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田中圭&矢崎広、20年近い付き合いの先輩後輩が語るお互いの魅力 初の本格共演は2人だから生まれるものを大切に

  • 2026.7.5
(左から)田中圭、矢崎広 クランクイン! 写真:高野広美 width=
(左から)田中圭、矢崎広 クランクイン! 写真:高野広美

田中圭と鈴木おさむがタッグを組む舞台シリーズの第4弾『母さん、ラブソングです。』が、この夏全国で上演される。今回は田中の事務所の後輩・矢崎広を相手役に迎え、愛憎を抱えた兄弟の姿を濃密な二人芝居で描き出す。稽古スタート前の田中と矢崎に話を聞くと、20年近い付き合いの2人だからこその信頼感あふれるインタビューとなった。

【写真】本当の兄弟のような仲の良さ! 田中圭&矢崎広、インタビュー撮りおろしショット

◆鈴木おさむ舞台のセリフ量は「軽い暴力」 最初は一人芝居の打診も

本作は、かつてヒットを飛ばしたものの現在は落ちぶれたミュージシャンの兄と、彼を支え続けてきた弟が織りなす二人芝居。母への愛憎や記憶のズレ、そして目を背けてきた過去の「罪」に向き合う姿を描く。2024年に放送作家を引退した鈴木の書き下ろし作品となる。シンガーソングライター・平井大が楽曲提供として参加することも話題だ。

――田中さんと鈴木おさむさんの4度目のタッグ。今回は矢崎さんとの二人芝居となります。

田中:最初聞いていたのはもうちょっと人数が多い想定だったのですが、「ちょっと人を減らそうかな」とおさむさんが言い始めて。「一人芝居でいい?」と言われたので、僕は「嫌です」と言ったんです。

一人芝居はハードですし、単純にセリフが多い。おさむさんの作品のセリフの多さはもう軽い暴力だと思っていますから。1作目より2作目、2作目より3作目とセリフが増えてきて、3作目が異常だったんです。なので「嫌です」と言ったんですけど、二人芝居になっていました(笑)。

――矢崎さんは出演発表時に「鈴木おさむ×田中圭は特別な存在」とコメントされていました。

矢崎:お二人のタッグの第1作『芸人交換日記』を観て大感動しまして、それから全作品追いかけるほど大ファンなんです。圭さんとご飯をご一緒した時にこのシリーズに出たいと直談判したところ、おさむさんとの食事の機会を作っていただいて、今回出演させていただけることになりました。

田中:おさむさんが放送作家を辞めるとなって、それまでこのシリーズがライフワークじゃないですけど、お互い戦友として、「数年に1回できたらいいね」というテンションでずっと続いていたので寂しさや悲しさがありました。でもあの人、相変わらず忙しいし、また4作目もあるし、「どういうことだ!?」と。

矢崎:僕も、おさむさんとのご飯会の後に引退報道があって、作品への出演はなくなったんだと思いました。

田中:そう思うよな。もうできないんだと思っていたので第4弾が実現してうれしさがあります。

おさむさんの舞台っておさむさんの色があって独特なので、今回はどんな作品になるんだろうという楽しみはもちろんあるし、それが矢崎と二人芝居で、というのは高い壁だなと思っています。

矢崎:僕も本当にうれしかったですし、全力で圭さんにぶつかることができるというのも、後輩としてすごく楽しみです。ちょっとファンみたいになりますけど、鈴木おさむ×田中圭の芝居が作られていく現場に立ち会えるというのが本当にうれしくて。それなのに、セリフが多いとか、ハードルが高いとか、ネガティブなことばかり言われるので、なんなんだろう(笑)。

――鈴木さんの舞台作品の魅力はどんなところにあると感じていますか?

田中:舞台を観たことがない人が初めて舞台を観る時におさむさんの作品を選んでくれたら、どんどん舞台にハマっていく人が増えるんじゃないかなといつも思うんです。舞台ってどういう心構えで観たらいいのか、観る側も緊張するじゃないですか。でもおさむさんの舞台は、分かるものをダイレクトに提示して「あなたはどう思いますか?」と観る人の心を揺らしてくれる。だから共感性も高いだろうし、舞台を観たことがないという人にとても観てほしいなって思える。そこが、僕が考えるおさむさんの舞台の魅力です。

矢崎:僕がすごく感動したのは、想像もしない裏切りと、人間がどこかで欲している王道みたいなものの組み合わせが絶妙なんだなと思って。それが「はいはいはい」と読めちゃう塩梅じゃなく、本当に気持ちいいタイミングで入ってくる脚本、構成なのがすごく感動するし、気持ちいいなと思える。それが連続して起こっていく中で、感情がどんどん揺さぶられていくところが、また観たいなと惹きつけられる魅力なんじゃないかなと思います。

田中:なんなん、めっちゃいいこと言うやん。それ、これから俺が言っていこう。

矢崎:後輩の取るなよ(笑)。

◆同じ事務所の先輩後輩の関係性だからこそ生まれるものを大切に


――お互いはどんな存在ですか?

