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【意外な急展開】朝ドラ「風、薫る」第2週「灯」のネタバレ感想:夫がクズでも人生を変える転機は…

  • 2026.4.13

【意外な急展開】朝ドラ「風、薫る」第2週「灯」のネタバレ感想:夫がクズでも人生を変える転機は…

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。近代看護界の先駆者となった2人の女性を主役とする物語。「風、薫る」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ! ※ネタバレにご注意ください

夫がクズというパターンであった

『明治のナイチンゲール 大関和物語』(田中ひかる・中央公論新社)を原案とし、激動の明治時代を駆け抜けた二人のナースを、見上愛・上坂樹里のダブル主人公として描くNHK連続テレビ小説『風、薫る』の第2週「灯(ともしび)の道」まで見て強く印象に残ること、それは「展開の早さ」である。

第1週で早くもりん(見上愛)の父・信右衛門(北村一輝)がこの世を去り、嫁ぎ先を探すこととなる。それはこれまで養ってくれた父を亡くし、生きていくための選択である。作品の舞台となる明治時代の結婚は、いわゆる恋愛結婚などはほぼ存在しなかったであろう時代である。しかし、それにしても夫となる亀吉(三浦貴大)との祝言は、母の美津(水野美紀)も含め、後ろ向きな空気が漂うものだった。

その亀吉自身は、飛脚から明治時代になり運送会社の社長になったような、世間的にはそれなりの人物である。しかし中身は見事なクズだった。酒癖がきわめて悪く、義母・貞(根岸季衣)も冷たくふるまう。それは、元家老の娘というりんの家柄にのみ興味を引いた結婚であり、りんという人間に対する興味がまったくみられないからという部分が根っこにある。

新婚生活もやはり展開が早く、それがろくに描かれないままあっという間に娘を出産、亀吉の目論見としては後継ぎとなる男の子が欲しかったのかもしれないが、全然興味がなさそうで、その名前すら「お前の好きにすればいいべ」という有り様である。

朝ドラの世界によく登場するクズ父という存在は有名であるが、信右衛門はつつましくありながらも理解ある存在で、クズ感ないまま退場したと思ったら、夫がクズというパターンであった。

生活のために選んだ結婚は、決して幸せなものではなかった。りんは、これは自分が選んだことだと言い聞かすが、1週目でりんが何度も口にした「間違えた」という人生の選択は、結婚生活においてもそれを感じさせるものでしかなかった。

「環」と名付けられた娘は、赤ん坊から宮島るか演じる少女へと、これまたあっという間に成長する。この数年間の暮らしを重ねても、夫婦関係は全く良くなっていないようで、環を学校に入れたいといってもどうせ嫁ぐ女に学は必要ないと却下される始末だ。あまりにもわかりやすい「間違えた」という境遇から早く脱却してほしいという気分でいっぱいになるところ、そのときは突然訪れる。

酒に酔って暴れる亀吉が「俺をなめやがって」と投げつけたものが行燈にあたり、その炎がもとで出火する。サブタイトルの「灯」がこんなところにかかるのかと、思わずあ然としてしまうが、その燃え広がる火を見て、りんと環を守るどころか腰を抜かしたようにあわてふためく亀吉、そして駆けつけた美津はといえば、亀吉だけを連れて逃げる始末。あまりにも絶望的な結婚生活であるが、向こうが逃げていったというところに関しては、少し安心する思いも得られた気がする。

環を連れたりんは、美津のもとへと逃げ込む。
「また間違えた……」
と口にするりん。つぎつぎ不幸が訪れ自省し口にする言葉が決めゼリフのようになるのはなんともつらいところだが、りんはこう決意し母に告げる。
「私、奥様、やめる!」

その言葉を聞いた美津は、毅然とした態度で、「負け戦を長引かせてはなりません!」と、東京へ逃げるようにとお金を渡す。東京にいる叔父の信勝(斉藤陽一郎)のもとに行けと。

われわれは知っている。東京にはもうひとりの主人公・上坂樹里演ずる直美がいることを。東京にいる直美と東京に向かうりんが、どういうかたちで出会うのか。2本の運命の糸がどこでより合うのか。興味は当然そこに向かう。

運命的に吹いた風が二人を結びつけた

その直美はといえば、前週に続きマッチ工場でほそぼそと働きながら暮らす日々を送っていた。りんとそのスピード感は違うのかと思いきや、直美の人生にも急展開が訪れる。工場長から本を盗んだ疑いをかけられたことがきっかけとなり工場をクビになってしまう。家族がなく身寄りの保証のない直美は、次の仕事はなかなか見つからず、妾か女郎への道をすすめられる始末。

そんな直美の心の拠り所は、お世話になった修道院の宣教師・メアリーアニャ・フロリス)だ。直美は修道院での生活によって英語力は身についている(しかしそれは現在の求職活動では発揮できる機会はないわけだが)。直美のひそかに抱いていた夢は、いつかメアリーにアメリカへと連れていってもらうことだった。マッチ工場で働き少しずつお金をためるのもそのためである。

しかし、その夢ははかなくついえる。メアリーは伝導のために今度はインドへ行くのだと。そこについていくことはできないばかりか、それを「逃げ」と指摘されてしまう。

直美もまた、心の拠り所と仕事、ある意味すべてを失ってしまった。東京へ来たりんもまた、頼りにした信勝の店は閉店、結局環を連れて家と仕事を探さなければならなくなってしまい、母の選択すら「間違った」のかと心配になってしまう。

それぞれ途方にくれ歩く二人の主人公。そこに一陣の風が吹く。環が手に持っていた風車が風に飛ばされてしまい、その風車が直美のもとに届く。運命的に吹いた風が二人を結びつけた。それぞれ交わることなく全く違う人生を歩んできた二人の主人公。その出会いはこの作品のスピーディ感そのままに思ったよりも早く訪れた感がある。

直美がりんに教会の炊き出しの存在を教えると、武士の血筋、家老の娘ゆえのプライドか、りんはそれを躊躇する。それを「くっだらない」と一蹴し、「あんた士族でしょ?」と逆にその馬鹿馬鹿しさを指摘される。

その後、職を探すりんの前に突如として現れた紳士・卯三郎(坂東彌十郎)。彼はこう言った。
「女のすごろくの上りが奥様だけではない」

“上がり”を結婚ととらえる旧来の考え方も手伝い、間違いを続けてきたりんにとって、卯三郎、そして直美との出会いはどのような変化をもたらすだろうか。そして直美もまた、りんとの出会いで何かが始まるのだろうか。

ともあれ早くも2週目に出会ってしまった、それぞれ違う境遇のふたり。この先もスピーディな展開で息つく間もなくその人生は転がっていくのだろうか。

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