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22年前、絶対的エース卒業後に放った逆襲。レジェンド達が集結した“一番尖ったモー娘。”

  • 2026.6.4

2004年5月。初夏の陽光が照らす街角のCDショップ。グループの絶対的エースとして君臨した安倍なつみが卒業を果たし、モーニング娘。は大きな転換期を迎えていた。新体制となった14人の少女たちが進むべき道に注目が集まる中、街頭のスピーカーから突如として鳴り響いたのは、従来のポップ路線を完全に覆すような重厚なギターリフであった。

モーニング娘。『浪漫 〜MY DEAR BOY〜』(作詞・作曲:つんく)ーー2004年5月12日発売

大黒柱の離脱という最大の転換期において、プロデューサーのつんくが仕掛けたのは、守りのポップスではなく、圧倒的な攻撃性を秘めた硬派なロックサウンドであった。

伝説の演奏陣が支える重低音の衝撃

通算22枚目となるシングルは、アイドルの概念を覆す挑戦的な音作りを敢行した。サウンドの要となる生演奏には、1980年代から1990年代のロックシーンを牽引した伝説的バンドのメンバーが集結している。

ベースにはLINDBERGの川添智久、キーボードにはREBECCAの土橋安騎夫が参加し、重厚なグルーヴの骨格を作り上げた。さらに楽曲の緊張感を高めているのが、BARBEE BOYSのKONTAが担当したソプラノサックスの音色である。硬質で鋭いフレーズが、容赦のないデジタルビートと絡み合い、都会的でありながら骨太な凄みを与えている。

プロデューサーのつんくは、凄まじいかっこよさを持ったメロディが沸々と湧き出たと明かしている。通常は特定の歌い手を想定してから作曲を始めるが、湧き出た旋律に関しては、五線譜に書き上げた瞬間にモーニング娘。しか考えられないという確信に至った。

つんくの脳内には、音の配置だけでなく、ステージでの衣装やミュージックビデオでの激しいダンスパフォーマンスの視覚的イメージまでが、一本の線で繋がって見えていたのである。超一流のロックミュージシャンたちの招集も、頭の中の完璧なビジョンを現実の音像へ具現化するための必然の選択であった。

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2004年5月、「モーニング娘。CONCERT TOUR2004春」さいたまスーパーアリーナ公演より(C)SANKEI

新体制を牽引する鋭い歌声

絶対的エースの卒業という局面は、残されたメンバーたちが真の表現者へと進化するための試練であった。センターに立った藤本美貴は、圧倒的な声量と芯の強い歌声で、激しいロックサウンドに真っ向から立ち向かう存在感を放っている。

高橋愛は、持ち前の瑞々しさと憂いを帯びたニュアンスで旋律に豊かな表情を刻み、石川梨華は甘さの奥に凛とした強さを秘めた声を響かせ、重要なアクセントとして機能している。

藤本、高橋、石川を中心とした歌唱の布陣は、互いの声が激しく火花を散らすような緊張感を生み出す。声を張り上げ、全力でメッセージを叩きつけるパフォーマンスは、新時代を自らの力で切り拓くという強烈な覚悟の現れに他ならない。

危機を最大の好機へと変える瞬間の凄まじい熱量こそが、グループの新たな骨格を形成した。歌声が重なる瞬間は、重厚な楽器の音に埋もれることなく、胸へ一直線に突き刺さる。

表現者が貫いた完璧への執念

プロデューサーつんくが脳内に描いた完璧なビジョンを具現化するため、妥協を排して構築した音の風景。時代や流行の波に迎合することなく、最高峰の衝撃を追い求める表現者の強烈な執念が、傑作を生み出した。

名プレイヤーたちを惜しみなく投入し、少女たちの可能性を限界まで引き出す手法は、音楽という表現への絶対的な信頼があるからこそ成立する。最高峰のロックサウンドと、全力で命を注ぎ込む歌声の融合が、歴史に極めて硬派な足跡を刻みつけた。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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