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新“火曜ドラマ”主演女優の代表作「これぞTBS火10」「本気で好き」2年前に放送された“火曜ドラマ”再び集まる注目

  • 2026.7.9
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松本若菜(C)SANKEI

松本若菜主演のTBS系 新火曜ドラマ『君の好きは無敵』の放送を前に、2024年放送の同じく火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』にふたたび注目が集まっている。家事を徹底的にしない38歳独身女性・西園寺一妃と、シングルファーザーの楠見俊直(松村北斗)、娘・ルカ(倉田瑛茉)による“偽家族”の物語は、SNS上でも「これぞTBS火10」「本気で好きなドラマ」と愛された。松本若菜の代表作の1つとも言いたくなる本作の魅力を、今あらためて振り返りたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

松本若菜の代表作と呼びたくなる、大人のヒロイン

『西園寺さんは家事をしない』の主人公・一妃は、アプリ制作会社で働く38歳の独身女性。仕事は超優秀で、周囲からも信頼される、いわゆる“しごでき”な女性だ。一方で、プライベートでは一切家事をしないと固く決めている。念願の“家事ゼロハウス”を手に入れ、ロボット掃除機や便利家電を駆使しながら、自分のための快適な暮らしを築いている。

一妃にとって、まったく家事をしない暮らしは、自分の人生を豊かに生きるための選択である。無理して家事をするよりも、頼るところは頼り、自分が笑っていられる時間を大切にする。やらなければならないと思い込んできたことを、少し疑ってみる。その軽やかさが、現代の視聴者に心地よく刺さった。

松本若菜の演技は、一妃というキャラクターをただの“強い女性”にしなかった。仕事では頼もしく、家では自由で、時にコミカルで不器用。大人の余裕があるようで、実は傷つくし、迷うし、誰かを好きになることにも戸惑う。そんな多面的な女性像を、松本はチャーミングに、あたたかく演じていた。

松本といえば、『やんごとなき一族』で見せた“松本劇場”以降、クセの強い役やシリアスな役でも存在感を放ってきた女優である。しかし『西園寺さんは家事をしない』では、地に足着けた一人の女性としての、愛嬌と説得力が光っていた。
笑いも、恋も、寂しさも、全部を一人のなかに自然に同居させる。そのバランスこそ、本作が松本若菜の代表作の一つと言いたくなる理由だ。

家事と家族を抱えすぎない生き方

物語は、アメリカ帰りの天才エンジニア・楠見俊直が転職してくるところから動き出す。無愛想で合理的、一見とっつきにくい楠見だが、実は幼い娘・ルカを育てるシングルファーザー。あるトラブルで住む場所を失った楠見親子を、一妃が自宅の離れに住まわせることになり、奇妙な共同生活が始まる。

ここで生まれたのが、血縁でも夫婦でも恋人関係でもない“偽家族”という関係だ。一妃は楠見親子を助けたい。楠見は娘との生活を守りたい。ルカには安心できる場所が必要。恋愛から始まるのではなく、生活を守るためのシステムとして関係が結ばれていくところが、この作品の斬新でユニークな点だった。

楠見はひとりで育児も仕事も抱え込んできた。一妃は、自分1人で快適に生きる術を整えてきた。どちらも自立しているようで、実は誰かに頼ることが少し苦手だったのかもしれない。

ルカの存在は、そんな2人の心をゆっくりほどいていく。大人の都合を超えて、寂しいときは寂しいと言い、うれしいときはまっすぐ笑う。ルカの愛らしさと自然な表情があったからこそ、“偽家族”の生活は単なる設定ではなく、そこに暮らしている人々の時間として立ち上がっていた。

本作が優れていたのは、家事や育児を個人の責任として閉じ込めなかったことだ。家事はできて当たり前。母親なら、父親なら、女性なら、ちゃんとやるべき。そんな無言の圧力に対して、しなくてもいい家事は手放していい、と明るく言い切った。便利家電を使うことも、仕組みで解決することも、誰かに頼ることも、決して恥ずかしいことではないのだと。

『君の好きは無敵』へつながる松本若菜の軽やかさ

笑えて、キュンとして、登場人物たちを応援したくなる王道の火曜ドラマだった『西園寺さんは家事をしない』。同時に、家事や育児、仕事に恋愛に家族といった現代の暮らしにまつわるテーマを、重くなりすぎず、軽やかなラブコメとして届けていた。

恋愛のときめきだけではなく、生活のしんどさや社会の思い込みにもそっと触れる。だけど、観終わったあとに説教された気持ちにはならない。むしろ、明日を少し楽に生きるための選択肢をもらったような気持ちになる。『西園寺さんは家事をしない』には、そんな火曜ドラマらしい温度があった。

そして2026年7月期には、松本若菜主演の新火曜ドラマ『君の好きは無敵』がスタートする。松本が演じるのは、大手経営コンサル会社のエースとして働きながら、突然FIREを宣言するキャリア女性・草壁杏奈。趣味も推しもなく、“好き”という感情がよく分からないまま生きてきた彼女が、佐野勇斗演じる訳ありキャラクターデザイナー・瀬尾深月と出会い、新たな挑戦を始めていく。

この設定には、『西園寺さんは家事をしない』と響き合うものがある。どちらも仕事はできる。自分のルールを持っている。けれど、恋や生活、人との関係には不器用なところがある。松本は、そうした“大人なのにまだ揺れる女性”を、説得力と愛嬌の両方で演じられる女優だ。

『君の好きは無敵』を前に、今あらためて見返したい。一妃の自由さと不器用さ、楠見親子とのあたたかな暮らし、そして“家族”や“好き”を決めつけないやさしさは、きっと新しい火曜ドラマを見る私たちの心も、少し軽くしてくれるはずだ。


出典:火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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