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配達員不足で休みなし!「今日で何連勤だ?」死にかけた配達員が見た怪奇現象"血まみれ男"の正体は…!?【作者に聞く】

  • 2026.3.11
なぜか配達先の玄関を通り抜けてしまっていた星野さん。そして背後から入ってきたもう一人の人物は…!? 送達ねこ(@jinjanosandou)
なぜか配達先の玄関を通り抜けてしまっていた星野さん。そして背後から入ってきたもう一人の人物は…!? 送達ねこ(@jinjanosandou)

町の隅々まで郵便物を届ける郵便配達員。その現場では、ときに不思議な出来事や背筋が冷たくなる体験が語られることがある。現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんは、そうした実体験や同僚から寄せられた話をもとに「郵便屋が集めた奇談」を描いている。今回は、その中から事故に遭った配達員の身に起きた奇妙な出来事を描いたエピソード「死に損なった俺の話」を紹介する。

ブラック連勤が当たり前だった時代

休み返上で働くことが異常ではなく普通とされていたブラックな時代の話 送達ねこ(@jinjanosandou)
休み返上で働くことが異常ではなく普通とされていたブラックな時代の話 送達ねこ(@jinjanosandou)
仕事を兼業する人も珍しくなかったという 送達ねこ(@jinjanosandou)
仕事を兼業する人も珍しくなかったという 送達ねこ(@jinjanosandou)
死に損なった俺の話_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)
死に損なった俺の話_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)

舞台となるのは、平成20年代前半。まだ36協定の運用も今ほど厳しくなく、長時間労働が珍しくなかったころだ。N局に勤めていた星野さんは、郵便局の仕事に加えて別の配送業も掛け持ちしていた。

その日、星野さんはすでに18連勤中。ところが急な欠勤が出てしまい、急きょシフトに入ることになった。「ま、稼げるからいっか…」。若さもあり、軽い気持ちで引き受けた矢先、思いもよらない出来事に巻き込まれる。

玄関をすり抜けた瞬間、現れた“血まみれの男”

配達先の民家の前に車を止め、荷物を抱えて呼び鈴を押す。しかし音が鳴らない。「壊れてる?」そう思い、声をかけようとしたその瞬間だった。

気がつくと、星野さんは玄関を通った記憶もないまま、なぜか家の中に立っていた。「なんで中?玄関開けてないが」。状況を理解できないまま立ち尽くしていると、玄関の戸がガラッと開く。そこに現れたのは――血みどろの人物だった。

その姿を見た星野さんは思わず混乱する。なぜなら、玄関から入ってきた“その人物”は、なんと自分自身だったからだ。「え?おれ?どうしたおれ?」彼は事故に遭った直後の自分の姿を、家の中から見ていたのである。

郵便局員たちが語る“まだ描いていない怪談”

本作や当時の状況について、送達ねこさんはこう語る。「郵便局もひと昔前は、人が足りないときは『ゆうメイトさん(当時の名称)』が十何連勤もしていました。兼業も普通で、休日や退勤後に別配送の仕事やスーパーの仕事に従事している人が少なくなかったです」。

長時間労働が当たり前だった時代背景の中で、過酷な勤務を続ける配達員たち。そうした環境の中で、現場にはさまざまな体験談が生まれていったという。

「まだ漫画化していない話は70ほどあります。配達先で見聞きした怪異、郵便局内の不思議な出来事、事件の注意喚起などネタは尽きません」と送達ねこさんは語る。その一方で、そのまま描くと差し障りのある内容も少なくないという。しかし、そうした「表に出せない話」こそ描く意義があるとも感じているそうで、「漫画の力をつけて、陽の下に出せる形にして、いつか全部を描きたいと思っています」と思いを明かした。

“死に損なう”という言葉の意味

タイトルにある「死に損なった」という言葉には2つの意味がある。ひとつは「もう少しで死にそうになる」という意味。そしてもうひとつは「死ぬことに失敗する」という意味だ。今回のエピソードでは前者の意味だが、事故から生還した星野さんの頭には、もうひとつの意味もよぎったという。奇妙な現象だけでなく、死の境目に立ったときの心の揺れにも注目して読み進めたい。

「郵便屋が集めた奇談」は読者からも「こういう不思議で怖い話って好き」「背筋がゾクッとしたけどめちゃくちゃおもしろい!」と好評を集めている。日本のどこかの町で、ひっそりと起きているかもしれない怪異。その一端を覗き見してみてはいかがだろうか。

取材協力:送達ねこさん(@jinjanosandou)

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