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「披露宴に、おじいちゃんの詩吟は入れたくない」おしゃれな結婚式を夢見た私。父に諭された『意外な事実』

  • 2026.3.12

筆者の話です。
祖父の詩吟が苦手で、自分の結婚披露宴には入れないと決めていました。
けれど、ある話を聞いたことで、考えが静かに変わっていきます。

画像: ftnews.jp
ftnews.jp

詩吟の時間

「早く終わらないかな」
子どもの頃、親族の結婚披露宴で祖父が詩吟を披露するたび、私は心の中でそう思っていました。
独特の節回しに、難しい言葉が続き、正直子どもにはよくわかりません。

詩吟には伴奏もないので、祖父の声だけが会場に響きます。
会場の空気が一瞬止まったように感じる時間も、少し気まずく思えていました。
詩吟は祖父の長年の趣味で、親族の披露宴では必ず披露されるのが、いつの間にか当たり前になっていたのです。

外した理由

大人になり、同級生の従姉妹と式の話をする機会がありました。
「自分たちの結婚式では、祖父の詩吟だけは入れないようにしよう」
自然と、そんな言葉が出ました。

二人とも、音楽や演出にこだわった、おしゃれなウエディングパーティに憧れていたからです。
祖父の詩吟は、そのイメージとは少し違う気がしていました。
その場では、理想の式を作りたいという思いで、意見が一致していました。

当日の追加

ところが、私より一年早く結婚した従姉妹の披露宴では、事前に外したはずの詩吟が、当日、プログラムに追加されていました。
親族の強い希望だったそうです。

披露宴のあと、祖父は
「聞いてたら練習したり、お酒を控えたりしたのにな」
と話していました。
その表情はどこか誇らしげで、こだわりを持って準備してきた従姉妹が少し困惑したような顔をしていたのも、今となっては理解できます。

生きがい

帰宅後、「私の結婚式では絶対に詩吟は入れない」と宣言した私に、父が静かに教えてくれました。
祖父は「孫の結婚披露宴で詩吟をすること」を生きがいにして、教室へ通っているのだと。
その瞬間、私は自分の視野の狭さに気づきました。
理想の披露宴の形ばかりを見ていて、誰のための時間なのか、その時間に込められた願いを考えていなかったのです。

最終的に、私の披露宴では祖父の詩吟を入れることにしました。
お願いをしに行ったときの、あのうれしそうな顔を、今でもときどき思い出します。

おしゃれな演出よりも、祖父の震える声が響くあの数分間こそが、私たちの門出を心から祝ってくれる最高の贈り物だったのだと、今ならわかります。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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