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ジョン・ガリアーノ、ファッション界に復帰──ZARAと2年間のクリエイティブ・パートナーシップを結ぶ

  • 2026.3.18

ジョン・ガリアーノが帰ってきた。2024年の春夏オートクチュール・ファッションウィークで発表したメゾン マルジェラMAISON MARGIELA)のアーティザナルコレクションでセンセーションを巻き起こしたガリアーノ。この芸術作品とも呼べるショーを最後に表舞台から姿を消していた彼が、約2年の空白期間を経てファッション界に復帰する。スペイン発のリテーラー、ザラZARA)と2年間のクリエイティブ・パートナーシップを結び、ブランドのアーカイブを天才デザイナーの目線から“再制作”する。

「ザラの最近のアーカイブをキュレーションしています」とガリアーノはパリ・ファッションウィーク期間中に語った。「それを私が“再制作”するという試みです」。今回のプロジェクトは、ザラの親会社であるインディテックスの会長であり、同社の設立者アマンシオ・オルテガの娘であるマルタ・オルテガ・ペレスとの会話がきっかけで生まれた。

「マルタとは、MOP(マルタ・オルテガ・ペレス財団)スティーブン・マイゼルにアーヴィング・ペンの個展といった、彼女が手がける素晴らしい展覧会を通じて知り合い、親交を深めるようになりました」とガリアーノは説明する。(2022年に設立されたMOPは、スペインのア・コルーニャで写真とファッションの展覧会を開催している)。「彼女のオープンなところが、なんだか好きなんです」

2022年にオルテガ・ペレスがインディテックスの会長に就任して以来、ザラはナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)ステファノ ピラーティ(STEFANO PILATI)など、数々のハイファッションデザイナーとコラボレーションをしてきた。また、ケイト・モスや マイゼルのようなファッション界の著名人によるカプセルコレクションも発表してきたが、ガリアーノとのパートナーシップは2年以上に及ぶという点でユニークだ。

「今までやったことのないことなので、とても興奮しています。プロジェクトの新鮮さ、そこから得られる刺激、そしてプロセスそのものにどこか心をくすぐられます」とガリアーノは言う。「『いや、そうじゃない。そうでもない』といった調子で、自分たちはアーカイブを“再制作”しているのだと、チームに毎日言い聞かせなければなりません。とても楽しくやっていますし、このタイミングで取り組むのには、非常に有益なプロジェクトだと思いますね。クリエイティブな観点からしてもとてもサステナブルで、個人的にはそこにとても興味を惹かれます」

人生の第3章へ。天才デザイナーの新たな挑戦

1月、ガリアーノはジョナサン・アンダーソンディオールDIOR)で開催した初のオートクチュールショーにフロントロウゲストとして出席した。10年間率いていたメゾン マルジェラに移籍する前、1997年から2011まで、彼はディオールのクリエイティブ・ディレクターを務めていた。

「学生時代、いやそれ以前から、ジョンはすでに私のヒーローでした」とアンダーソンはショー開催時に語っている。そして、ガリアーノは創設者のクリスチャン・ディオール自身よりも長い期間、ディオールのデザインの指揮を執っていたことを指摘した。「現代に生きる私にとって、彼(ガリアーノ)こそがディオールなのです」

アンダーソンのオートクチュールコレクションは、ガリアーノがメゾンで残した功績の上に成り立っていた。彼の過去のデザインを参考にし、初めて会ったときに贈られたシクラメンの花を多くのピースに取り入れ、その影響を存分に受けている。ロダン美術館に設られたセットも印象的だった。

ファッション業界を“目まぐるしく回るメリーゴーランド”に喩えるガリアーノは、メゾン マルジェラを去ってからの2年間をどのように過ごしていたのか。「美術館や博物館に行ったり、携帯電話を持たずに森の中を歩いたりしていました。迷子になるのを恐れずに道に迷うこと、ちゃんと呼吸をすること。そういった自分の本能を頼る感覚を思い出し、取り戻していました」。そしてこう続けた。「次に何をしたいかを考える貴重な時間でした。『これをやらなければいけない』『残りの人生もずっとこの調子なんだ』『次はああなるんだろうな』と思うかもしれませんが、できることならどこかのタイミングで一歩下がって、考える時間を作ると良いです」

ガリアーノは1月から「パリのどこか」のアトリエで密かに働いている。「まだ日が浅いですが、かなりの数のトワレを展開していて、今はその戻しを待っている状態です。戻しの内容によって、どれくらい冒険してもいいのかがわかるという感じですね」。現在進行中のデザインについて多くを語ろうとはしないが、「カテゴリーに分類されることなく、フォルムとプロポーションを軸にした、性別とシーズンの垣根を超えたもの」になっていると言う。

最初のコレクションは9月に店頭に並ぶ予定だ。ガリアーノが手がけた服はこれまで、一部の人しか手に入れることができなかった。それがいきなり、まったく新しい層の人々に届けられるのだ。その事実もまた、彼の心を浮き立たせる。「あの巨大なプラットフォームを通じて、ファッションを大勢の人に届けられるというのは、とてもエキサイティングなことです。そして、ザラが持っているようなリソースを駆使して創作ができることも、同様に心弾むことです」

“目まぐるしいメリーゴーランド”に再び乗ったガリアーノは、今どんな気持ちなのだろうか。「人生の第3章が、最も重要な章だと言われています」と彼は言う。「そして最も楽しい章だとも」

Text: Nicole Phelps Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

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