1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お前のこと考えてた」を「嘘つけ」と笑った夜、彼が黙ってスマホで返してきた答え

「お前のこと考えてた」を「嘘つけ」と笑った夜、彼が黙ってスマホで返してきた答え

  • 2026.5.27
ハウコレ

私たちは付き合って3年、同棲して半年になるカップルです。彼は普段から口数が少なく、愛情表現が得意なタイプではありません。だからその夜、彼が口にしたひとことを、私は冗談だと受け流してしまったのです。

不器用な彼の「考えてた」

その日は仕事が長引き、家に帰り着いたのは夜9時を回っていました。リビングのソファでは、彼がスマホをいじりながらくつろいでいました。「おかえり」と短く返してきた彼に、私は「ただいま」と返して、すぐに部屋着へと着替えました。

ソファの隣に座って、なんとなく彼の手元を覗き込みながら聞いたのです。「今何してた?」。普段なら「ネット見てた」とか「何も」とそっけない返事が返ってくるところでした。けれどその夜、彼は少しだけ間を置いてからこう言いました。「お前のこと考えてた」。

つい吹き出してしまい、私は笑いながら「嘘つけ」と返しました。普段甘い言葉を一切口にしない彼が、急にそんなことを言うはずがないと思ったのです。冗談だと受け止めた私を、彼は黙ったまま見ていました。

「ほら」と差し出されたスマホ

彼の表情が、ほんの少しだけ変わったのが分かりました。何かを言いかけて、それを飲み込んだような顔でした。そして彼は「……ほら」とだけ言って、自分のスマホを私の方に向けたのです。

画面に映っていたのは、夜景の見えるレストランの予約画面でした。日付は来月の私の誕生日。何カ月か前に、私がふと「いつか行ってみたいね」と話したお店でした。あの会話を、彼が覚えていたなんて思いもしませんでした。

「えっ……」と声が漏れました。彼は何も言わず、画面をスワイプしました。次に出てきたのは、私の親友とのチャットの履歴でした。

一カ月前から積み重なっていた準備

「あいつが最近欲しがってるブランド、何だっけ」。彼が親友に送ったメッセージでした。日付を遡ると、やりとりは1カ月以上前から続いていました。検索履歴には、私の好きな花、レストランの口コミ、誕生日プレゼントの候補がずらりと並んでいました。

普段はそっけない彼が、私の知らないところでこんなに丁寧に準備を進めていたのです。私は画面から目を上げられませんでした。「ごめん、本気にしてなくて……」。

彼は少しだけ笑って、「いいよ」と短く答えました。普段からあまり感情を表に出さない人だからこそ、その一言がいつも以上に重く感じられました。

そして...

「本当は誕生日まで黙ってるつもりだったんだけど」。彼はそう言って、スマホをそっと閉じました。私は何も言えず、ソファに座ったまま顔を伏せました。

その夜、私は布団に潜って、しばらく出てこられませんでした。「嘘つけ」と笑った自分の声が、ずっと頭の中で繰り返されていたのです。普段から口数が少ない人の「考えてた」は、私が思っている以上に重い言葉だったのかもしれません。

来月の誕生日、私はちゃんと驚いた顔をしてみせるつもりです。彼の準備を台無しにしてしまったぶん、せめてその日は精一杯、嬉しいと伝えたいと思っています。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる