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「通帳も土地も、私が引き継ぐから」毎日両親を支えた母に、叔母が告げた言葉。親族が距離を置いた理由

  • 2026.8.6

六年間、隣の家へ通い続けた母

母は四人きょうだいの長女です。

祖父母の家は私たちの家の隣にありました。

祖母が体調を崩してからの六年間、母はほぼ毎日、祖父母のもとへ通っていました。

朝食の支度を終えると隣へ向かい、祖母の着替えや食事を手伝います。通院の日には付き添い、買い物や洗濯も引き受けていました。

介護サービスを利用していたものの、日々の細かな用事まですべて任せられるわけではありません。

「今日は少し食べてくれたのよ」

夜になって戻ってきた母は、疲れていても祖母のことばかり話していました。

一方、三番目の叔母が顔を見せるのは、年に数回ほどでした。

「私には介護なんて無理だから」

叔母にそう言われても、母は責めませんでした。

「できる人が、できることをすればいいのよ」

母はいつも、そう言っていたのです。

やがて祖母が亡くなりました。それからも母は、一人になった祖父の食事を届けたり、病院へ送迎したりしていました。

叔母が管理し始めた祖父の財産

祖母の四十九日を過ぎた頃から、叔母が頻繁に祖父の家へ来るようになりました。

「お父さんも一人じゃ不安でしょう。お金のことは私が見てあげる」

叔母は祖父と一緒に銀行へ行き、通帳や印鑑の保管場所も把握するようになりました。

ある日、祖父が集めていた骨董品が部屋からなくなっていることに、母が気づきました。

「あの壺や掛け軸はどうしたの?」

母が尋ねると、叔母は淡々と答えました。

「お父さんと相談して整理したの。置いておいても仕方ないでしょう」

祖父に確かめると、売却には同意したようでした。しかし、いくらで売れたのか、そのお金をどうしたのかは、母にもほかのきょうだいにも知らされませんでした。

その後、祖父が亡くなりました。

家族が集まった席で、叔母は封筒から書類を取り出しました。祖父は生前、公正証書遺言を作り、土地と家を叔母に相続させるとしていたのです。

「お父さんの希望だから。通帳も土地も、私が引き継ぐことになっているの」

母は書類を見つめたまま、しばらく何も言いませんでした。

専門家へ相談すれば、遺留分を請求できる可能性もあると聞きました。それでも母は、家族同士で争いたくないと手続きをしませんでした。

ただ、末の叔父は叔母に尋ねました。

「姉さんが長い間、父さんと母さんを支えてきたことは、父さんに伝えていたのか」

「相続とは関係ないでしょう。私は私で、お父さんの財産を管理していたんだから」

叔母はそう言い切りました。

その場にいた親族は、誰も言葉を返しませんでした。

少しずつ途絶えた連絡

土地と家を相続した叔母は、古い家を取り壊し、新しい家を建てました。

それから親族が集まる機会は、目に見えて減っていきました。

叔母が財産を相続したからではありません。これまで母がしてきたことを当然のように扱い、説明を求めたきょうだいにも背を向けたことが、皆の心に残っていたのだと思います。

数年後、叔母が母に電話をかけてきました。

「最近、誰からも連絡が来ないの。どうしてなの?」

母は少し黙ったあと、静かに答えました。

「みんな、財産が欲しかったわけじゃないのよ。ただ、ひと言でも話してほしかったんだと思う」

叔母は何も言わず、電話を切りました。

それ以来、母と叔母が顔を合わせることはほとんどありません。

母は祖父母の介護について、今も後悔はないと言います。

けれど、隣に建つ新しい家を見るたび、ときどき寂しそうな表情を浮かべます。失われたのは財産ではなく、長い年月をかけて築いてきた家族の関係だったのかもしれません。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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