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「毎回声かけられるのウザいんで」何かにつけて声をかけてくる近所の住人。だが、引っ越しする男性が住人に告げた一言で状況が一変

  • 2026.6.11

毎朝玄関先で待ち構えていた隣人

私の住む静かな住宅街の一角に、ご主人が定年退職してから二人暮らしになった60代の夫婦が住んでいる。

お子さんはとっくに独立していて、帰省するのは年に数回らしい。

時間を持て余したのか、奥さんのほうは朝から晩まで近隣の動きを観察するのが日課になっていた。

住民が車のキーを握って玄関を出れば、ほぼ同時に隣の戸が開く。

買い物袋を下げて帰ってくれば、また戸が開く。ゴミ出しに行くだけでも開く。出てきた奥さんは必ず満面の笑みで近寄ってきて、こう尋ねるのが決まりだった。

「どこ行くの?」

行き先、所要時間、誰と会うのか、何を買うのか、帰宅は何時か。事細かに聞き返されるたびに、こちらの予定は壁の向こうに吸い取られていく。

私も最初は近所付き合いだと思って答えていたが、回数を重ねるごとに肩が重くなっていった。

週末に家族で出かける支度をしている時間まで把握されているのが、じわじわと不気味になってきていた。

引っ越す若者が玄関先で放った一言

そんな住宅街の中で、向かいのアパートに住んでいた20代の男の子が転居することになった。

会社が変わるとかで、慌ただしく軽トラックが横付けされた朝、例の奥さんはまた戸を開けて駆け寄ってきた。荷物を積み込む彼にぴったりつき、いつもの調子で行き先を尋ねはじめた。

彼が、しばらく黙ったあと振り返って奥さんを見た。やや疲れた顔で、しかしはっきりした声でこう言った。

「毎回声かけられるのウザいんで」

住宅街の朝の空気が、その一言で止まった。少し離れた場所で見送りに出ていた私の手にも、軽い緊張が走った。

奥さんは何か言いかけて口を開いたが、結局言葉は出てこなかった。彼は会釈だけ残して荷台の助手席に乗り、軽トラックはそのまま角を曲がって消えていった。

家から出てこなくなった隣人の朝

翌朝から、奇妙な静けさが住宅街に戻ってきた。私が玄関を開けても、隣の戸は開かない。

ゴミ袋を提げて集積所に向かっても、誰の視線も追いかけてこない。買い物から帰っても、車のドアを閉める音にあの戸が反応することはなくなった。あれほど密着していた監視が、たった一言でぴたりと止まったのだった。

近所の知り合いに聞いても、あの奥さんを庭でも玄関先でもほとんど見かけなくなったという。

誰かを傷つけるつもりで言われた言葉ではなくとも、自分の振る舞いがそう受け取られていたという事実が、よほどこたえたのだろう。住宅街の朝の風が、久しぶりに自分のためだけに吹いている感覚があった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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