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発見!人間関係の苦悩をたった3秒で消し去る方法

  • 2026.6.12

仕事の人間関係に悩むことが、いかに無駄かを考える

“仕事の悩み”の多くは、結局のところ「人間関係」にある。いやほとんどが人間関係の悩みなのは、日本に限らず世界的な傾向。なぜなら、職場は文字通りの小さな村社会。人が人を評価し、人と人が比較され、どこかで競わされている。そして上司はもちろん、先輩も同僚も後輩も、自分では選べない。犬猿の仲で隣り合わせもある、好き嫌いを言っていられない人間関係の縮図。仕事量が多すぎる、仕事が難解といったストレスも、要は誰かの指示だったり、不公平と背中合わせ。もともとストレスの原因は“人”にあるから、あまり言いたくないけれど、不安、恐怖、怒り、嫌悪、嫉妬といったネガティブな感情が、日常的に生まれて当然の環境なのだ。

いや、日本はまだマシ。ドロドロ系の韓国ドラマみたいなことが表面的には起きないのも、日本人は心が比較的安定しやすいビフィズス菌が遺伝的に多めだから……なんて説もあったりするほど。

そうは言っても、仕事の人間関係は人に課された最大の試練。最初からそういう場所だとわかって臨めば、ウチの部署はむしろいい人ばっかり……と、逆に必要以上に喜びを感じたりもできる。そのくらい、地球の道理として、仕事の悩みは人間関係の悩みとイコールなのだ。

ましてや職場における人間関係のストレスは、体の痛みと同じレベルの苦痛を伴うらしい。なぜなら人間にとって仕事上のネガティブは原始時代から生存に関わるもの。仕事の敗者は子孫繁栄が望めない……みたいに。対人問題も、友達同士のようにとことん話して解決、なんてできないから、未解決の問題が繰り返し起こって、記憶にどんどん溜まっていく。つまり“脳にとっても非常に危険なストレス”。心身に相当負担がかかっているわけで、多少ともそれを和らげる方法を知っておきたいのだ。

まず克服のもっとも簡単な方法は、今の職場は人生の“止まり木”にすぎないと気づくこと。長い一生、それこそ医学の進歩で人生120年まで延長された時、今の職場環境なんて、ほんの一瞬。子供時代のクラスの人間関係も永遠に続くと思ってしまうから、幼心に人生絶望的になりがちなのだが、それと一緒で、上司も同僚も常に流動的、自分も含めていつ誰が辞めるかわからないのに、それを忘れがち。関係図が常に変わり続けるのが職場なのだと、毎日意識すべきなのだ。この時期だけ目をつぶって通り抜けようと思えることが何より重要だから。そうすればストレスの蓄積は少ないはずで、辛いことがあったとしても、その日は終わる。毎日が別の日で、毎日が始まり。いつでも辞められることを忘れないで。

でもそれ以上に重要なのは、もしあなたが真面目に一生懸命に働いているなら、誰かがどこかで必ずあなたを見ているということ。人間が見ていなくても、もっと上の方から何物かがそれを見ている。運命を決める何かの力が、正しく生きている人をちゃんと見ていること、決して忘れずにいてほしいのだ。そう、どちらにしても、今の職場環境においての人間関係にくよくよ悩むなんてもったいない、そう思うことが大切なのだ。輝かしい人生においてはまったく取るに足らないこと、そう思うことが何より何より重要なのである。

そこで人間関係の悩みを、わずか3秒で克服できるテクニックがあることも知ってほしい。社会で生きる人全員に知っておいてほしい技があるのだ。

「プラダを着た悪魔」をも、部下が超えることができる唯一の方法

人間関係の悩みの克服において今もっとも注目されているのが、「認知的再評価」というちょっと難しい名前のテクニック。似たような技で、誰かに対して怒りを感じた時の「7秒ルール」というものが提案されていたはずで、これも怒りは7秒我慢すれば大体収まるから、7つ数えて心を落ち着かせようという話だった。ただ怒りが収まってもモヤモヤした気持ちは残り、後から怒りがムラムラとぶり返したりするかもしれない。だから怒りも不満もすべてちゃんと解消しておくべきとのことで、この「認知的再評価」という技が今にわかに話題なのだ。

一言で言うなら誰かに対して怒りが湧いた時、自分自身で気持ちを切り替えて乗り越える方法。早ければ3秒で効果が出る、そして自分が救われる。仕事だけでなく、友人や家族との関係においても十分に使える技だ。

たとえば、職場で同僚に無視されたとする。たちまち惨めになり、自分が軽んじられていると感じ、すぐに怒りが湧いてくる。この時は相手へのネガ感情でいっぱいになるはずだが、一瞬、冷静に考えると、それは自分が勝手につくったストーリー。相手はそれどころではない問題を抱えているのかもしれないし、体調が悪いのかもしれない。単純に気づかなかったのかも。少なくとも私を否定しようとか嫌いで無視したのではない。悪いほう、悪いほうに取るのはやめよう……というふうに約3秒間で考えをズラし、切り替える。

