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[東大生を育てたおかん]忙しすぎて手が出せない環境が息子の自走力を伸ばした<1>

  • 2026.6.30
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少子化にもかかわらず、過熱の一途をたどる受験競争。先の見えない時代だからこそ、emogram編集部では、東京大学へと子供を送り出した保護者にインタビューを行い、これからの時代の子育てのヒントを探る、全10回にわたる特別連載の第1回目をお届けします。今回、お話を聞いたのは、青森県に住む四十代のしらたまさん。会社員としてフルタイムで働きながら、3人の子供を育ててきたしらたまさんの長男は、東京大学への現役合格を果たしました。しかもその入試形式は、2016年から始まった「学校推薦型選抜(推薦入試)」でした。

「東大に行くことなんて考えたこともなかった」

しらたまさんは長男が東大に進学したことについて、このように振り返ります。

しらたまさん:「東大なんて考えたこともなかったですし、小さいころから『いい大学に入れよう』なんて考えて子育てをしたことはありませんでした。ただただ3人を育てるだけで、精一杯だったので…。東大は、推薦という仕組みがなかったら行ってなかったのではないかと思います」

しかし、長男は子供のころから「個性」の片鱗は見せていました。そしてそうした個性を伸ばしてきたのは、ほかでもない母親のしらたまさんの「関わり方」にあったようです。

忙しすぎる母の「見守り」が、長男の才能を伸ばした

勉強を強制したことはなかったというしらたまさんですが、長男は幼少のころから、周囲を驚かせる「企画力」や「行動力」を発揮していました。仕事と三人の子育ての両立で多忙を極めていたしらたまさん、結果的に「見守る」子育てに徹していたといいます。しかし、そのしらたまさんの「忙しすぎる環境」が、長男の個性を伸ばすきっかけにもなったようです。

しらたまさん:「長男は、自分で何かを企画することがとにかく好きな子でした。よく覚えているのが小学校低学年のころ、近所の桜並木の通りを指して『みんなでここのゴミ拾いをしよう!』と自分で言い出し、近所の子供たちを集めて実際に掃除のイベントを実行したんです」

驚くべきリーダーシップですが、長男の企画はそれだけにとどまりませんでした。

ハロウィンでも企画力を発揮

しらたまさん:「ハロウィンの時期には、自分たちで仮装して地元の商店街の店舗を回るイベントを企画したこともありました。何かを思いつくと、細かくメモに計画を練って、みんなを集めて実行する。幼いころから、そんな作業が自然と身に付いているようでした」

長男がしらたまさんにお願いしたことは一つだけ、イベントの買い出しに必要なお金を出してもらうことです。しらたまさんも忙しかったこともあり、基本的にはまったく口も手も出さずに長男に任せていたといいます。

しらたまさん:「必要な道具の購入費用は渡しましたが…それ以外、なにも手伝った記憶がないんです。長男も私が忙しいのを知っていますから、自分でなんでもやっていました」

長男の「自分で考えて動く力」「企画して実行する力」は、そうしたしらたまさんの見守る姿勢と相まって、よりのびのびと育ったのかもしれません。

「親に気を使ういい子」にさせないために

家事の手伝いについても、しらたまさんならではの優しさがあったと言います。

しらたまさん:「家の手伝いも、頼めばやったとは思うのですが、私からお願いしたことはありませんでした。あまり手伝わせすぎてしまうと、親に気を使う『いい子』になっちゃうかなと思って。親の顔色をうかがうのではなく、できるだけ子供らしくいさせてあげたかったんです」

しらたまさんは仕事に打ち込み、子供のことは静かに見守りながら、邪魔はしない。しらたまさんの優しくもお互いに自立した親子関係が、後に東大の推薦入試を突破するほどの長男の「主体性」を育んだのかもしれません。(2へ続く

【お役立ちデータ】東大の「学校推薦型選抜」とは 東京大学が2016(平成28)年度から導入したこの入試は、一般的な推薦入試とは大きく異なります。ペーパーテストの点数だけでは測れない、特定の分野における卓越した能力や、強い学習意欲を持つ学生を見出すための入試制度です。最初から進学先の学部を直接志望して出願し、高校の学校長から推薦を受けられるのは1校につき最大4人まで。選抜では、国際レベルのコンクールでの実績や高校時代のハイレベルな課題研究の成果などが厳しく審査され、書類選考や面接、小論文などに加え、大学入学共通テストで「概ね8割以上の得点」が基礎学力の目安として課されます。学力と卓越した個性の双方が高いレベルで求められる、狭き門です。

詳細は東京大学公式サイト

ライターコメント

長男の行動力は、このあと中学、高校と進学する中でさらに磨かれていきます。その才能をここまで伸ばせたのは、しらたまさんの「静かに見守る」姿勢があったからではないでしょうか。大人が先回りしてレールを敷くのではなく、あえて手伝いすらさせずに「子供らしくいられる時間」を保障したしらたまさんの育児は、簡単なようでなかなか真似できるものではありません。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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