1. トップ
  2. エンタメ
  3. 「ビジュアル売れじゃない」数々の賞を総なめした“NHK朝ドラヒロイン”。常に評価され続ける「主演女優」とは

「ビジュアル売れじゃない」数々の賞を総なめした“NHK朝ドラヒロイン”。常に評価され続ける「主演女優」とは

  • 2026.6.18
undefined
2026年5月、アキュビューのブランドアンバサダーに就任しイベントで話す今田美桜(C)SANKEI

今田美桜。映画、連続ドラマ、そして朝の連続テレビ小説。看板を任される場所が、年々増えている。

ただ、今田の主演は話題先行ではない。一段のぼるたびに、その実力を賞がきちんと後ろから裏書きしてきた。新人賞、主演女優賞、そして橋田賞。そして賞が評価してきたのは、華やかさそのものではない。

どんな立ち位置に置かれても、画面の重心をそこへ移してしまう力だ。今田美桜の歩みは、その力が場所を変えて証明されてきた繰り返しだ。

積み上げた評価が賞になる

福岡出身の今田が、芝居で広く知られたきっかけのひとつが2018年のTBS系『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』だった。演じた真矢愛莉は、ヒロインの前に立ちはだかる令嬢。主役ではないが、画面に出るたびに目をひく話題の役だった。

グラビアなどでも活動していたこともあり、ビジュアルで売れた人だと見られることも少なくなかった。ただ、ヒロインに立ちはだかる役ですら、彼女が映ると目はそちらへ動く。脇に置かれても画面の中心を引き寄せてしまう。その引力が、のちの主演力の芽だった。この前後にも数多くの作品に出て、芝居の評価を積み上げていた。

それが分かりやすい形になったのが、2021年の映画『東京リベンジャーズ』だ。ヒロイン・橘日向を演じ、物語を動かすまっすぐな女の子を、太陽のような明るさで立たせた。この役で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受ける。

ヒロインという立ち位置でも、その芝居は確かに評価された。賞は、すでに積み上げていた実力を、誰の目にも見える形にしたものだ。

ドラマ初主演がいきなり受賞へ

テレビドラマで主演という看板を初めて背負ったのは、2022年の日本テレビ系『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』だった。

演じた田中麻理鈴は、出世を夢見て奮闘する新入社員。くるくると変わる表情だけで、画面の中心から物語を引っ張ってしまう。連続ドラマ初主演でありながら、その演技で第112回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞に選ばれた。

主演を任されること自体、新人には大きな挑戦だ。しかも田中麻理鈴は、出世欲をむき出しにした、決して格好いいだけではない役。それを今田は、表情ひとつで「応援したくなる人」に変えてしまう。

主演の仕事は格好よく見せることではなく、観る人をその人物に惹き込むことだ。初挑戦でいきなり受賞したのは、その一番大事な力を最初から備えていたからだろう。

任される中心が横に増える

評価が定まると、今田に主演の声をかける作品は一気に増えた。

2023年のフジテレビ系『いちばんすきな花』では、4人の主演の一人として、恋愛に不器用な美容師・深雪夜々を演じた。フジの連続ドラマで初めて主演に名を連ねた作品だ。続く2024年の日本テレビ系『花咲舞が黙ってない』では、不正を見過ごせない銀行員・花咲舞を主演で務めている。

この2作は、同じ主演でも性質がまるで違う。『いちばんすきな花』では4人の真ん中の一人として、出しゃばらず群像の均衡を保つ。『花咲舞』では一人で物語を引っ張り、痛快に正論をぶつける。一人で背負う中心にも、座組を壊さない中心にも座れる。

各局がこぞって主演を託したのは、目立てるからというより、この振り幅を信用したからだ。賞と賞の合間に積み上がったのは、作品の数ではなく、その信用の厚みだった。

佇まいを固めて次の初主演へ向かう

主演の佇まいが国民的なスケールで定まったのが、2025年のNHK連続テレビ小説『あんぱん』だ。

演じたのは、やなせたかしの妻・小松暢をモデルにしたヒロイン、朝田のぶ。高知出身の勝気な女性を、明るさと芯の強さの両方で半年間背負い切った。多くの候補の中から選ばれてつかんだヒロインで、激動の時代を生きる女性像を鮮やかに描き、第34回橋田賞に輝いている。

朝ドラのヒロインは、半年のあいだ毎朝お茶の間に居続ける仕事だ。一瞬の華やかさより、見ていて飽きない佇まいがいる。橋田賞が評価したのは、その静かで強い主演力だろう。看板を任せられるかどうかの試金石を、今田は走り切った

そして2026年、今田はさらに二つの「初」へ向かう。7月放送開始のテレビ朝日系『クロスロード 〜救命救急の約束〜』では、若き救命医・春木遥を演じる。これがテレビ朝日では初主演で、初の医者役でもある。明るく等身大の役で愛されてきた人が、命を預かる専門職へ踏み出す。できあがった型を自分から崩しにいける強さだ。

日本テレビ、フジテレビ、NHK。主演を張る局を一つずつ増やしてきた今田が、テレビ朝日の看板も、自ら取りにいく。また、秋には東野圭吾原作で松村北斗とのW主演映画『白鳥とコウモリ』も公開予定だ。

振り返れば、彼女の主演にはいつも賞がついてきたと言ってもいいぐらいだ。新人賞、主演女優賞、橋田賞。ただ、賞が裏書きしてきたのは肩書きではなく、どの立ち位置でも画面の重心を引き寄せるあの力だった。その力がある限り、次の場所でも評価はまた追いついてくる。だから安心して見ていられる。今田美桜の俳優人生は、まだ広がっていく途中にある。


※記事は執筆時点の情報です

の記事をもっとみる