それでもモヤモヤが収まらなかったら、思い切って相手に聞いてみてしまう。何か問題あった? 大丈夫? そうしたら、ごめん、ぼーっとしちゃっててって言うかもしれない。もうそこで問題解決。そういうことなのだ。怒りを覚えたり恨みを持ったり、それがどんどん溜まれば、その人間関係はあっという間に壊れていくだろう。その前に自分で自分を解決に導くのだ。

上司から評価が得られないなら、上司を恨むのではなく、その事実をなるべく素直に受け止め、自分の何がいけなかったかを聞いてみる。意地悪な上司でなければ、そういう率直な姿勢に心打たれてきちんと説明してくれるだろう。そして新たな期待をかけてくれるに違いない。実はそういうチャンス、職場には沢山落ちているのに、ただ腹を立てたり落ち込んだり気持ちを乱したり、それだけで終わらせるから怒りも不安もストレスもどんどん溜まり、人間関係もどんどん悪化し、仕事がつまらなくなるという悪循環。だから「認知的再評価」が必要なのだ。

ちなみに20年ぶりに続編がつくられ話題となっている映画『プラダを着た悪魔』が大きな支持を得たのも、悪魔的に冷淡で厳しい上司に被害者意識を持つのでも、ひたすら従うイエスマンになるのでもなく、最初は怒りを覚えるものの、このまま進むのはマズいと、なぜ彼女はこれほど厳しいのだろうと考え始める。そして気づくのだ。彼女にも辛さや苦悩があり、いろんなものを犠牲にし、とてつもない努力を積み重ねて今に至っているのだと。だからここは、先回りして彼女に認められるべきかもしれないとの思いに至る。つまり、むしろ彼女を上回る冷静さを持つことで、部下は上司をある意味超えることにもなった。もちろん仕事は戦いではないが、このスキルの怪物、誰も敵わぬ圧倒的なリーダーに勝つことができたのだ。そんなことも可能なのだ。

つまりこれが、「認知的再評価」のすごさ。他の考え方はないか3秒で探すだけ。そして意識をズラすだけ。本当の意味で仕事ができて、人生という荒波を乗りこなせる技だって知っていてほしい。

人生が明暗を分ける鍵もそこにあり。「ボヴァリー夫人」の悲劇の理由

今回おすすめしている「認知的再評価」について、非常に面白い見方がある。ミステリーとアクションとホラーを除くすべての映画や小説は、主人公の「認知的再評価」の様子を描いているのだという……。逆に言えば、ともかく2時間規模で話を終わらせ、大なり小なり感動までさせてくれる映画のつくりは「認知的再評価」なしにはつくり得ない、ということなのだ。

たとえば、ドラマ『エミリー、パリへ行く』は非常にわかりやすい例。アメリカのシカゴからフランスのパリに移り住み、仕事から恋愛まで、アメリカとフランスの違い、文化の違いに大いに悩まされる主人公が、その一つ一つを「認知的再評価」によって乗り越えるストーリー。エミリーの頭の中で常にこうした思考の変化があったのだ。自分の常識との違いを受け入れられない。私は正しいはず。→→でも正しさは一つではないのかも。文化や価値観の違いもあるしなぁ。→→自分の常識は絶対ではなかった。思い込みだったのかも。と気づくこと……そういうふうに意識をズラすだけ。問題解決のすべてが、すなわち「認知的再評価」の結果なのだ。

でもなぜ「認知的再評価」という、意味がよくわからない難しい言葉をあえて持ち出したかというと、人間はそういう名前のついたものに関しては認識しやすく、問題を解決しやすくなるから。かつて「ストレス」や「鬱」という言葉がなかった頃は、その辛さを誰にも表現できず、いたずらに症状を悪化させてしまうケースが少なくなかったという。

さらに理解を深めるため、「認知的再評価」に完全に失敗しているケースを挙げてみよう。19世紀フランス文学の超ベストセラー『ボヴァリー夫人』を知っているだろうか。田舎の平凡な結婚生活に退屈したエマ・ボヴァリーが自由で贅沢な世界に憧れ、溺れて、不倫と浪費を繰り返し、借金に追い詰められて服毒自殺に至る少々強烈な物語で、日本では漫画化もされている。このヒロインはまさに「認知的再評価」がまったくできずに破滅していく典型的なタイプ。反面教師には最適だ。

ちょっと同じ空気を感じるのが、ケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞を獲得した映画『ブルージャスミン』。こちらはあくまで、過去の上流生活を諦めきれずに破滅するわけだが、これも「認知的再評価」がまったくできていなかったからの最悪の結末。ロシア文学の名作『アンナ・カレーニナ』も、結局さまざまな判断ミスで自分を死に追い込んでいく。

こうやって見てみると、人間は真っ二つに分かれるのかもしれない。「認知的再評価」ができる人間とできない人間とに。こんなにわかりやすい人生論はないくらい。だから強く強くおすすめしたいのだ。「認知的再評価」で、厄介な人間関係やネガティブ感情を乗り越えていく人生を。

映画や物語のほとんどは「人生を変える」ドラマではなく、「ただ見方を変える」だけのドラマ。でもその結果、自然に人生がよい方向に向かっていく。「認知的再評価」の様子を描いた映画ばかりだということに気づきたい。

撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳

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