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彼女に「ありがとう」を素直に言えなかった俺が、消し続けた下書きの中で本当に伝えたかったこと

  • 2026.6.9
ハウコレ

あの予測変換は、彼女とは関係のない場面で覚えさせたものでした。短く返すたびに、本当はもっと伝えたい言葉を消していたのです。

予測変換が拾っていた言葉

あのとき俺は、友人からのメッセージに返信しようとしていました。「ありが」と打った瞬間、予測変換の一番上に出てきたのは「ありがた迷惑」

隣にいた彼女はそれを見て「『ありがとう』より『ありがた迷惑』が先に出てくるんだね」と口にしました。俺はとっさに「予測変換なんて、適当だから」とだけ返しましたが、内心では理由がわかっていました。

少し前、職場の先輩のことを友人にこぼしたとき、何度もその言葉を打っていたのです。頼んでもいない助言を毎回押しつけてくる先輩への愚痴で覚えさせた言葉が、よりによって彼女の前で顔を出してしまいました。

彼女には関係のない言葉だと、その場で説明すればよかったのです。それでも、わざわざ蒸し返すのも気まずくて、俺はそのまま受け流してしまいました。

「ありがとう」だけでは足りなくて

本当のことを言えば、俺は彼女に「ありがとう」と打つのがいつも苦手でした。手料理の写真にも、残業明けの長いメッセージにも、本当はもっと伝えたいことがあるのに、たった一言の「ありがとう」では軽すぎる気がして、うまく言葉にできなかったのです。

だから「うまそう」「お疲れ」と短く返しては、書きかけた長い文章を消してしまう。そんなことを繰り返していました。彼女からのメッセージが少しずつ短くなっていったことには、薄々気づいていました。

それでも、自分の気持ちを言葉にするのが照れくさくて、見て見ぬふりをしていたのです。彼女を不安にさせていたのは、ほかでもない俺の言葉足らずでした。

彼女から届いた一通

そんなとき、彼女から一通のメッセージが届きました。

「私がしてること、ありがた迷惑になってないかな」

その文字を読んで、俺がずっと見ないふりをしてきたものを、彼女はずっと抱えていたのだと思い知りました。あの予測変換の並びを、彼女は自分のことだと受け取っていたのです。

違う、迷惑なんて思うわけがない。そう打ちかけて、また短い言葉でごまかそうとしている自分に気づきました。今度こそ、ちゃんと伝えなければいけない。俺は書きかけては消していた言葉を、初めてそのまま送ることにしました。

そして...

俺が送ったのは「迷惑なんて思ってない。ちゃんと話したい」という一言でした。いつもなら、ここでもまた短く切り上げて終わりにしていたと思います。送信したあと、彼女がそれを読んでくれたのか、返信を待つ時間がやけに長く感じられました。

短い言葉に逃げてきた分、これからは少しずつでも、ちゃんと伝えていこうと思います。彼女のしてくれることが、ありがとうだけでは足りないくらい嬉しいこと。消し続けてきたその言葉は、次に会ったとき、面と向かって伝えるつもりです。

(20代男性・営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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