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「相続は争続(そうぞく)」を身をもって実感。弟から突然、調停を申し立てられ……売れない実家を手にした世帯年収380万・63歳男性がその代わりに失ったもの

  • 2026.7.22

親の遺産相続は、時に仲の良かった兄弟関係を一変させてしまうことがあります。神奈川県で年金とパート収入で暮らす63歳の男性は、母親の遺産である「実家」の相続を巡り、たった一人の弟と泥沼の争いに発展しました。家庭裁判所での遺産分割調停にまで持ち込まれたという過酷なトラブルの顛末と、そこから得た「残された家族への最後の愛情」について教えてもらいました。

回答者のプロフィール

ママテナ編集部マネーチームは2026年4月、インターネット上で「お金にまつわるトラブル」について、エピソードを募集するアンケートを実施しました。今回紹介するエピソードは、そのアンケートに寄せられたものです。回答者である63歳男性のプロフィールは以下の通り。

回答者本人:男性(63歳)
居住地:神奈川県
家族構成:妻(60歳)、長男(34歳)、長女(31歳)
回答者の職業:年金生活&パート(マンション管理員)
配偶者の職業:年金生活&パート
現在の世帯年収:約380万円(年金合計240万円 + 夫婦のパート代140万円)
回答者個人の年収:約240万円(年金150万円 + パート代90万円)
住居形態:戸建て(賃貸)
現在の金融資産状況:約900万円(貯金、積立型の保険含む)

弟からの激しい主張と疑い。買い手がつかない実家を巡る対立

神奈川県内の一戸建てで妻と暮らす63歳の男性。マンション管理のパートと年金で生計を立てる男性は3年前、88歳で亡くなった実母の遺産を巡って、実の弟との深刻な対立を経験しました。

母が男性たち兄弟に遺したのは、地方にある評価額約1000万円の古い実家と、300万円ほどの現金。長男である男性は、自分自身が実家を継いで管理していかなければ、そう思っていました。

ところが、都内に住む弟がそれに反対。「自分は現金が欲しい。実家を売却して、現金を半分ずつ(法定相続分)分けるべきだ」と強く主張してきたと言います。

とはいえ、実家があるのは過疎化が進む地域。売りに出してはみたものの、全く買い手はつきませんでした。

すると弟は「わざと売らないようにして自分だけ住むつもりだろう」などと男性を疑い始めたと言います。

兄弟間の話し合いは、平行線をたどりました。最終的には弟側が弁護士を立てて、遺産分割調停を申し立てる事態に。

もともとは仲がよかった兄弟。それなのに「お金が絡んだ途端、罵り合うような関係になってしまいました」と、男性は振り返ります。

精神的ストレスと減っていく老後資金に絶望する日々

調停を申し立てられたことで、男性の生活は一変しました。

「最も困ったのは、精神的なストレスと弁護士費用です」と明かす男性。弟との関係は完全に断絶し、法事も一緒に行えない状態になってしまったと言います。

それと同時に、誰も住んでいない実家の固定資産税や庭の手入れ、雪かきなどの維持費が全て男性の肩にのしかかってきました。

調停費用も数十万円単位で発生。男性は「老後のために貯めていた大切な貯金がどんどん削られていくのが非常に不安で、夜も眠れない日々が続きました」と、当時の過酷な状況について教えてくれました。

「なぜ、たかだか数百万円のことで、たった一人の兄弟がここまで変わってしまうのか」。そんな絶望的な気持ちを抱いていたという男性。

母親が亡くなった悲しみに浸る余裕もなく、弟からの攻撃的なメールや弁護士からの書類に怯える毎日は「これまでの人生で一番辛い時期でした」と振り返ります。

「正直、こんなことになるなら、家も土地も何もかもいらない、全て捨ててしまいたいと投げやりな気持ちになることも多かったです」。男性は極限まで追い詰められていました。

調停での和解を経て実家を相続。その後に残ったのは……

自分たちだけでは解決できない……そう悟った男性。家庭裁判所での遺産分割調停では、第三者である調停委員に間に入ってもらい、現在の土地の適正な市場価値を客観的に出してもらったと言います。

さらに、男性自身も歩み寄ることを決断。「現金300万円は全て弟が相続し、代わりに実家は私が相続して将来的に処分する」という妥協案を提示し、根気強く話し合いを続けました。

最終的には弟も「実家を売るのは現実的ではない」と納得。男性が現金を放棄して実家を単独相続することで、ようやく合意に至ったそうです。

しかし、トラブルが残した爪痕は深く「和解したとはいえ、弟とは今も連絡を一切取っておらず、修復不可能な溝が残りました」と男性。兄弟間で起きたトラブルは悲しい結末を迎えてしまいました。

兄弟間での相続トラブルを経て学んだ、家族への「最後の愛情」

もし当時の自分に戻れるなら……男性は「不動産の価値を早めに査定しておき、兄弟で『もし売れなかったらどうするか』を事前にシミュレーションしておくべきだった」と後悔を口にします。

また、「親が『兄弟仲が良いから大丈夫』と思い込んでいるのが一番危険」と指摘。「母が元気なうちに、遺言書を書いてもらうべきでした」と痛感しているそうです。

たった一人の弟と絶縁するまでに及んだ、遺産相続トラブル。男性は「『相続は争続(そうぞく)』という言葉は本当だと実感しました。どんなに仲の良い家族でも、お金や不動産が絡むと人は変わります」と今の思いを明かします。

自分自身の苦い経験を経て、自らの子どもたちには同じ思いをさせたくない、とも感じている様子。今のうちから自分の資産を整理し、公正証書遺言を作成するつもりだと言います。

「準備をすることが、残された家族への最後の愛情」。男性は最後に、自らが身をもって学んだ重い教訓を教えてくれました。

 

(文:ママテナ編集部マネーチーム)
※この記事は、ママテナ編集部マネーチームが2026年4月、「お金にまつわるトラブル」をテーマに実施したアンケート(インターネット回答)に寄せられたエピソードを元に作成しています。
※写真はイメージで本文とは関係ありません。

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