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「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の“ロックスタッズ”パンプスが描く、反骨とエレガンスの新章

  • 2026.5.15

よりシャープに、よりセンシュアルに。どこかパンクで、ほんの少し危険。メタリックな仕上げを施したスクエアトゥ、足首へと這い上がるような繊細なストラップのケージ構造、そしてローマのルネサンス建築に見られる石積み装飾“ルスティカ仕上げ”から着想を得たアイコニックなスタッズ。「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の“ロックスタッズ”は、反骨精神を宿したスティレットヒールの神話的存在であり、いつだって“端正さ”と“反抗心”の間を軽々と歩んできた。

新作“ロックスタッズ”パンプスをフィーチャーした、「ヴァレンティノ」2026プレフォールコレクションのビジュアル。 Courtesy of Valentino

その神話を現代のムードへと引き寄せるのが、クリエイティブ ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレだ。メゾンの2026年プレフォールコレクションで再デビューを果たした“ロックスタッズ”は、レーススカートの足もとに覗かせたり、デニムのミニスカートに合わせるステートメントなパンプスとして登場したり、羽根飾りをあしらった'80年代風ネグリジェジャケットの下から、装飾タイツとともにグラフィカルなアクセントとして姿を見せたりと、“節度ある挑発”というイメージを再び描き出している。

新作“ロックスタッズ”パンプスをフィーチャーした、「ヴァレンティノ」2026プレフォールコレクションのビジュアル。 Courtesy of Valentino

初代モデルが登場したのは、メゾンの2010-11年秋冬コレクション。ピエールパオロ・ピッチョーリとマリア・グラツィア・キウリによる詩的で反逆的な提案は、その後のファッションアクセサリーの時代を象徴する存在となった。シックと反骨、エレガンスと奔放さ、その狭間で絶妙なバランスを保ちながら、多くの人々を魅了する“憧れの一足”へ。数々の印象的なキャンペーンやコラボレーションを通じて、その大胆な魅力は再解釈され、パンプスという枠を超えた現代のアイコンへと昇華していった。

現在アレッサンドロ・ミケーレは、そのカラーパレットも拡張した。定番のニュートラルトーンに加え、鮮やかなグリーンやライトブルーを採用し、象徴的なケージ構造のレザーストラップはさらに繊細に。つま先にはプラチナ仕上げを施し、内側にはブランドの伝説的ディテールでもあるレッドソールを忍ばせることで、端正なジオメトリーにわずかな“ノイズ”を加えている。

「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」新作“ロックスタッズ”パンプスのキャンペーンより。 Courtesy of Valentino

ヒールは10センチと4センチの2種類を展開。メゾンの最新キャンペーンでは、モデルのリビー・タヴァナーがそのヒールを響かせながらローマの街を歩く。ジョニー・デュフォーが撮影し、シェイン・ラヴェルディエールがディレクションを手がけた本キャンペーンの舞台は、当然ながらローマ。大理石と水が織りなす繊細な対話によって形づくられた、壮麗な都市空間が背景となっている。

「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」新作“ロックスタッズ”パンプスのキャンペーンより。 Courtesy of Valentino

肩に無造作に掛けたファーや、ランジェリーを思わせるセンシュアルなディテール。映画のワンシーンのようなフラヌール(遊歩者)を描くキャンペーンでは、静止したポーズや盗み見たような仕草が印象的に映し出される。ヴァンドルディ・シュール・メールの『Les Filles Désir』が流れる映像の中、“ロックスタッズ”はローマ的エレガンスのグラマラスな遺物のようにリズムを刻む。冷ややかでありながら熱を帯びたその魅力は、端正な構造美を保ちながらも、アレッサンドロ・ミケーレによってさらに誘惑的な緊張感を与えられている。

モデルのビアンカ・バルティが、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の“ロックスタッズ”パンプスを着用。 Manuele Mangiarotti / ipa-agency.net

すでにアン・ハサウェイやリリー・アレン、ビアンカ・バルティ、ナオミ・ワッツ、ブリット・ロウワー、ナターシャ・リオンら多くのセレブリティが“ロックスタッズ”を愛用。さらに最近公開された『プラダを着た悪魔2』の予告編にも登場している。メリル・ストリープ演じるミランダ・プリーストリーが、ピラミッドスタッズをあしらったレッドパテントの“ロックスタッズ”パンプスで歩く姿が印象的に映し出されていた。現在は生産終了となっているモデルだが、その一瞬の登場が、ファッションピースとしての記憶と欲望を再び呼び覚ました。

シンガソングライターのリリー・アレンも「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の“ロックスタッズ”パンプスを着用。 Vittorio Zunino Celotto

そしておそらく、“ロックスタッズ”の真価はここにある。ヒールの高さではなく、人々の想像力やポップカルチャーの中に存在し続ける力。ランウェイと衣装、ルックブックと映画、その境界を軽やかに横断しながら、同時多発的に現れる“モードの原型”として生き続けているのだ。端正さと反骨、エレガンスと不良性――相反するものを同じ靴に同居させ、なおかつ古びない。これ以上のアイコンが、どれだけあるだろう。

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