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1年以上もレスが続く、冷え切った夫婦関係――夫の愛がなくなってしまったと感じたとき、妻はどんな決断を下すのか【書評】

  • 2026.4.20

【漫画】本編を読む

『熱が冷めた私たちは』(菊池策:原作、magari:漫画/KADOKAWA)は、タイトルの通り、冷え切ってしまった夫婦関係の中で揺れる感情を描いた、切ないストーリーだ。

主人公は結婚して2年になる主婦・森口夏美。夫と穏やかな生活を送っていたが、ある問題を抱えていた。それは、夫との夫婦関係が1年もレスの状態にあることだ。義母からは妊娠を期待されるものの、夫は夏美に触れることさえ避けるようになり、夫婦の距離は少しずつ広がっていく。

大きな転機となるのは、夏美が高熱で寝込んでいた日の出来事だ。夫は「友人の葬儀に行く」と言って家を出ていくが、その日を境に態度がさらに冷たくなってしまう。やがて夏美は、夫の行動に違和感を覚え、浮気を疑うようになる。久しぶりに聞いた優しい声が、自分ではなく電話の向こうの女性に向けられていたと知ったとき、彼女の胸に広がっていた不安は確信へと変わる。

本作は、不倫や裏切りといった要素だけでなく「夫婦の熱が冷めていく過程」にスポットを当てている。大きな事件が起こるわけではない。だが、日常の些細な違和感やふとした瞬間の沈黙が、少しずつふたりの関係を壊していく。その描写は、結婚生活の現実を鋭く映し出しているのかもしれない。そして物語の背景には「夫婦とは何か」という問いがある。はたして、夫婦の愛情は永遠なのだろうか。そうではなく「感情の温度」は少しずつ下がっていくのが普通なのだろうか。では、愛情が冷め切ったとき、ふたりの関係はどうなるのか。本作はその問いに対して、明快で簡単な答えは示さない。

だから読み手は、夏美の不安や孤独に共感しながらページをめくることになる。夫婦の温度が変わっていく過程を描いたこの作品は、「愛が冷めた後の結婚」を見つめ直させる一冊だ。

文=ヒルダ・フランクリン

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