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モネの傑作80点余が集結。世界最大の印象派コレクションを誇るオルセー美術館の魅力

  • 2026.4.2

最晩年まで光を追い続けたクロード・モネ。

オランジュリー、オルセー、そしてマルモッタン・モネ。この3つの美術館には彼の大河のごとき画業が凝縮されている。


異端が本流になった絵画史の潮流を体感する

印象派展示室。中央左はモネの《サン=ラザール駅》(1877年)。左は《パリ、モントルグイユ街、1878年6月30日の祝日》。右の彫像作品はドガの《踊り子》。

1900年のパリ万博に合わせてセーヌの左岸に建てられた壮麗な駅舎。その建物が美術館として生まれ変わったのは1986年のことだ。

かつての駅舎が美術館に大変身。中央の展示空間には彫刻が並び、その両側のエリアに絵画作品等の展示室がある。

駅という前身を想わせる大時計は今も時を刻み続けており、かつてのホームだった細長い展示空間には、ガラスの大天井からの光が豊かに満ちている。

印象派展示室へ向かう途中にある見事な大時計は美術館のシンボル。ガラス越しに見えているのは、モンマルトルの丘。

収蔵するのは1848年から1914年までの作品。印象派の時代と重なるこの美術館が、世界最大の印象派コレクションを誇るのは偶然ではない。

なぜこれほどの傑作がここに集まっているのだろうか。《サン=ラザール駅》《ルーアン大聖堂》《積みわら》《日傘の女》など、モネの代表作だけでも80点余り。それはまさに、印象派が「異端」から「正典」へと認められていった歴史の証なのだ。

1892年~94年にかけてモネが取り組んだ《ルーアン大聖堂》。制作された約30点のうち、5点がオルセー美術館の所蔵。
《戸外の人物習作:左を向いた日傘の女》(1886年)。モデルは再婚相手アリスの娘シュザンヌ。モネの死後、息子ミシェルが1927年にルーヴルへ寄贈、ジュ・ド・ポームを経てオルセーへ。

ギュスターヴ・カイユボットは印象派の画家であると同時に、仲間たちの作品を購入して彼らを支えた。1894年、彼のおよそ70点の印象派コレクションが国家に遺贈された際、保守的な美術界からの反発や、展示先となるリュクサンブール美術館のスペース不足もあり、全点展示を求める遺言に対し、交渉の末に40点が受諾された。モネの《サン=ラザール駅》はこの遺贈で国家の手に渡った一点だ。

1911年にはカモンド伯爵が珠玉のコレクションをルーヴル美術館に遺贈した。伯爵はモネの「連作」というスタイルを深く理解した稀有な人物で《ルーアン大聖堂》、《ロンドン国会議事堂》も蒐集していた。3年後、これらがルーヴルで公開された時、モネは73歳。存命のうちにルーヴルに作品が並ぶという画家最高の栄誉を、かつての「異端児」は手にした。こうして印象派の名品はリュクサンブール美術館、ルーヴル美術館、さらにジュ・ド・ポーム美術館と所を変えながら、1986年、ついにこのオルセー美術館に集結したのである。

《積みわら、夏の終わり》(1891年)。連作の最初のテーマ。1975年、カナダの匿名寄付により国立美術館がジュ・ド・ポーム美術館のために購入。後にオルセーへ。

Musée d'Orsay(オルセー美術館)

セーヌ川に面して美しい姿を見せるオルセー美術館。

所在地 Esplanade Valéry Giscard d'Estaing, Paris
電話番号 01 40 49 48 14
営業時間 9:30~18:00(木曜は~21:45)
定休日 月曜
料金 一般 16ユーロ(オンライン)、14ユーロ(窓口)
https://www.musee-orsay.fr/fr
※事前オンライン予約を推奨

文=鈴木春恵
写真=小野祐次

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