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人間が「ペット」として飼われるという斬新な世界設定から、私たちが動物を飼い愛でることの本質が見えてくる【書評】

  • 2026.4.3

【漫画】本編を読む

『誉!ニンゲンの飼い方』(ぴえ太/KADOKAWA)は、もし人間という生き物が、どこか別の知的生命体に飼われている存在だったとしたら……という視点から描かれる人気シリーズの第4弾だ。

主人公であり語り手となるのは、性格も価値観もバラバラな「ニンゲン」の飼い主である魔獣や魔人たち。数年に一度、どこからともなく現れる謎の生物「ニンゲン」を、彼らは人間世界のペットのように飼育している。食べ物の好みや性格に個体差があったり、謎のこだわりが強かったりと、まだまだわからないことだらけのニンゲンの生態を観察しながら、魔獣たちは愛情を込めてニンゲンの世話に励むのだった。

本作に登場する魔獣たちは、人間を危険な存在でも支配対象でもなく「手がかかるけれど愛しい生き物」として扱っている。彼らはニンゲンの習性を観察し、落ち込んでいれば元気づけようとし、怒っていれば理由を探り、孤独そうならそっと寄り添う。その気遣いはしばしば少しズレているが、それでも彼らは決して諦めない。なぜなら彼らにとってニンゲンは「理解したい存在」だからだ。魔獣たちの奮闘ぶりが本作の大きな魅力だ。

そして異世界の生物が、ペットのように「人間を飼う」というメタファーを通じて、この作品が人間と愛玩動物との関係の本質を優しく、そして痛快に描いているということに気づくはずだ。危険な生物に襲われないように注意深く見守り、動物病院で健康診断を受けさせる。例えば「武士」を飼う魔獣が、おもちゃとして槍のようなものを与える話は、何をすればニンゲンが喜ぶのかを考える「飼い主」の気持ちが手に取るようにわかり、我が家のペットのことを思い浮かべることだろう。

最後に、ニンゲン同士の会話も注目してほしい。それぞれの家での出来事や飼い主のしてくれたことなどを情報交換する彼らを見ていると、公園や散歩中にじゃれ合う犬たちが何を話しているのか、そんなことが気になってしまうのである。

文=織部修司

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