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奇妙な画像から始まる不可解な出来事。日常のすぐ隣に潜む「見てはいけない」体験談をもとに描いた戦慄ホラー【書評】

  • 2026.3.24

【漫画】本編を読む

『この画像を見てください』(狐歪野ツッコ/竹書房)は、1枚の画像から始まる、不可解で奇妙な出来事を描いた新感覚ホラーだ。

漫画家・狐歪野ツッコ氏のもとには全国から日々さまざまな画像が送られてくる。見るからに不気味なものもあれば、一見すると何の変哲もない写真もある。しかし、それらにはひとつの共通点がある。どの画像にも、背筋が凍るような恐ろしい体験談が隠されているということだ。本書は、2024年3月から2025年7月に寄せられた「怖い画像」の中から選りすぐりの体験を漫画として描き、その背後に潜む真相に迫っていく。

例えば、高い給料につられて飛びついた「奇妙な訪問介護求人」の話。仕事内容は、姿の見えない「爺さん」を介護することだ。任された唯一の仕事は、投げかけられる問いに対して「まだだよ」と答えるだけ。しかしその屋敷で過ごすうちに雇い主の夫婦は次々と怪我を負い、事態は不穏な方向へと進んでいく。何のための返答なのか、その「爺さん」の正体は何なのか。真相に近づくほど、読者は逃げ場のない不安に包まれる。

本作のいちばんの特徴は、「画像」という日常にあるものを入り口にしている点だ。多くのホラー漫画は幽霊や怪物、古い屋敷や呪いのアイテムなどが登場するイメージが強い。しかしこの作品は、どこにでもありそうな写真や何気ない一枚の画像から物語が始まる。その日常の延長線上に恐怖が潜んでいるという仕組みが心にじわじわと怖さを染み込ませる。「こんな写真、どこかで見たことがある気がする……」と思わせるのが新鮮だ。

画像に映り込んだものは単なる偶然か、あるいは誰かの強い意思が形を成したものなのか。時にはただ怖いだけでなく、人間の業や執着といった深いテーマもにじませることで、ページをめくるたびに「見てはいけないものを見てしまった」という後悔のような感情と、「それでも続きを知りたい」という好奇心の間で揺れ動くことになる。

文=ゆくり

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