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「子どもを返して」14歳で我が子を“養子”に。『アカデミー賞 日本代表映画』が描いた「壮絶すぎる」【未成年の妊娠】

  • 2026.7.14
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

未成年の妊娠や特別養子縁組など、現実の痛みに深く切り込んだ重厚なテーマ。過酷な境遇に直面する人々の葛藤や、命と家族のあり方を問いかける強いメッセージ性を持った作品が高い評価を得て、観る者の心を揺さぶってきました。

今回は、そんな“考えさせられる名作”5作品をセレクト。本記事では第1弾として、特別養子縁組を巡る2人の母親の葛藤と愛を繊細に描き、血の繋がりを超えた家族の絆を問いかける人間ドラマをご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“考えさせられる名作”映画『朝が来る』

  • 作品名(配給):映画『朝が来る』(キノフィルムズ)
  • 公開日:2020年10月23日

あらすじ

我が子を授かることを1度は断念した栗原佐都子(永作博美)栗原清和(井浦新)の夫妻は、特別養子縁組という人生の選択肢を見出し、小さな男の子を我が家に迎え入れます。それから6年の歳月が流れ、2人は朝斗と名付けた息子の確かな歩みを見守りながら、平穏で満ち足りた日々を過ごしていました。

しかしある日、朝斗の本当の母親である片倉ひかり(蒔田彩珠)を名乗る人物から、我が子を返してほしい、それが無理なら金銭を要求するという不穏な電話が舞い込みます。当時14歳だったひかりとは過去に1度だけ対面しており、我が子の幸せを願って手紙を佐都子に託すような、心優しい少女として記憶されていました。

数々の疑問が頭を駆け巡るなか、実際に夫婦の元を訪ねてきた若い女性には、かつて面影のあったひかりの純朴さは微塵も感じられませんでした。突如として目の前に現れた彼女の正体や、その真意が一体どこにあるのかが明かされていきます―。

日本アカデミー賞主要7部門受賞&米国アカデミー賞日本代表!一つの命を巡る光と影※ネタバレあり

本作の最も大きな着眼点であり見どころとなっているのが、実母・片倉ひかりが直面する14歳(中学2年生)というあまりに若すぎる未成年の妊娠と、彼女を追い詰めていく過酷な境遇のリアルな描写です。当時付き合っていた同級生との一度きりの関係によって予期せぬ妊娠に至るものの、正しい性知識の乏しさから中絶が不可能な状態になっていたひかり。

学校や家庭に居場所を失ったひかりは、特別養子縁組を支援する団体「ベビーバトン」が運営する瀬戸内海のシェルターへと送られ、そこでひっそりと出産を迎えるしかありませんでした。育児能力のない中学生のひかりが、生まれた男の子の将来を想って特別養子縁組を選択せざるを得なかった切実な背景は、単なるフィクションを超えた社会的なメッセージとして深く胸に刺さります。

さらに物語を引き締める見どころが、特別養子縁組から6年後、突如として幸せな日常が一変していくスリリングな展開です。引き取られた朝斗が6歳になり、栗原夫婦のもとで愛情を一身に受けて暮らすなか、1本の電話が鳴り響きます。

子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください出典:映画『朝が来る』(2020年10月23日公開)

電話の主は、実母のひかりを名乗る人物。しかし、後日夫婦の前に現れたひかりは当時の清純な面影が完全に消え去り、金髪で生活に困窮しきった風貌へと変貌していました。同一人物とは思えないひかりが映し出されることで、栗原夫婦同様に観客までもが激しい戸惑いと恐怖を覚えます。その後、ひかりが6年間に歩んだ家族との絶縁、借金といった「壮絶すぎる」転落の歴史と、栗原家の崩壊の危機が並行して描かれる構成は、息をもつかせぬ緊張感を醸し出しています。

そんな本作は、一つの命をめぐって対照的な光と影を歩むことになった2人の母親の視点を通じ、“本当の母性や血縁を超えた家族の絆とは何か”を鋭く問いかけます。不妊治療に挫折し“闇”を見た後で養子縁組によって“光”を掴んだ佐都子と、青春の“光”のなかで若すぎる妊娠によって社会から孤立し“闇”へと堕ちていったひかり。対照的な2人の姿を通じて、どれほど過酷な状況であっても、誰かがその存在を認め、心から寄り添うことで人は再び前を向くことができるという救いが丁寧に描かれています。

命の尊さと人間の光と影を真っ向から描き切った本作は、国内外の映画界で極めて高い評価を受け、素晴らしい功績を残しました。「第44回日本アカデミー賞」にて、主要7部門で優秀賞および新人俳優賞を獲得する快挙を達成。さらに、世界最高峰の舞台である「第93回アカデミー賞」国際長編映画賞の日本代表作品にも選出され、日本映画を代表する一編としてその名を世界に轟かせました。映画を鑑賞した人々からは、SNSを中心に「感銘を受けた」「大傑作」「素晴らしい作品」といった絶賛のレビューが数多く寄せられており、多くの観客の心に深い感銘を与え続けています。

光と影を生き抜いた蒔田彩珠の圧倒的表現力と最年少2冠を成し遂げた軌跡

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映画「Pure Japanese」公開御礼舞台挨拶 蒔田彩珠(C)SANKEI

特別養子縁組という極めてデリケートなテーマを扱い、血の繋がりを超えた家族の絆と、そこに交錯する人々の葛藤を描いた辻村深月さんの同名小説を河瀨直美監督が実写化した映画『朝が来る』。本作で、観客に息を呑むほどの衝撃を与えたのが、若き実力派の蒔田彩珠さんです。彼女が演じたのは、中学生にして予期せぬ妊娠・出産を経験し、葛藤の末に我が子を手放すことになった少女・片倉ひかり。蒔田さんは、14歳から20歳までの間にひかりが辿る過酷な運命を、凄まじい光と影のコントラストで演じ分けています。特に、外見の変貌はもちろん、佇まいや瞳の輝きが消え失せていく瞬間、さらには金髪になりやつれ果て、声のトーンまで低くなった“影”の姿は、観客の胸に鋭く突き刺さりました。蒔田さんの演技に、SNSでは「全体的にリアル」「存在感と演技で完全に虜なった」「演技が素晴らしすぎた」といった称賛のレビューが相次いでいます。

片倉ひかりという難役に対する真摯なアプローチと圧倒的な表現力は映画界でも高く評価され、蒔田さんは本作で「第45回報知映画賞」助演女優賞を獲得するという快挙を成し遂げました。蒔田さんは2018年7月14日公開の映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』でも「第43回報知映画賞」新人賞を獲得しており、新人賞からわずか2年での俳優賞獲得は史上最速の記録。さらに、18歳という若さでの2冠達成は史上最年少という、映画史にその名を刻む偉業となりました。

蒔田さんの快進撃はこれにとどまらず、「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞や、「第75回毎日映画コンクール」女優助演賞など、国内の映画賞を総なめにしました。若手実力派の枠を超え、唯一無二の表現者としての地位を確立した蒔田さんの好演は、作品が持つ切実なメッセージをより力強く、観客の心に深く突き刺しています。

未成年出産、不妊症、特別養子縁組といった極めてデリケートなテーマを扱い、実母と育ての親が辿る過酷な運命と、その先にある救いを圧倒的なリアリティで描き出した映画『朝が来る』。本作を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、ぜひ視聴してみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です

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