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「ジムは出会いの場?論争」に、60代の私が思うこと|連載 #60代のリアル

  • 2026.7.16

SNSである男性の「ジムで気になる女性に声をかけたい」という投稿に「気持ち悪い」「絶対ダメ」「迷惑」と批判が殺到した。

これに対し「そんなにいけないこと?」「女性を口説く行為自体が過剰に嫌悪・警戒されているようで世も末だと感じる」という別の男性からの反論が投稿され、さらに論争になっている。

男性は「ジムは自己鍛錬の場で男女の出会いの場ではない」としながらも「ジムは(薄着で体を鍛錬する姿がセクシーに見えるという意味で)ある種のセックスアピールの場」にも関わらず「女性と仲良くなりたい」という【本能】を否定されることに違和感を感じるとし、「この風潮が少子化の一因ではないか」と語っていた。

少子化の一因かどうかは置いておいて…(少子化問題なんて昭和から言われているし(*)単純な話じゃないよね)

(*)少子化が社会問題として広く認識されるようになったのは1989年の出生率が過去最低の1.57を記録した「1.57ショック」をきっかけとする1990年頃からだそうです。

この投稿、主に女性から猛反発を喰らっていたが、そもそもセクシー云々より、多くは「運動不足解消」「ダイエット」など、自分のためにジムに通っているのではないだろうか。

それに、件の投稿主の言葉を借りると、もし男性がジムで「セクシーな女性」に声をかけているとしたら、女性にとってはむしろ警戒対象だと思う。

「会釈するのもダメなのか」という意見もあったが、そこではない。

「あなたが魅力的だから(選ばれたことを喜べ)」も、かなり的外れだ。

会釈であれ、お手振りであれ、望まない相手からの突然の接触は歓迎されない。それを一方的に理由をつけて乗り越えてこられても、違和感や嫌悪感を通り越し、恐怖すら感じる。

これって、男女問わずごく当たり前の感覚ではないだろうか。

女性はなおさらだ。

自分より力で勝る相手の機嫌を損ねたら、何をされるかわからないという恐怖。

そもそも命懸けで子供を産む側の性として、相手選びが慎重になるのは【本能】であり、不測の事態に警戒心や嫌悪感を抱くのはごく自然な反応だ。

恋愛に対する考え方も大きく変わった。

昔、ブッシュ元大統領が就任した時のエピソードで、現夫人を誘っては何度も振られ、それでも押しに押して結婚したという話が「一途」「粘り強い男」として紹介されていたが、今なら単に「ストーカー」扱いだろう。

…という時代の到来は、確かに、昭和感覚的には「世も末」かもしれない。

昭和は、ブッシュ元大統領のような男性を褒め、それを迷惑がる女性は「可愛げがない」「お高く止まっている」と悪口を言われる時代だった。

求められるのは「男を立てる女」「良妻賢母」。

上場企業への就職も「実家から通える女性」に限られていたなんて、令和の皆さんは想像できるだろうか?まるで福利厚生のように「男たちの花嫁候補」として女性が選ばれていたのだ。

そう、女性は「選ばれる側」だった。

今60代の私も、そんな時代にどっぷり浸かって生きてきた。

職場の飲み会で、男性たちがする下世話な話にも、ニコニコ微笑んでお酌をする。

元夫が転勤になった時別居を申し出たら、「そんなことをしたら奥さんの尻に敷かれていると旦那さんが笑われる」と、元夫本人だけでなく周囲にも反対され、当時通っていた夜間の専門学校も仕事を辞めて、夫についていかざるをえなかった。

結婚後は、地方で農業を営む元夫の実家の敷地に家を建てる話が勝手に進み、「農家を継がない次男の自分も土地がもらえる」と元夫は喜んだが、東京生まれで東京育ちの私には不安しかなかった。

その上義母に「鶏舎には(「他人」は)入れない」「都会の人だろうがなんだろうが、栗ぐらい拾えるだろう」(元夫の実家は卵や栗などの生産農家)と言われ、不満を口にすると「わがまま」「ありがたいと思え」などと言われた。

いつのまにか、私は婚家の「労働力」「資産の一部」になっていた。

そして、苦々しく感じながらもそれが当たり前とされた感覚にまだ汚染されているからか、当初は先のジム投稿を見ても「おおげさ」「男なんてそんなもんなのに」と思ったりした。

けれど時代は、特に女性の人生観は大きく変わったのだ。

令和の女性たちは、自らビジネスを立ち上げていたり、「整形に1,000万円かけても太客が一晩に3,500万円使ってくれるから元が取れる」と、お人形のようにかわいらしい顔で豪語するあっすんさんみたいな女性を眩しく見上げている。

「リッチな男と結婚して専業主婦もアリだけど、リッチな男たち相手に稼ぐ人生もアリだよね」。

「選ぶ権利は自分たち女性側にもある」。

もちろん価値観はさまざまだろうが、女性たちがあけすけに本音を語り、「選ばれる」ことではなく「自分が選ぶこと」が当然だとばかりに主張できる時代。そんな時代が来たことが、私は単純に嬉しい。

そしてここで忘れたくないのは、どの時代も、どのタイプの女性も、好ましくない男性には何をされてもうれしくない、というか、時には不快ですらあるということ。

その感覚を理解できない男性は、おそらく女性には選ばれないのだ。

今回の一連のジムの話題にも、そのあたりが明確に表れていると感じる。

男性たちは、え?そんなにダメ?ってなるだろうけど…

そう、ダメです。

ごめんね、私たち昭和世代がハッキリ言わなかったのも悪いけど、イヤなの、気持ち悪いの、迷惑なの。

なのであります。

松木千枝

1963年生まれ。IT企業で営業職として働く中で、そのストレスから重度の不眠症を発症し、50歳でヨガと出会う。54歳でヨガインストラクターに転身。2025年、東京都大田区長原にスタジオをオープン。日本アーユルヴェーダ協会会員。

撮影/Poko

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