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「ニホンカワウソはまだいる?」最後の目撃から約半世紀の“未解決ミステリー”に迫る展覧会が四国水族館で開催

  • 2026.4.27

最後の目撃から約半世紀――今もなお“いるかもしれない”と語られる特別天然記念物・ニホンカワウソ。その謎に迫る特別展「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」が、四国水族館で2026年3月20日からスタート。期間は暫定5年間と、じっくり向き合える長期企画だ。

四国カワウソ捜索マップ
四国カワウソ捜索マップ

“捜索隊員”として参加!没入型の特別展

四国の水景を展示する四国水族館が、四国の水辺の象徴ともいえるニホンカワウソにフォーカス。会場は“大捜索隊司令部”という設定で、来場者が隊員として参加する体験型展示になっている。

特別展「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」イントロ ガイダンス
特別展「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」イントロ ガイダンス

ニホンカワウソは1979年に高知県須崎市での目撃情報を最後に、確かな生存情報が途絶えている。こうしたことを踏まえ、2012年に環境省が絶滅を宣言したものの、愛媛・高知・徳島3県のレッドリストでは、今も“絶滅危惧種”として扱われている。

つまり、結論はまだ出ていない。本展では、その“あいまいさ”こそがテーマ。来場者自身が資料や証言をもとに、存在の可能性を考えていく。

大捜索隊の隊⾧・ニホンカワウソのお景(おきょう)。ニホンカワウソが“いる”か“いない”か、問いかけてくる
大捜索隊の隊⾧・ニホンカワウソのお景(おきょう)。ニホンカワウソが“いる”か“いない”か、問いかけてくる

展示は6つのゾーンにて構成されている。はじめのイントロ ガイダンスゾーンでは、大捜索隊の隊⾧・ニホンカワウソのお景(おきょう)が登場。「ニホンカワウソはまだいるのか?」という問いかけから、物語がスタートする。

貴重資料が集結!記録資料室

次のゾーン「記録資料室」では、保護活動の歴史や目撃情報を時系列で紹介。国内で唯一、ニホンカワウソの飼育展示を行った愛媛県の道後動物園(現・愛媛県立とべ動物園)の貴重な資料も見逃せない。

保護活動の歴史を示した年表
保護活動の歴史を示した年表

新聞記事をイメージした展示や書籍など、断片的な情報をつなぎ合わせることで、見えてくる“かつての姿”を思い浮かべながら、ニホンカワウソについて知ることができる。

ニホンカワウソの目撃情報。当時の新聞記事をイメージしている
ニホンカワウソの目撃情報。当時の新聞記事をイメージしている
ニホンカワウソ研究の第一人者・清水栄盛さんの著書「ニッポンカワウソ物語」(愛媛新聞社)
ニホンカワウソ研究の第一人者・清水栄盛さんの著書「ニッポンカワウソ物語」(愛媛新聞社)

期間限定!“本物”の毛皮展示

春休みと夏休みの期間限定で公開されるのが、ニホンカワウソとされる毛皮。須崎市教育委員会が所蔵し、県外初公開となる貴重な標本資料だ。

保温性の高さから防寒具として重宝され、乱獲の対象となった歴史を物語る一品で、毛並みやその色合いだけでなく指や爪まで残る保存状態のよさも印象的。実物を見ることで、存在へのリアリティがいっきに増す。

特徴から、ニホンカワウソの可能性が高いとされる毛皮。捕獲場所が不明のため、学術的には推定とされる
特徴から、ニホンカワウソの可能性が高いとされる毛皮。捕獲場所が不明のため、学術的には推定とされる
毛並みはもちろん、色合いや指や爪までしっかり残っている。桐箱に入っていたため、保存状態がとてもよいのだそう
毛並みはもちろん、色合いや指や爪までしっかり残っている。桐箱に入っていたため、保存状態がとてもよいのだそう

作戦指令室で“目撃情報”を追え!

そして、トンネルを抜けると現れるのが「作戦指令室」。大型モニターには過去の映像や証言が映し出され、スクロールビジョンには最新の目撃情報や来場者の声がリアルタイムで表示される。

作戦指令室へ通じるトンネルの壁面と天井には、当時の新聞記事風のコラージュが。中には、最後の飼育個体マツの姿も
作戦指令室へ通じるトンネルの壁面と天井には、当時の新聞記事風のコラージュが。中には、最後の飼育個体マツの姿も
大型モニターが並ぶ、作戦指令室
大型モニターが並ぶ、作戦指令室

会場内のビジョンに映し出されるお景との対話も可能で、情報を集めながら“捜索の最前線”を体感できるのがポイントだ。

モニターのお景とは対話が可能。たくさん話しかけて、ニホンカワウソのことをもっと知ろう!
モニターのお景とは対話が可能。たくさん話しかけて、ニホンカワウソのことをもっと知ろう!

はく製標本の存在感も見逃せない!

