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ネトフリ発の爆発的ヒット作で“大ブレイク”!「え、同一人物!?」「気づかなかった」実は出演していた【今、話題の名作】

  • 2026.5.22

画面に登場するだけで、その場の空気を一瞬にして変えてしまう。役者としてのプライドを懸けた圧巻の演技は、時に観る者の心を大きく揺さぶるほどの力を持っています。今回は、そんな“桁違いの名演で魅せ続ける逸材”をテーマに、5名をセレクトしました。

本記事ではその第2弾として、五頭岳夫さんをご紹介します。長年培った舞台役者としての底力をカメラの前にぶつけ、日本中を震撼させる一大ムーブメントを巻き起こした話題作での圧倒的なキャラクター。五頭さんが演じることへ捧げた飽くなき情熱と、苦難の末に開花させた唯一無二のリアリズムに迫ります―。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

76歳で大ブレイクを果たした遅咲きの名俳優

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映画「教誨師」の完成披露試写会 五頭岳夫(C)SANKEI

1948年2月7日、新潟県に生まれた五頭岳夫さん。その原点は、劇団「青年劇場」に在籍し、舞台役者として20年に渡り全国を巡演した長年の舞台経験にあります。劇団在籍時は「小林直二」の芸名で活動し、映画『砂の器』(1974年)やテレビドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)、『アンナチュラル』(2018年)など、脇役ながら記憶に残る演技でさまざまな作品に出演してきました。

しかし、その役者人生は決して平坦なものではありませんでした。40代のときに大病を患い、度重なる手術と長い闘病生活を経験します。一時は表現の場から離れることを余儀なくされましたが、不屈の精神で俳優として復帰。病を乗り越え、全快した55歳の時に、生まれ変わる意味合いを込めて故郷の五頭連峰に由来する「五頭岳夫」へと芸名を変えました。その後、映画『教誨師』(2018年)で年老いたホームレスの死刑囚役を好演したことをきっかけに一躍注目を集め、76歳にして大ブレイク。“ワンデイ・ワンシーン役者”として、唯一無二の存在感を確立したのです。

ドラマ『地面師たち』で魅せた圧倒的な存在感とリアリズム

五頭さんの名演が世界中に大きな衝撃を与え、役者としての凄みを決定づけたのが、Netflixで配信され社会現象級のヒットを記録したドラマ『地面師たち』です。本作は、巨額の不動産詐欺を働く地面師グループの暗躍をスリリングに描いたクライムサスペンス。SNS上では「一気見してしまった」「配信ドラマの最高傑作」「面白すぎた」といった絶賛の声があふれかえり、Netflixの国内ドラマを代表する作品となりました。

そんな本作において、「良い意味で演技してる感じなかった」「この作品のMVP」「役に馴染んだリアルすぎる演技」と視聴者を驚愕させたのが五頭さんです。“ライフのほうが安い爺”と話題になった登場シーンでは、綾野剛さん演じる辻本拓海やピエール瀧さん演じる後藤と共に取引相手を騙す、地主のなりすまし老人役を熱演。そこにただ佇み、言葉を発するだけで、作品が持つ緊張感とリアリティを何倍にも跳ね上げる圧倒的な名演を披露しました。

このシーンでは、嘘がバレそうになるピンチの状況のなか、豊川悦司さん演じるハリソン山中によるイヤホンを使った策略で難を逃れる様子が描かれます。作中屈指の緊迫した場面かつ、本作の印象を決定づける序盤の重要なシーンであっただけに、五頭さんに懸かる重圧は計り知れないものだったことでしょう。しかし、五頭さんはそのプレッシャーを跳ね除け、息を呑むほどのリアリティで場を支配したのです。そんな神がかったシーンの舞台裏について、ニュースサイト「週刊女性PRIME」のインタビューで五頭さん自身が驚きのエピソードを明かしています。

最初は僕もセリフとして演技をしていたんだけど、大根監督が“ちょっと違う”“ちょっと違う”となって何回もやって、もう開き直ったところで耳から本当に声が聞こえてきたのでビックリしたんですけど、それに合わせて言ったんです出典:週刊女性PRIME『五頭岳夫「脳に破片」「40代からエキストラ」Netflix『地面師たち』で脚光の“ライフ俳優”が語る壮絶半生』(2024年9月7日配信)

名シーンとなったイヤホンによる伝言の場面では、実は五頭さんも知らない大根仁監督のサプライズがありました。五頭さんの持つ圧巻の表現力と相まって、演技という枠組みを超えたリアリティがもたらされたのです。加えて、何十回ものテイクを重ねながらも、大根監督の執念に応え切る五頭さんの職人肌な性格と、長年の舞台経験で培われた確かな実力が伝わってきます。

独特の存在感で作品に深みを与える輝かしい代表作

五頭さんの唯一無二のキャラクターは、数々の名作のなかで強い印象を残してきました。

映画『ディア・ドクター』(2009年)

西川美和監督、笑福亭鶴瓶さん主演による僻地医療をテーマにした名作映画に、五頭さんは村の老人・大竹清役として出演。「第33回 日本アカデミー賞」の数々の部門で優秀賞を受賞した本作への出演は、五頭さんの独特な存在感が映画界で広く認知される初期の重要な足がかりとなりました。

映画『教誨師』(2018年)

故・大杉漣さん最後の主演映画として知られる人間ドラマ。教誨師と対話をする6人の死刑囚のうちの一人、文字の読み書きができないホームレスの死刑囚・進藤正一役を演じました。その圧倒的な存在感で、役者として一躍注目を集める大きな転機となりました。

映画『茶飲友達』(2023年)

高齢者専門の売春クラブを舞台に、シニア世代の孤独や老老問題を浮き彫りにした映画。クラブを利用する老人・田村清彦役を好演しました。

ドラマ『母の待つ里』(2024年)

浅田次郎さんの小説を原作としたNHKのドラマ。都会で孤独を抱える主人公たちが買い取った「ふるさと」の村で、どこかミステリアスで温かみのある老人・ノリスケ役を好演し、作品の不思議な世界観を支える重要バイプレーヤーとして活躍しました。

少ない出番で圧倒的な存在感を示す現在地

2024年に配信されたドラマ『地面師たち』の演技が話題を呼び、70代にして大ブレイクを果たした五頭さん。2025年には、山田洋次監督の映画『TOKYOタクシー』での近所の老人役をはじめ、映画『盤上の向日葵』や『沈黙の艦隊 北極海大海戦』、さらにNetflixドラマ『イクサガミ』の農民役、Amazon Prime Video『笑ゥせぇるすまん』の魔の巣マスター役など、話題作へ次々に出演。

2026年に入ってからもその勢いは留まることを知らず、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第7回での老足軽役、WOWOWドラマ『シリウスの反証』での宮原信夫役で出演。話題のNetflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』の第5話にも、写真スタジオのカメラマン役として出演しており、その確かな名演が再び注目を集めています。SNSでは「え、同一人物!?」「気づかなかった」という声もあり、そのカメレオンぶりを発揮しています。

ワンデイ・ワンシーンで確実に爪痕を残す確かな実力と、表現への飽くなき情熱。かつて故郷の山から名を取った五頭岳夫さんは、今や日本のエンターテインメント界において、誰も代えのきかない孤高の頂へと登りつめようとしています。


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です

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