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祖父の火葬直前→形見のキーホルダーが鍵から外れ床に落ちた30代女性が6年経った今も思うこと

  • 2026.6.16

遠方勤務で参列できなかった、祖父の葬儀の日

感染症が流行し始めた年に、私の祖父が亡くなった。

長く入院していたわけではなく、家族にとってもどこか急な別れだった。

就職を機に私は遠方の病院に勤めていて、勤務先が病院という事情も重なり、葬儀のための長距離移動は現実的に難しかった。

世間が移動の自粛を強く意識し始めた時期で、両親からも「来られなくても仕方ないよ」と言われていた。

それでも、子どもの頃から可愛がってくれた祖父の葬儀に出られないのは、頭で理解しても心は別だった。

前日は夜勤に入っていて、葬儀のことを考えながらナースコールの対応をしていた。

祖父はいつも、私の鍵に小さなアクセサリーをくくりつけてくれる優しい人だった。

社会人になって初めて家を借りたとき、引っ越し祝いだと渡してくれた木彫りのキーホルダーは、何より大事な形見になっていた。

更衣室で、鍵から外れて落ちた形見

仕事が終わった頃。

ロッカールームに戻り、看護服のままぼんやり時計を眺めていた私は、ようやく一息ついて着替えに取りかかろうとしていた。

カーディガンを羽織り、ポケットの中の私物を取り出していた、ちょうどそのときのことだ。

鍵束ごとカランと床に落ちる音がして、思わず手を止めた。

拾い上げてみると、祖父からもらった木彫りのキーホルダーだけが、鍵から外れて床に転がっていた。

金属のリングはしっかり閉じたままなのに、リングそのものが歪んでいるわけでもないのに、なぜか祖父のキーホルダーだけが鍵束から離れていたのだ。

「もしかして」

そう口に出してから、慌ててスマホで時刻を確認した。

表示されていた時間は、ちょうど祖父の葬儀の進行表で「火葬場到着、火葬直前」と書かれていた時間と完全に重なっていた。

6年経った今も、最期に来てくれたのだと信じている

更衣室には私以外いなかった。ロッカーが軋む音以外、何も聞こえない静かな朝だった。

私はキーホルダーを両手で包み、火葬場のある方向を思い浮かべながら、ありがとうとだけ小さく呟いた。

偶然と言えばそれまでだ。

リングの噛み合わせが緩んでいた可能性も、夜勤中にポケットの中で少しずつズレていた可能性も否定はできない。

それでも、火葬の時刻と重なったあのタイミングだけは、偶然だと割り切れないのだ。

あれから6年経った今でも、その日のロッカーの匂いも、床に落ちた音もはっきり覚えている。

葬儀に行けなかった私のところに、祖父が最後にお別れを伝えに来てくれた。そう信じることが、いまの私の小さな救いになっているのだ。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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