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かつて“伝説の高校生探偵”に大抜擢されたトップアイドル。常に“重すぎる主役”を引き受けてきた「役を超える俳優」とは

  • 2026.6.21
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※Google Geminiにて作成(イメージ)

人気原作の主人公役は、俳優にとって割に合わない仕事だ。すでに熱心なファンがいて、それぞれが頭の中にイメージを持っている。何をやっても「思っていたのと違う」と言われやすい席である。

山田涼介は、その席をキャリアの主戦場にしてきた俳優だ。金田一一、潮田渚、エドワード・エルリック、浦島エイジ、そして七瀬悠。並べてみるとよくわかる。原作付きの主役ばかりが、ずっと真ん中にある。

普通なら避けたくなる場所を、なぜか山田はずっと引き受けてきた。しかも俳優業の傍らで、Hey! Say! JUMPのセンターという「いちばん人前に出る席」にも立ち続けている。どちらも、いちばん見られて、いちばん比べられる席だ。考えてみると、これがこの人のキャリアの一貫性なのかもしれない。

最初から厳しい席に座った

山田は常に比べられる側に立っていた。日本テレビ系『金田一少年の事件簿』(2013年〜)では、高校生探偵・金田一一を演じている。漫画原作で、堂本剛をはじめ過去にも何人かの俳優が演じてきた役だ。視聴者はみんな自分なりの金田一像を持っていて、その上で見にくる。出てきた瞬間から比較される、という意味で、これは新人にやさしい仕事ではない。

2015年には映画『暗殺教室』で潮田渚を演じ、映画初主演を果たした。3年E組の生徒の一人として、大勢の中の一人を真ん中に据える役だ。この潮田渚で、第39回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受けている。

初めての映画主演が、いきなり人気漫画の主役。しかもただの主役ではなく、教室の中の目立たない一人を画面の重心に変える役だ。そこを任されて、しかも評価される。出発点から普通ではない。やさしい役から入って徐々に格を上げたのではなく、いちばん難しい席にいきなり据えられて、そのまま立ち続けてきた人だ。

自分がいちばん厳しい目で自分を置いた

その性質が極まったのが、2017年からはじまった映画『鋼の錬金術師』シリーズだと思う。世界中に熱心な読者を持つ漫画の主人公だ。実写化となれば、原作ファンほど身構える。だから普通、この席は「やりたい人」より「向いている人」が外から選ばれる役どころである。

ところが山田は違った。本人がもともと原作の大ファンで、当初は実写化そのものに首を振っていたほどだという。それでも最後には、他の誰にも譲りたくなかったという覚悟で、真ん中に立っている。これは面白い。いちばん厳しい目を持っているはずの人間が、自分でその席に座っているのだ。

原作を愛している人ほど、実写化は怖いはずだ。理想と違う一手が決まり手になる怖さを、いちばんよく知っているのは熱心なファンなのだから。その怖さごと引き受けて、それでも真ん中に立つ。比較される席で勝てるかどうかの前に、座る覚悟の質がまず違う。山田の主演力は、たぶんここから生まれている。

寄せるのではなく超えにいく

2022年、フジテレビ系で放送されたドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』では、B一という別人格を抱える青年・浦島エイジを演じた。一人二役を一本のドラマで成立させる難しい役どころで、原作はこちらも漫画だった。つまり「人気原作の主役」という時点で席は十分に重い。そこへさらに、二重人格という演技負荷を自分で乗せている。

ここに山田のやり方が出ている。原作のイメージに寄せて安心させる、という主演の仕方もある。けれど山田は逆をやる。寄せるのではなく、原作の器の中で別の山田まで立ち上げて、見ている側に「こんな顔もできるのか」と思わせてしまう。比較されるなら、比較を黙らせるだけの振り幅を、その一本で見せる。乗り越え方が一段違う。

放送当時、この演じ分けは山田自身のキャリア最高峰の演技だとまで評された。原作の主人公の重さと、二重人格の技術的な難しさを同時に背負って、しかも超えてきた。比較される席で寄せにいかない人なのだ、と改めて感じた一本だった。

中心の席をふたつ同時に背負う

この「中心に立つ」という性質は、俳優の仕事だけの話ではない。山田はHey! Say! JUMPでもセンターに据えた時の輝きはピカイチだ。グループのセンター、ソロ役、そして俳優としての座長。よく見ると全部、同じ性質の席だ。いちばん人の視線が集まって、いちばん比べられて、それでも降りられない場所。誰かの後ろに退く道もあったはずなのに、山田はそちらへは行かなかった。真ん中で全部の視線を浴びることに、もう慣れている人だ。

思い返せば、アイドルとして中心に立ち続けてきた経験が、俳優としての座長性を支えている。逆もまた効いている。バラバラに見える活動が、「比較される席を引き受け続ける」という一本の線で貫かれている。

それでも、また同じ席に座る

そして2026年、山田はまた同じ重さの席に立つ。7月スタートの日本テレビ系ドラマ『一次元の挿し木』。彼が演じる七瀬悠は遺伝子学を研究する大学院生で、4年前に行方不明になった義妹のDNAが、インドで発掘された200年前の人骨と一致するという謎を背負う役だ。原作は2025年の第23回「このミステリーがすごい!」大賞文庫グランプリ受賞作の人気作だ。

つまりまた、すでに熱心なファンを持つ作品の主人公役。金田一の頃から続いてきた席の選び方が、最新作でも一切ぶれていない。しかもこのドラマの放送と、ソロドームツアーの東京公演は同じ7月に重なる。俳優の中心と、アイドルの中心を、文字通り同時に背負う夏になる。比較される席を一つも手放さず、むしろ二つ同時に座る。

ここまで一貫して同じ重さの席に立ち続けてきた人が、次にどう真ん中に立つのか。山田涼介の夏が、楽しみだ。


※記事は執筆時点の情報です

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