの話題でだけ繋がっていられる。その距離感が、私にはちょうどよかった。

ある日、同じ舞台を同じ日に観に行くと分かった。相手は少し言いにくそうに切り出してきた。

「もし良ければ、観劇のあとで少しだけお話ししない?」

「いいですよ、ぜひ!」

軽い気持ちで、そう返した。

同じ日なのだから、終わったあとに少し話せたら嬉しい。

それ以上の意味は、何もなかった。

「迷惑だったらごめんね。本当に、数分でもいいから」

何度そう言われても、私の答えは変わらない。楽しみですね、と繰り返すだけだった。

好きと言わせたい人

「OKしてもらえるなんて思わなかった。信じられない」

そこまでは、まだよかった。

問題は、その次だった。

「もしかして、私のこと好きなの?」

画面を見て、指が止まった。

深い意味なんてない。推し友として、少し話したいだけ。

それをどう伝えればいいのか、言葉に詰まった。

「ハッキリしてほしい、好きなの?」

返事を送っても、また同じ問いが飛んでくる。

一日に何度も、何度も。

「言ってくれなきゃ分からないよ。ちゃんと答えてほしい」

深い意味はないと、何度も伝えようとした。

友達として楽しみにしているだけだと、言葉を選んで返した。それでも相手は、私の返事のどこかに「好き」を探し当てようとするばかりだった。

軽い好意を、執着へすり替えられていく感覚。返せば返すほど、相手の熱はこちらを追い詰めるほうへ向かった。

通知の音が鳴るだけで、指先が冷たくなる。

楽しみだったはずの舞台が、いつのまにか気の重い予定に変わっていた。

開演を待つあいだも、あの人の視線を気にして過ごすのだろうか。

想像しただけで、気持ちが沈んだ。

これ以上は、無理だ。私はその人の連絡先をブロックした。

自分の心の平穏を、自分で守ること。静かになった画面を、私はそっと閉じた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