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AIが設計・進化させたロボット、壊れても動く”怪物”だった【動画あり】

  • 2026.3.19
AIがロボットを進化させると、奇妙な体が生まれる。※イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

ロボット技術は進歩していますが、その設計や改良はいつも人間が行います。

では、これをAIに任せるとどうなるでしょうか

米国ノースウェスタン大学(Northwestern University)の研究チームは、AIを使ってモジュール型ロボットの体の組み方と動き方を効率よく探し、その結果得られた設計を現実世界でそのまま動かすことに成功しました。

こうして得られたロボットは、従来の脚型ロボットとはかなり異なる姿と能力を示しました。

この研究は2026年3月6日付で学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されています。

目次

  • AIが探し出した「奇妙な体」
  • 壊れても動き続けるロボットが誕生

AIが探し出した「奇妙な体」

今回の研究の出発点は、「ロボットの体を人間が最初から決めない」という発想です。

これまでの脚型ロボットは、二足や四足のような、私たちになじみのある形に集まりがちでした。

そこで研究チームは、設計そのものをAIに手伝わせました。

ただし、AIがゼロから機械を発明したわけではありません。

研究チームが用意したのは、「モジュール」と呼ばれる基本部品です。

このモジュールは、棒状のリンクと中央の球体からなるシンプルな構造ですが、内部にはモーター、バッテリー、制御回路、センサーが収められています。

そして、この1つの部品だけでも、転がる、向きを変える、ジャンプするといった動作ができます。

つまり、モジュール1個がそれ自体で小さなロボットなのです。

AIは、このモジュールをどうつなぐかを大量に試しました。

5個までのモジュールを組み合わせる場合、その候補は数千億通りに達します。

もちろん、それを人間が1つずつ試すことはできません。

そこでAIは、さまざまな接続パターンを仮想空間の中で試し、「どれだけうまく移動できるか」「どれだけ安定して動けるか」などを基準に、有望な設計を絞り込んでいきました。

性能の高い設計が残り、そうでないものは捨てられ、さらに改良された新たな候補が生まれていきます。

こうしてAIは、人間が最初からは思いつきにくい、奇妙で独特な構成を見つけ出しました。

実際に選ばれたロボットの中には、アザラシ類を思わせる独特の歩き方をするものや、トカゲのように体をくねらせて進むものがありました。

さらに別の学習によって、ジャンプや空中での回転までこなせるようになります。

見た目だけを見れば少し不格好で、どこか怪物のようにも見えます。

ですが、その形は飾りではなく、「どう動けば効率がよいか」という基準から選ばれた結果なのです。

しかも、この研究の面白いところは、コンピューターの中で見つけた設計が現実でも動いた点にあります。

研究チームは、シミュレーションの段階で摩擦や重さなどの条件を少しずつ変えながら学習させることで、現実の不確実な環境にも対応しやすくしていました。

その結果、ロボットは砂や草、砂利や泥などの不整地でも動くことができました。

ですが、この研究の本当の驚きは、奇妙な形のロボットができたことだけではありません。

もっと重要なのは、壊れても終わらないことでした。

壊れても動き続けるロボットが誕生

普通のロボットは、一体構造で作られていることが多いため、どこか重要な部分が壊れると全体が止まってしまいます。

脚が1本壊れただけでまともに動けなくなることも珍しくありません。

ところが今回のロボットは違います。

なぜなら、その体を作っている部品の1つひとつが、もともと独立して動けるロボットだからです。

各モジュールはそれぞれに電源、制御、センサーを持っているため、一部を失っても残った部分だけで行動を続けられます。

つまりこのロボットは、1つの大きな機械というより、「小さなロボットの集まり」が協力して動いているような仕組みになっています。

実験では、脚に相当するモジュールを失っても、残った部分で前進を続けられることが確認されました。

研究チームは、ロボットが壊れた状態も含めて動きを学習させており、脚が1本なくなった場合や複数の部品を失った場合でも、その場の構造に応じて動きを変えられるようにしていました。

これは、あらかじめ決められた形でしか動けない従来型のロボットとは大きく異なる点です。

さらに、このモジュール構造には別の強みもあります。

モジュールは単体でも動けるため、修理や再設計がしやすいのです。

壊れた部品を丸ごと交換したり、別の構成に組み直したりしやすく、環境に応じてより適した形を試していくこともできます。

研究者たちは、こうした仕組みが将来、危険な屋外環境で動くロボットに役立つ可能性があると考えています。

もちろん、このロボットが生き物になったわけではありません。

しかし、一部を失っても機能を保ち、状況に応じて動き方を変えるその姿は、私たちがこれまで思い描いてきた「機械」のイメージからかなり離れています。

今回の研究が示したのは、ロボットの体の組み方と動きをAIで同時に探すと、人間が最初から思いつきにくい設計にたどり着けるということです。

しかも、そのロボットは一部を失っても動き続けられました。

ロボット開発は今、決まった形の機械を作る段階から、環境や損傷に強い仕組みそのものを探す段階へ進みつつあるのかもしれません。

参考文献

Evolved robots are born to run and refuse to die
https://www.eurekalert.org/news-releases/1119131

These Robots “Evolved” In An AI Simulation, Then Scientists Built Them In The Real World
https://www.iflscience.com/these-robots-evolved-in-an-ai-simulation-then-scientists-built-them-in-the-real-world-82878

元論文

Agile legged locomotion in reconfigurable modular robots
https://doi.org/10.1073/pnas.2519129123

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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