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「褒められると不安になる人」の心理とは。どんな理由が考えられる?

  • 2026.5.12

「すごいね」「よくできてるね」などと褒められたとき、素直に喜べずに胸がざわざわした経験はありませんか? なぜでしょうか。褒められたのに不安になってしまう人は、割と多いようです。

その不思議な心理メカニズムと、そうなってしまう人によくある傾向を、保健師やメンタルヘルススペシャリストの資格を持つ株式会社TAYORI代表取締役・奥野実羽心さん監修のもとお届けします。

褒められているのに不安になるのはなぜ?

褒め言葉は本来、受け取った人を嬉しくさせるはずのものです。しかし、不安や居心地の悪さを感じる人にとっては、それがむしろプレッシャーや恐怖として届いてしまいます。

その背景には、いくつかの心理的なしくみが関係しています。

自己評価と他者評価のギャップがある「インポスター症候群」

まず多くの場合、「自己評価と他者評価のギャップ」が不安の根本にあります。

自分では「たいしたことない」「まだまだだ」と感じているのに、相手に高く評価されると、「自分の実態を正しく見ていないのではないか」「そのうちバレてしまうかもしれない」という恐れが生まれます。

この状態は心理学的に「インポスター症候群」と呼ばれます。

TIPS|自分を正当に評価できない「インポスター症候群」

インポスター症候群とは、自分の成果や能力を正当に評価できず、「本当は大したことがない自分がうまく周囲を欺いているだけ」と感じてしまう心理パターンです。

1970年代にアメリカの心理学者クランスとアイムスによって提唱されて以来、幅広い研究が積み重ねられており、高い能力を持つ人や、完璧主義的な傾向が強い人に見られやすいとされています。

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また、褒められることで「次も同じ結果を期待されている」と感じ、プレッシャーが高まるケースもあります。「褒められる=ハードルが上がる」という構図が頭の中に生まれると、称賛そのものがストレスになります。

さらに、幼少期に「褒められたのに後から批判された」「条件付きの愛情しか受け取れなかった」という経験があると、褒め言葉を額面通りに受け取ることが難しくなります。過去の記憶が、現在の人間関係にも影響を与え続けているのです。

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「褒められると不安な人」によくある性格傾向

褒められると不安を感じやすい人には、いくつか共通する傾向が見られます。自分に当てはまるものがないか、確認してみてください。

完璧主義な一面がある

高い基準を自分に課しており、少しでも「完璧でない部分」があると成功とみなせません。

そのため、他者から評価されても「本当はもっとできたはずだ」「偶然うまくいっただけ」と感じやすく、褒め言葉を素直に受け取る前に打ち消してしまいます。

「どうせ続かない」と先を読んでしまう

褒められた瞬間よりも「次はうまくいかないかもしれない」という未来への不安が先走ります。今の成功を手放しに喜べず、「また頑張らなければ」と焦りに変換してしまう傾向があります。

他者からの評価に自己価値をゆだねている

「誰かに認められているから自分には価値がある」という感覚が根底にある場合、評価が一時的なものに見えると不安定になります。

褒められることで安心するよりも、「この評価が消えたらどうなるか」という恐怖を感じやすくなります。

褒め言葉を「お世辞」として解釈しやすい

自己評価が低い人は、褒められても「本心ではないかもしれない」「気を遣っているだけだろう」と受け取ることがあります。相手の言葉の裏を読もうとすることで、純粋な称賛も信じにくくなります。

謙遜を美徳だと思っている

文化的な背景や育ちの中で「褒められたら否定するのが礼儀」という価値観を持つ人は、褒め言葉を受け取ること自体に罪悪感を覚えることがあります。

「素直に喜んではいけない」という感覚が、不安として表れることも少なくありません。

専門家に聞く! 褒め言葉を素直に受け取る考え方

では、褒め言葉を素直に受け取るにはどうしたらいいでしょうか。監修者の奥野実羽心さんは次のように語ります。

奥野さん:まずは、「自分は褒め言葉を素直に受け取れていないんだ」ということを自覚することが、一番最初のステップです。自覚することができれば、褒められ時に、「あ、また否定する癖が来た!」と思って、受け取る準備ができると思います。

二番目のステップとして、褒め言葉を「自分の能力が証明された」と捉えるのではなく、「相手からの贈り物」として受け取ってみてください。

褒められると「本当に自分はすごいのか?」と客観的な証拠を探したり、疑ってしまいそうになりますが、その必要はありません。「相手がそう感じてくれた」という事実そのものを、贈り物として「ありがとう」と受け取るだけで良いのです。

そして三番目に、自分の成功を「運」や「周囲のおかげ」と思う前に、そこに至るまでの自分のアクションを認めてあげてください。運を掴むための準備や、周囲に助けてもらえる関係性を築いたのは、他でもないあなた自身です。

自己評価は一朝一夕には変わりません。しかし、この3つのステップを意識して他者のポジティブな視点を少しずつ取り入れることで、あなたの中の「厳しい裁判官」は、やがて「温かい応援団」へと変わっていくはずです。

焦らず、まずは小さな「ありがとう」から始めてみませんか。

監修者プロフィール

株式会社TAYORI 代表取締役 奥野実羽心

保有資格

看護師(国家資格)
保健師(国家資格・看護師の上位資格)
健康経営エキスパートアドバイザー(最上位資格・2年更新)
メンタルヘルススペシャリスト
マインドフルネスコンサルタント
第一種衛生管理者免許
片づけ収納スペシャリスト

<Text:外薗 拓 Edit:編集部>

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