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シャネルの若手監督支援プロジェクトの最終章「パリ上映会」をレポート!

  • 2026.8.5
Photograph / (C)CHANEL

プロジェクト「CHANEL AND CINEMA–TOKYO LIGHTS」

映画館「サン・ジェルマン・デ・プレ」での上映会の様子。 CHANEL

映画には、国境を越え、人の心をつなぐ力があります。

シャネルは、映画への深い敬意と未来の才能への希望を込めて、若き映画監督を支援するプロジェクト「CHANEL AND CINEMA–TOKYO LIGHTS」を2024年に始動しました。コンペティションで選ばれた首藤凜監督、田中さくら監督、古川葵監督は、そのサポートのもと、それぞれの感性を映した短編映画を製作。2026年4月に東京「シャネル・ネクサス・ホール」で初披露された作品は、7月8日、映画文化が息づくパリ「サン・ジェルマン・デ・プレ」の映画館へと舞台を移し、現地の観客を前に上映されました。
プロジェクトの集大成ともいえるパリでの上映会の模様とともに、世界へ一歩を踏み出した3人の若手監督が語る、創作への思いや未来への展望をお届けします。

東京で芽吹いた物語が、映画の都・パリへ

作品の上映前には是枝裕和監督と3人の若手監督が登壇し、トークイベントが行われた。 CHANEL

2026年7月8日、3人の若手監督による短編映画作品が、パリ左岸の歴史ある映画館「サン・ジェルマン・デ・プレ」で上映されました。知識人や映画人が集い、シネマカルチャーを育んできたこの場所は、シャネルの支援による改修を経て、新たな文化発信拠点として生まれ変わった劇場です。東京で誕生した3本の映画が、このスクリーンで披露されたことは、若き監督たちにとって大きな節目となりました。

上映に先立ち行われたトークセッションには、メンターを務めた是枝裕和監督と、首藤凜監督、田中さくら監督、古川葵監督が登壇。是枝監督は、本プロジェクト誕生の背景について、「日本では若手監督を継続的に支える仕組みや資金が十分にありません。フランスのような支援のあり方を日本でも実現したいと考えていましたが、非常に難しかった。それをシャネルとのパートナーシップによって形にすることができました」と語りました。

プロジェクトのメンターを務めた是枝裕和監督。 CHANEL

是枝監督は、「私ができるのは、背中を押し、ときにはプレッシャーを与えること」と笑顔を交えながら説明。一方で、3人の脚本を読んだときには、自身には思いもつかない想像力や世界観に驚かされたと明かしました。「だからこそ3人を選び、その先を見てみたいと思った。助言はしましたが、3人ともそれを鵜呑みすることはなく、それぞれの道を進んでいきました。その姿から私自身が多くを学びました」。

さらに、完成した3作品について「『優しさ』というテーマを描くこと、そして実践することは、とても難しい。それでも、この3作品にはそれぞれ異なる、美しい優しさのかたちが映し出されています」と総括し、若い才能への期待をにじませました。

上映後のレセプションでは、作品について活発に意見が交わされました。国や文化の違いを超え、映画を通じて新たな対話が生まれるひとときでした。

若き3人の監督がパリで感じた光

左から、古川葵監督、首藤凜監督、田中さくら監督。 CHANEL

上映の翌日、サン・ジェルマン・デ・プレの老舗カフェ「レ・ドゥ・マゴ」で、首藤凜監督、田中さくら監督、古川葵監督にお話を伺いました。パリでの上映を終えた3人の言葉からは、作品が国境を越えて届いた確かな手応えと、新たな創作への意欲が伝わります。

『親切がやって来る』首藤凜監督

首藤凜監督。 CHANEL

首藤凜監督が製作したのは、『親切がやって来る』。主人公・美央子は、泥酔した女性を介抱するが、その親切心がやがて戸惑いや恐れに変化していくストーリー。他者との関わり方を考えさせる1作でした。

「上映時はとても緊張しましたが、会場からの拍手にほっとしました」と首藤監督。上映後には観客の方々を交えたカクテルパーティがあり、作品について積極的に語り合えたそうです。そこでの対話を通して、短編映画ならではの「余白」が、パリの皆さんそれぞれの感性で受け止められたことを実感したといいます。

製作面では、「通常は企画を書いてから実際に撮り始めるまで、長い時間がかかるものですが、ワークショップで演出を発表し、是枝監督から助言をいただいた後、短期間で実際の映画製作に移行できたことはとてもありがたかったです。また表現の制約がなく、自由に創作させてもらえたことも本当に貴重なことでした」と振り返ります。そして映画や芸術が生活に溶け込むパリで過ごした時間は「大きな刺激になりました」と笑顔を見せました。

『夜明け』田中さくら監督

田中さくら監督。 CHANEL

田中さくら監督が手掛けたのは、ふたり暮らし最後の朝を迎える姉妹の会話劇 『夜明け』。幼いころの記憶の食い違いが美しい映像のなかで浮かび上がる作品です。

田中監督は、「映しているのは、日常的で個人的な何気ない姉妹の会話です。皆さん、それぞれの家族や友人を重ね合わせて鑑賞してくださって、とてもいい反応を得ることができました。躍起になって説明しなくても、納得できる表現をすれば、国境を越えて人には伝わるのだ、と感じました」と語ります。

また、このプロジェクトでは、是枝裕和監督との対話やワークショップを通して得た学びが非常に大きかったそうです。「私は映画サークル出身。映画製作は独学だったため、専門知識に不安がありましたが、第一線で活躍する監督との対話やマスタークラスを通じ、具体的なノウハウを得られ、本当にありがたかったです。今後の土台になる経験になりました」と話しました。

『夕べの訪問客』古川葵監督

古川葵監督。 CHANEL

古川監督の『夕べの訪問客』は、弁護士・洋子と、かつて離婚裁判で救えなかった依頼者との密室劇。訪問の理由を明かさないまま居座る依頼者に、洋子が恐怖を募らせる様子が描かれました。

「カクテルパーティでフランスの方と会話した際、『ユーモアの感覚がフランスと似ていて受け取りやすかった』ですとか、『上手く言えないけれど、深いところでコネクトしている気がする』という感想をいただき、とても嬉しかったです」と古川さん。

また今回のプロジェクトでは、実践的なワークショップに参加できたことや、最前線で活躍する方々から直接作品に対するフィードバックをもらえたことが大きな糧になったといいます。さらにパリでは、シャネルのクリエイションにも触れたことが印象深い体験になったとも。「滞在中に、ショーの鑑賞やシャネルのアパルトマン訪問など、インスピレーションを得る機会を設けていただきました。ファッションの解釈や見方、「麦の穂」や「獅子(レオ)」、「No.5」といったコードや文脈を読み解く面白さを実感し、映画製作のヒントになりました」。

そして3人は「また一緒にパリへ来たい」と口を揃えて語りました。作品だけでなく、映画を語り合える仲間との出会いも、このプロジェクトがもたらした大きな財産だったようです。

こうした体験をサポートしたメゾン、シャネル。映画への衣装提供や製作への支援、名作映画の修復プロジェクト、映画祭や映画機関への協力など、多面的な活動を通じて映画文化を育んできました。「CHANEL AND CINEMA–TOKYO LIGHTS」も、その取り組みのひとつで、次世代の映画監督たちにとって、まさに❝光❞になっているようです。


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