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「友達に戻ろう」と言った俺が、彼女の服の箱にそっと1着だけ忍ばせたもの

  • 2026.7.10
ハウコレ

海外転勤が決まったとき、彼女に何を言えばいいのか決められませんでした。一緒に来てほしいとも、待ってほしいとも言えないまま、俺は彼女の服を畳み始めました。最初にするべきだった話し合いを、荷造りで先回りしていました。

転勤を伝える前に考えていたこと

彼女とは2年付き合い、半年前から同棲していました。仕事にも暮らしにも慣れてきて、このまま続いていくものだと思っていました。

そんなとき、海外転勤を命じられました。期間は短くありません。彼女には仕事があり、こちらで築いてきた生活もあります。俺の都合で全部変えてほしいとは言えませんでした。

でも、本当は一緒に考えてほしかったのだと思います。その気持ちを認めるのが怖くて、俺は先に結論を出そうとしました。関係を終えるほうが彼女のためだと、自分に言い聞かせていました。

「友達に戻ろう」

彼女が帰ってくるまでの間、俺はリビングで彼女の服を畳んでいました。何かしていないと、話し出す前に逃げてしまいそうでした。

彼女が部屋に入ってきて、「何してるの」と聞きました。用意していた説明はありました。転勤のことも、彼女の仕事を大切にしたいことも、きちんと話すつもりでした。

それなのに、最初に出たのは「友達に戻ろう」でした。彼女が理由を聞いてから、やっと転勤の話をしました。俺は順番を間違えていました。話し合う前に、彼女の荷物をまとめてしまっていたのです。

箱に入れた、1枚のパーカーと手紙

後日、彼女の荷物を送るとき、箱の上に自分のパーカーを1枚入れました。彼女がよく部屋で着ていたものです。洗濯物からそれを見つけるたび、同じ部屋で暮らしていることを実感していました。

持っていってほしいと思いました。でも、その理由を直接言うことはできませんでした。代わりに、手紙を書いてポケットに入れました。

謝ることも、幸せでいてほしいと書くこともできました。けれど、本当は一緒に考えたかったとは書けませんでした。最後まで、彼女に選ばせる言葉を渡せなかったのだと思います。

そして...

今は海外で働いています。彼女から連絡は来ていません。来ないほうがいいと考える日もあれば、あの手紙を読んだあと何を思ったのか知りたくなる日もあります。

俺がしたことは、優しさの形をした先回りでした。彼女のためと言いながら、傷つく話し合いから自分が逃げていました。

箱に入れたパーカーが届いているなら、せめてあの服だけは彼女の負担になっていないといい。そう思いながらも、今さら分かります。本当に渡すべきだったのは、服ではなく、彼女と向き合うための時間でした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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