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夫の不倫を苦に自ら命を絶ったはずが、目を覚まし、しかも5年前に戻っていた!? 繰り返しの人生で、サレ妻は未来を変えることができるか?【書評】

  • 2026.5.24

【漫画】本編を読む

あの時に戻れたら、次は絶対失敗しないのに。誰もがそんなことを思う瞬間があるだろう。『浮気夫、三度目の正直で地獄行き』(おてんば松尾:原作、まゆか!:漫画/KADOKAWA)は、夫の不倫ですべてを奪われた女性が、過去へと戻り、やり直しの人生で復讐を果たそうとするタイムリープ物語である。

物語は、夫・雄一の裏切りによって子どもを奪われ、絶望の末に命を絶った妻・美鈴の視点で進んでいく。浴室で自ら手首を切り命を落としたはずの彼女が目を覚ますと、そこは5年前、第一子妊娠中の病院だった。

「もう一度やり直せる」という状況は希望であると同時に、今後の地獄を知る者にとっては冷酷な現実でもある。美鈴は未来を変えるため、夫との離婚を未然に防ぐべく動き出す。前の人生同様に浮気の証拠をつかみながらも、2度目は同じ失敗をしないよう注意深く行動し、夫が自分のもとに戻ってくるように努力する姿は、他の作品で描かれるサレ妻像とは一線を画すものだ。それでも、美鈴の運命は作品タイトルが示す通り、またリセットされてしまうことになるのだが……。愛と復讐、そして母親としての覚悟が交錯する展開に目が離せない。

「すでに知っている未来」を背負った人間が、どのように選択を変えていくのかが本作の見どころだ。過去に戻ってやり直すたびに、夫への愛情が薄れ、逆に憎しみに変わっていく一方、我が子を守りたいという思いは増していく。美鈴の複雑な心境の変化が、物語にリズムと独特の緊張感を生み出している。

読後に残るのは、人生をやり直すことが本当に救いになるのかという問いである。過去を変えることはできても、人間の本質まで変えられるかはわからない。本作はその事実を突きつけながら、逆説的に「人生の不可逆性」の重みを感じさせるのだ。

文=時任邪武郎

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