田中:うちの事務所はみんなで集まる機会が多いので、家族、親戚までは言わなくても身内感はあります。その中でも矢崎とは長くて、昔はよく一緒に遊んだり、ご飯に行ったりしていたので、事務所の中では時間を共にしてきている後輩の1人です。

矢崎:事務所に入って右も左も分からない時に、本当に面倒を見てもらった先輩です。ご飯に連れていってもらったり、一緒にカラオケしたりする中で、すごく慕っている先輩で、ずっと追いかけているけれど、追いかけても追いつけない、自分の先を走ってくれている存在だと思っております。

田中:今回初めてがっつり一緒に芝居をしますけど、事務所の後輩だし、矢崎という人間をよく知っているので、いい関係性のまま最後まで進めたらいいなと思います。でも分からないですからね。もしかしたらケンカするかもしれないし、逆にすごく仲良くなるかもしれない。未知な部分が多いから、楽しみの方が強いですね。

矢崎:同じ事務所の先輩と後輩だからこそ踏み込めることもあるかもしれないし、生まれるものがあるんじゃないかとも思うので、その関係値で芝居をするということで、お客さんにも面白いものを観ていただけるんじゃないかなと思います。

――そんなお二人で兄弟役を演じることになります。

矢崎:僕は兄のように慕っているつもりでいるので、そこは活かしていきたいなと思いますし、すっと入れるような気がしています。

田中: 僕はひとりっ子だから、兄弟であるということがどういうことなのか分からないけれど、矢崎はほかの後輩よりは、より兄弟っぽい後輩であるから、そういうところは形に出てくると思うんです。そういう意味で言うと、矢崎が弟役というのはありがたいなと思います。

◆あて書きのような役どころも「全然違う」と毎回思いながら演じている


――鈴木さんが書かれる田中さんの役どころにはあて書きの部分も多いのでしょうか。

田中:おさむさんは、毎回僕のあて書きみたいなところから役を書いていくんですけど、僕はいつも「全然違う」と思ってやっているんです。

おさむさんにもそう伝えたこともあるんですけど、あまり響いてない(笑)。おさむさんは多分「田中圭が自分でも気づいていない田中圭を引き出したい」と思って書いていると思うんですよね。今回も役と僕自身と向き合い、ごちゃ混ぜにしてみて、どうなるのか楽しみですね。

おさむさんって、稽古場では感情については何も言わないんですよ。感情は結構任せてくれる。多分おさむさん的には感情は本に書いちゃっているんだろうね。それですごく無言でずっと見ている。

矢崎:怖っ!

田中:多分ビビると思う。俺でも最初はビビる。

矢崎:なんでそういうことばっかり言うんですか(苦笑)。

――これまで何かを諦めたり、ヒーローになれなかったり、今回は落ちぶれたりというキャラクターが続いています。

矢崎:……一回泣きますか?(笑)

田中:おさむさんにはどう見えてるんですかね?

矢崎:大ファンの僕が思うのは、きっとおさむさんも波乱万丈な人生を歩んでいて、多分自分の同志だと思ってると思うんですよね。自分の大変だった思いを重ねているところもあるんじゃないかというのは作品を観ていてすごく感じました。圭さんの部分ももちろんあるけど、おさむさんの部分もすごく入っていて、その2人が重なることによってこの作品の魅力がどんどん引き出されているんじゃないかなと思います。

田中:ずっと観てるわけじゃん。俺の役を観ていて「圭さんぽいな」って思うところってないでしょ?

矢崎:ありますよ。

田中:あるんかい!

矢崎:「あぁ、ぽいぽい」「こういうこと言いそう」って。もちろんおさむさんと圭さんの魂のリンクもすごく感じるんですけど、そもそもの圭さんの気質を活かしながらそれを表現しているというイメージなので、同志として気質は多分同じなんじゃないかなと思っています。

――矢崎さんご自身の役どころの印象はいかがですか?

矢崎:僕が演じるキャラクターは圭さんが演じるキャラクターと対比になる役どころだと思うんです。いろいろ抱えていて魅力的なキャラクターだなと思いますし、お客さんにも共感していただく部分が多い役になっていくんじゃないかなと感じているので、そこがすごく楽しみですね。おさむさんご自身の部分も入ってる役だなと思うので、おさむさんと一緒に作っていけたらなと思っています。

◆20年近い付き合い お互いの変わったところ、変わらないところは?


