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1日1万歩より「歩き方」だった? 速歩き3分+ゆっくり3分のインターバル速歩を能勢博先生に聞く

  • 2026.6.8

1日1万歩より「歩き方」だった? 速歩き3分+ゆっくり3分のインターバル速歩を能勢博先生に聞く

日本発の歩き方が、いま世界で注目を集めています。その名も「インターバル速歩」。ただ歩数を稼ぐのではなく、“歩き方”そのものに秘密があるのだとか。海外のSNSでバズり、専門家も驚く効果が話題です。開発者の能勢博先生に、このウォーキングの魅力を伺いました。第1回は、世界を席巻しつつあるインターバル速歩とはどんなものか、その基本からご紹介します。

お話を伺ったのは

能勢 博先生(信州大学医学部特任教授 医学博士)

のせ・ひろし●京都府立医科大学医学部卒業。米イェール大学、京都府立医科大学などを経て1995年信州大学医学部教授、2003年信州大学大学院医学研究科教授、2018年より現職。信州大学、長野県松本市、民間企業、市民が参画する健康づくり事業「熟年体育大学」の運営組織であるNPO法人熟年体育大学リサーチセンターで、理事長・副理事長を務め「インンターバル速歩」を指導。8700人以上の中高年に運動指導を行なってきた。趣味は登山。著書、マスコミ出演多数。

大切なのは、歩数より歩き方! 歩き方を変えるだけで、血管や脳が若返る

「万歩計をつけて1日1万歩がんばって歩いている」
「毎日30分間、歩くのが日課」
など、健康のためウォーキングを習慣にしている人も多いでしょう。でも、

ちょっと待って! 近年の研究により、健康維持や不調改善に本当に役立つウォーキング法が明らかになったのです。

実はウォーキングで大事なのは、歩数や距離、時間ではなく、歩き方だと説明してくれたのは、信州大学大学院医学系研究科の能勢博特任教授です。

「“1日1万歩を目標に”とよく言われますが、ダラダラと歩いても、あまり効果がありません。速歩き3分、ゆっくり歩き3分を交互に繰り返すインターバル速歩という歩き方こそ、さまざまな健康効果が得られるのです」

インターバル速歩の産みの親である能勢先生は、これまで20年以上の時間をかけて10,000人以上の中高年の方々を対象に、どんな歩き方が役立つのか検証を繰り返してきたそうです。

すると
「インターバル速歩を生活に取り入れると、筋肉、血管、関節、骨、脳などが若返る、持久力がアップするなど、さまざまな効果が実証できたのです」

血管が若返るということは生活習慣病の予防や改善につながりますし、脳が若返るということは認知症の予防や改善にもなるため、現在インターバル速歩は大きな注目を浴びています。

<インターバル速歩の主な健康効果>
◆筋力アップ
◆腰痛やひざ痛が改善する
◆スタミナがつく(持久力アップ)
◆認知症の予防
◆高血圧が改善
◆動脈硬化を予防
◆糖尿病の予防、改善
◆骨粗しょう症の改善
◆肌つやがよくなる
◆アンチエイジング効果
◆睡眠の改善
など

速歩き3分+ゆっくり歩き3分で1セット、1日5セット×週4回

特別な道具が不要で、手軽に始められることがウォーキングのメリットですが、毎日続けるのはなかなか難しいもの。雨の日や体調が悪い日など、いったん休んだことをきっかけに「毎日はとても続けられない」とウォーキングそのものをあきらめてしまう人もいるでしょう。

ところがインターバル速歩は速歩き3分+ゆっくり歩き3分を1セットとして1日5セット、自分の好きなタイミングで週に4回やればOK。週末にまとめて4回やっても効果は変わりません。

「買い物に出かけるついで、出勤の往復時など、何かのついでにやっても大丈夫。自分の生活リズムやその週のスケジュールに合わせて、できるときにやればいいのがインターバル速歩のよいところです」
と能勢先生。

インターバル速歩のやり方は次回、くわしく説明しますが、ポイントは、速歩き=自分にとってちょっとキツイ運動をする時間のあとに、ゆっくり歩き=呼吸を整えてリセットする時間を作ること。この繰り返しで運動が苦手な人、体力がない人でもラクに実践することができるのです。

「日本式ウォーキング」として、 海外のメディアも大注目

実はこの歩き方、「日本式ウォーキング」として現在、海外でも大きな注目を浴びています。

「NHKの国際放送で取材していただき、『Medical Frontiers』という30分ほどの番組で紹介されました。科学的なエビデンスがあるとその効果を説明してくれたおかげで、ワシントンポスト紙などメディアで取り上げられ、カリフォルニア大学、シンシナティ大学などの研究者にも注目されました。

またオーストラリアに住んでいる健康インストラクターの方が著名なインフルエンサーだったそうで。その方がSNSで取り上げてくれたことで、いわゆるバズったようです」

放送から最初の1週間のダウンロード件数が50万件を超えて、これは新記録だといわれたそうです。

海外でここまで話題となった理由はいくつか考えられそうです。

「アメリカに住んでいる記者の方に言われたのですが、1日1万歩や8000歩なんてとても歩けない。でも30分でいいならできる——。そういうところが受けたのかもしれませんね」

また「日本式」というネーミングも海外で大きな注目を浴びた理由ではないか、と能勢先生は考えています。

「日本食、つまり和食は栄養バランスがよくてヘルシー、日本は世界でも有数の長寿国、日本製品は高品質など、海外では“日本”ブランドにいいイメージを持つ人が少なくないと思うのです。その日本人が考案したウォーキング法というのも海外の人の興味を誘ったのでしょう」

日本式ウォーキング、japaneseウォーキングだと胸を張って言える研究結果を続々、紹介してきましょう。

コペンハーゲン大学の研究者が血糖値低下、有酸素能力の向上を検証

インターバル速歩は海外の研究者の関心も呼び、効果も検証されました。その一つが、デンマークのコペンハーゲン大学の研究者による、インターバル速歩を行ったグループと従来のウォーキング(運動強度は中程度)を行ったグループでの血糖値比較です。

結果は、インターバル速歩を行ったグループのほうが血糖値は低下し、有酸素能力が向上したそう。つまり、インターバル速歩は血糖調節に対する効果があることが実証されたのです。

「糖尿病・高血圧症をはじめとする生活習慣病の予防や改善など、さまざまな健康効果のあるインターバル速歩ですが、現在、私たちは心臓リハビリテーションにもインターバル速歩を応用できないかと考えています」

また市中の薬局と連携して、一般の人にインターバル速歩を普及するプロジェクトも進行中。

「たとえば糖尿病や高血圧症など生活習慣病は薬を使うだけでなく、生活指導も大事ですよね。でも開業医の先生方は忙しくて、なかなかきめ細かな生活指導をするのは難しい。

処方された薬を販売するだけでなく、健康情報の普及に努める薬局も最近は増えています。そうした薬局、薬剤師さんからインターバル速歩のやり方やメリットを伝えていただければ、一般の皆さんにもより伝わるのではと期待しています」

筋肉量を増やすことで心身の不調を予防&改善

「体の衰えを感じる原因は筋肉量の低下で、これは加齢に伴って誰にでも起こるもの。そして筋肉量の低下こそが、生活習慣病、認知症、うつ病などさまざまな病気の根本原因ではないかと、最近考えられるようになりました。ですからインターバル速歩によって筋肉量を増やせば心身ともに健康的になる、若返ることができると言えます」

次回は体にも脳にも心にも効くインターバル速歩のやり方をくわしく説明します。

※2025年9月26日に配信した記事を再編集しています。

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