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戦後80年、まだまだ聞ける生の声がそこにある。平成生まれの主人公が義父から聞かせてもらった「戦争の現実」【書評】

  • 2026.3.14

【漫画】本編を読む

戦後80年を迎え、語り継がなくてはならない「あの頃、あの時」の記憶を鮮明に伝えるコミックエッセイがある。『お義父さん、戦争ってどげんやった?年の差婚した私が聞いた「あの日」の記憶』(ゆる山まげよ/竹書房)は、80代の義父から太平洋戦争の体験談を聞き、再構築した作品。「戦争って、本当はどんなものだったんだろう?」という問いに答えてくれる内容だ。

主人公・まげよは平成初期生まれ。親子ほども年の離れた夫と結婚し、九州の片田舎で暮らし始める。同居の義父母はまげよにとって祖父母と同世代。最初は共通の話題も少なく、ジェネレーションギャップを感じる日々が続くが、ある日、義父が口にした太平洋戦争の体験談が彼女の興味を強く引く。そこからまげよは、義父から戦時中のリアルな日常を聞き、学んでいく。

本作は単なる戦記や歴史概説にとどまらず、「戦争を生き抜いた人の生の言葉」を通して当時の空気を感じさせるところが魅力だ。例えば、戦時中は大人の男性がどんどんいなくなってしまうこと、開戦当初は行われていた学校の授業がどんどんなくなっていくこと、兄弟が軍属に取られてしまうことなど、義父が幼少期に体験した細部が語られる。語り手が目の前の人間であり、しかも家族の一員であるという事実が、単なる歴史上の出来事ではなく「自分の人生とつながっている物語」として心に響いてくる。

本作が出版された2025年は戦後80年だ。終戦直後に生まれた子どもも80歳。人生100年時代とはいえ、戦中と戦後の「戦争体験」を語れる人は確実に少なくなっている。家族や身近な人が奪われる悲しみと苦しみ、軍国主義の狂気に対する恐怖といった戦争の真実を当事者の視点から追体験できる本作は稀有な一冊である。語り継ぐべき記憶を、あなた自身の目で確かめてほしい。

文=甲斐ハヤト

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