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誰もが羨む理想の結婚。だがその裏には夫の異常な束縛があった――とある出会いから自分を取り戻した妻はどんな道を選ぶのか?【書評】

  • 2026.3.16

【漫画】本編を読む

『終わりかけの私たち』(モヨ/KADOKAWA)は、表向きには誰もがうらやむむ夫婦の裏にある、息苦しい日常とそこから抜け出そうとする妻の心の動きを描いた物語だ。もし今、結婚生活やパートナーシップのあり方に疑問を持っている人がいたらぜひ手に取ってほしい一冊だ。

主人公・早乙女菜々星は結婚3年目の29歳。夫はテレビ局で働く敏腕プロデューサーで、上司と部下からの信頼が厚く、イケメンで女性社員からの人気も高い。周囲からは「理想の結婚」とうらやましがられていたが、しかしその実態は違っていた。菜々星の日常は細部にわたり夫によって縛られていたのだ。毎日の予定を管理され、会社に着ていく服装は夫が決める。ひとりの外出には制限があり、亡き母親の遺品整理のために実家へ帰ることも許されないほどだ。

そんなある日、夫が一泊の出張へ出ることになった。そのほんのわずかな時間に芽生えた「このままではおかしいのではないか」という疑問。菜々星は勇気を振り絞り、ひとりで行くことを禁じられていた美容院へ向かう。そこで出会ったのが美容師の修也だ。彼の気取らない言葉や笑顔は、窮屈な毎日の中で見失いかけていた菜々星の心を徐々に解きほぐし、彼女の中に希望と解放感をもたらす。

本作の見どころは、周囲から見た「理想」と、当事者の「現実」が大きく乖離しているところを巧みに描いているところだ。会社の同僚たちは彼女が夫に押し込められ、息苦しさを感じていることに微塵も気づいていない。それが菜々星の孤独や違和感をいっそう強調し、共感を呼ぶ。

家庭内のモラハラは、家庭という閉ざされた空間で起こるため表沙汰になりにくい。はたして菜々星は、修也という救いの手をつかみ、理想の結婚という幻想の裏側にある支配から解放されるのか……。彼女の行く末を見届けてほしい。

文=七井レコア

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