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白亜紀の海で「大型捕食者に噛みついた巨大魚」の化石を発見

  • 2026.3.22
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

「海の大型捕食者」と聞くと、他の生物に襲われることはほとんどない、絶対的な強者を思い浮かべるかもしれません。

ところが約8000万年前の白亜紀の海では、その常識が通用しなかった可能性が明らかになりました。

なんと、海の頂点に君臨していたはずの大型首長竜の首に、別の巨大魚の歯が深々と突き刺さった状態の化石が見つかったのです。

研究の詳細はテネシー大学(The University of Tennessee)により、2026年3月12日付で科学雑誌『Journal of Vertebrate Paleontology』に掲載されています。

目次

  • 首に刺さった「巨大な歯」が語る白亜紀の衝突
  • 捕食ではなく「バトル」だった可能性

首に刺さった「巨大な歯」が語る白亜紀の衝突

研究対象となったのは、全長約4メートルの首長竜の一種「ポリコティルス(Polycotylus)」の化石です。

この個体はアラバマ州のムーアビル・チョーク層から発見されました。

ポリコティルスの復元イメージ/ credit: en.wikipedia

驚くべきことに、その頸椎(首の骨)の内部には、大きな歯が折れた状態で埋まっていました。

しかもその歯は、単に触れただけではなく、骨の奥深くまで食い込んでいたのです。

チームは、この歯の正体を特定するため、コンピュータ断層撮影(CT)を用いて化石の内部を非破壊で解析。

さらに、歯の形状を3次元的に復元し、既知の生物の歯と比較しました。

その結果、この歯は「シファクティヌス(Xiphactinus)」と呼ばれる巨大な硬骨魚のものと一致することが判明しました。

シファクティヌスの想像画/ Credit: ja.wikipedia

シファクティヌスは最大で5メートル以上にもなる肉食魚で、白亜紀の海における有力な捕食者の一つです。

つまりこの化石は、大型の海生爬虫類と巨大魚という“大型捕食者同士の直接的な接触”を記録した、極めて珍しい証拠だったのです。

捕食ではなく「バトル」だった可能性

では、この噛みつきは「捕食」だったのでしょうか。それとも別の理由があったのでしょうか。

チームは、シファクティヌスの食性に注目しました。

これまでに発見されている化石の中には、「魚の体内に別の魚が丸ごと入っている」ものがあり、この魚が小型の獲物を丸飲みする習性を持っていたことが知られています。

このため、今回のような大型の首長竜を積極的に捕食していた可能性は低いと考えられています。

代わりに有力視されているのが、捕食ではない“衝突”や“攻撃”です。

たとえば縄張り争いや偶発的な接触、あるいは死骸をめぐる競合などの中で、強烈な一撃が加えられた可能性があります。

実際、歯は基部と先端が破損しており、非常に強い力で噛みつかれたことを示しています。

また、噛まれた位置は首の重要な部位でした。

首長竜の首には気管や血管、神経が集中しているため、この一撃は致命傷となった可能性が極めて高いと考えられています。

さらに重要なのは、この発見が示す生態系の姿です。

ムーアビル・チョーク層からは、サメや他の魚、海生爬虫類による噛み跡が多数見つかっており、捕食者同士が互いに攻撃し合う、非常にダイナミックな海洋環境が広がっていたことがわかります。

大型捕食者ですら安全ではなかった太古の海

今回の化石が教えてくれるのは、白亜紀の海が決して単純な「食物連鎖のピラミッド」ではなかったという事実です。

一般に、大型捕食者は食物連鎖の最上位層に位置し、他の生物に襲われることは少ないと考えられています。

しかし実際には、同じレベルの捕食者同士でも衝突や攻撃が起き、時には命を落とすこともあったのです。

白亜紀の海は、「最強」であっても安心できる場所ではなかったのかもしれません。

参考文献

The fish were biting in ancient Alabama: Tooth found embedded in Cretaceous apex predator’s neck
https://phys.org/news/2026-03-fish-ancient-alabama-tooth-embedded.html

元論文

A bite to the throat: A probable Xiphactinus attack on a Polycotylus from the Cretaceous Mooreville Chalk of Alabama, U.S.A.
https://doi.org/10.1080/02724634.2026.2625732

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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