展示のハイライトは、1966年に高知県大月町で保護された個体のはく製標本。迫力ある姿から、実在した動物としての重みが伝わる。

迫力のある表情のニホンカワウソのはく製標本
迫力のある表情のニホンカワウソのはく製標本
ニホンカワウソは、頭から胴体の長さが約55〜80センチメートル、尻尾の長さが約35〜60センチメートルと、かなり大きい
ニホンカワウソは、頭から胴体の長さが約55〜80センチメートル、尻尾の長さが約35〜60センチメートルと、かなり大きい

保護された場所や身体的特徴からニホンカワウソと推測される。2026年度中には、大学との共同研究によるはく製の遺伝子解析も予定されており、科学的検証にも注目が集まる。

体験で学ぶ!トレーニングlabo

フィールド調査を疑似体験できる「トレーニングlabo」では、足跡やフン、毛皮などから生態を学習。中でもユニークなのが“フンのにおい体験”。においを嗅ぐのにちょっと勇気がいるが、リアルな生態理解には欠かせないポイントだ。

トレーニングlabo
トレーニングlabo
近縁種であるユーラシアカワウソのフンのにおいを再現した展示
近縁種であるユーラシアカワウソのフンのにおいを再現した展示
どんなにおいがするのか……しっぽをずらして、おしりの穴をイメージした穴から嗅いでみよう
どんなにおいがするのか……しっぽをずらして、おしりの穴をイメージした穴から嗅いでみよう

さらに、カナダカワウソの毛皮に触れられる展示では、水を弾くカワウソの毛皮の二重構造を体感できる。

カナダカワウソの毛皮を触ることができる。優しく触ろう
カナダカワウソの毛皮を触ることができる。優しく触ろう

未来ゾーン&フォトスポットも充実

ラストは、絶滅危惧種や環境保全について考える未来ゾーン。学びのあとは、巨大カワウソのフォトスポットで、記念撮影も楽しもう。

フォトスポット「巨大カワウソ」
フォトスポット「巨大カワウソ」
ユニークなフォトプロップスも
ユニークなフォトプロップスも

出口にはショップ「カワウソショップ おった」も併設。限定グッズやカワウソくじ(1回1200円)など、遊び心あるアイテムがそろう。また、1階インフォメーションで手に入る、魚朱印(300円)にも、カワウソバージョンが登場している。

「カワウソショップ おった」。四国の方言「おった!(いた!)」と、カワウソを意味する英語の「otter」をかけている
「カワウソショップ おった」。四国の方言「おった!(いた!)」と、カワウソを意味する英語の「otter」をかけている
ハズレなしのカワウソくじ
ハズレなしのカワウソくじ
「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」バージョンの魚朱印。こちらはインフォメーションで購入できる
「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」バージョンの魚朱印。こちらはインフォメーションで購入できる

本物のカワウソにも合える!

展示で学んだあとは、館内のカワウソたちにも合いに行こう。同館では4頭のコツメカワウソが飼育されており、元気に走り回ったり、ゆっくり寝ていたり、さまざまな表情を見せてくれる。

有料体験プログラム「コツメカワウソのふれあい体験」では、エサやりも可能なので、ぐっと距離が縮まるはずだ。

1階、屋外エリア潮風の庭にいるのは、大分マリーンパレス水族館うみたまごから里帰りしたツバキと2頭の子どもたち、まめ吉とつね吉
1階、屋外エリア潮風の庭にいるのは、大分マリーンパレス水族館うみたまごから里帰りしたツバキと2頭の子どもたち、まめ吉とつね吉
2階の淡水ゾーン「川獺がいた景」にいる、ツバキの姉妹・ナズナ。プールや陸地を活発に動く姿を観察しよう
2階の淡水ゾーン「川獺がいた景」にいる、ツバキの姉妹・ナズナ。プールや陸地を活発に動く姿を観察しよう

現存するカワウソの仲間は、全部で13種類。ニホンカワウソは本当にいなくなってしまったのか、それともどこかで生き続けているのか――。資料や体験を通して見えてくるのは、ニホンカワウソの姿だけでなく、私たち人間と自然との関わり方そのものだ。

本展は、その答えを一方的に示すのではなく、来場者一人ひとりに問いかけ、考えるきっかけを与えてくれる。ニホンカワウソの行方を追いながら、未来の自然との関わり方にもじっくりと向き合ってみてほしい。

特別展「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」

期間:2026年3月20日〜5年程度を予定

場所:本館棟2階 特別展示室

料金:無料 ※別途、四国水族館入館料が必要

コツメカワウソのふれあい体験

期間:毎日※生きものの体調などにより、予告なく中止する場合あり

時間:15時45分からのカワウソのフィーディングタイム後

場所:本館棟2階 淡水ゾーン 川獺がいた景

対象:小学生以上

人数:15人※先着順

費用:1人1000円

参加方法:イルカ棟1階インフォメーションにて当日9時から販売

四国水族館

住所:香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4

電話:0877-49-4590

営業時間:9時~18時(最終入館は17時30分)※ゴールデンウィーク期間(2026年5月2日(土)〜5月5日(祝))は9時〜21時(最終入館20時30分)※夏期は夜間延長営業あり

休館日:年中無休※ 2月にメンテナンス休館あり

取材・文・撮影=二木繁美

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