――お二人は、昨年開催された事務所の運動会では同じチームだったんですよね。

田中:僕がキャプテンで、矢崎が副キャプテンでした。

矢崎:ファンクラブ用の動画撮影を行った決起集会で久しぶりにお会いしたんですけど、いつでもすぐに先輩後輩の関係性に戻れるんだなって感じました。僕は圭さんに対しては後輩ですけど、その場には僕よりも後輩の俳優もいて。動画撮影というお仕事の場でそういう立場でお会いするのが初めてだったので、それも不思議な感覚でしたね。

――副キャプテンの働きぶりはいかがでしたか。

田中:もうちゃんと副キャプテンでした。僕の適当な感じにちゃんと補正を入れたり、ちょっとツッコミを入れてくれたり。ちょっとイマイチのツッコミでしたけど(笑)。

でも僕らチームピンクがすごくいいチームワークで楽しくやれたのは、矢崎がそこを担ってくれていたからだなと思うので感謝しています。

――お二人は出会われてから20年近くになると思いますが、その頃から変わらない部分、変わった部分はありますか。

矢崎:圭さんは変わってないです。

田中:いや、全然違う。前はもう少し真面目だったかなと思います。

矢崎:20代の時からもう圭さんでしたし、多分20代の時の方がすごく大人だったんだと思います。頼りがいがありましたね。

田中:今はないみたいじゃん! でも俺のこと、そう思ってたの? 意外。

矢崎のベースは変わっていない気がします。もちろん年齢を重ねて、経験値を積んで、大人になってはいますが。

矢崎:いや、僕は変わったと思いますよ。だって俺、もっとオドオドしてたもん。真面目が故に、ちょっとキョドってた。

田中:今もキョドってるけどね(笑)。

自信や落ち着きといった、年齢を重ねると当たり前にみんなが得られるものはちゃんと得てきているけれど、悪い年の取り方、悪い経験の仕方はしていないんだろうなという安心感はありますね。

――舞台人・田中圭の魅力はどんなところにあると感じられますか?

矢崎:僕は、映像作品よりも田中圭という役者の人間味を感じられる場所だと思っているんですね。圭さんという人間が今起こっていることに対して体全体でダイレクトに反応しているということが近い距離で感じられて、今この人はこういう感情で動いているなということが伝わってくる。そこが舞台での田中圭のすごいところだと思います。

――田中さんは、さまざまな作品に出ている矢崎さんの姿をどのようにご覧になられていますか?

田中:作品に対して真面目に向き合うところと、ちょっとユーモアを持たせる向き合い方、そのバランスを試行錯誤しながら今に至るんだろうなと感じるところはあって。なんでもかんでも真面目にやればいいということでもないし、作品に対して余白を持たせなきゃいけないところを掴んできているんだなと。今回年齢を重ねた矢崎とちゃんと一緒に芝居を作るというのは初めてなので、そこが楽しみです。

――今回シンガー役ということで、ミュージカル作品への出演の多い矢崎さんにアドバイスを求めたりは?

田中:絶対にしないです!

矢崎:喉のケアの仕方は圭さんも知っているでしょうけど、歌込みとなると僕の方が知っているかもしれないので、勝手にアドバイスさせていただきます(笑)。

――それでは最後に作品を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。

矢崎:追いかけ続けてきた鈴木おさむさん×田中圭さんの作品ですので、圭さんにも頑張っているなと思ってもらいたいですし、お客さんにも楽しんでるなと思ってもらえるような舞台をお届けしたいです。舞台って楽しいなと思っていただける作品作りができたらいいなと思っていますので、ぜひ観ていただければなと思います。

田中:役を纏ってお芝居をするのが久しぶりで、そこは自分自身も楽しみなところです。自分の芝居というのをぶつけられる環境で皆さんに観ていただけることをありがたいなと思いつつ、今回おさむさんと矢崎と素敵な劇場で二人芝居をやらせてもらえるので、これがエンタメだよねっていうものを皆さんに観ていただけるよう僕ら2人で頑張りますので、ぜひ楽しみに足を運んでいただければと思います。

(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)

舞台『母さん、ラブソングです。』は、7月31日~8月16日東京・東京芸術劇場プレイハウス、8月29日・30日宮城・電力ホール、9月4日~6日愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、9月12日・13日長野・サントミューゼ大ホール、9月18日~22日大阪・SkyシアターMBSにて上演。

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