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【椎名林檎】椎名林檎が纏う、新しいラグジュアリー【インタビュー】

  • 2026.3.7

GLOW4月号の表紙を飾っていただいたのは椎名林檎さん。今回のカバーストーリーでは、新たなデザイナーを起用し、フレッシュに生まれ変わっているラグジュアリーブランドの最新スタイルを纏っていただきました。唯一無二の表現で魅せる、モードとの競演ビジュアルをお楽しみください。


服の声を聴き、即座に読み解く

撮影クルーから感嘆の声がもれる。彼女はカメラ前に立った時点ですでに完成していて、ほんの数回しかシャッターを切る必要がない。いずれも爪痕を残すべくデザイナーが考え抜いたクリエイション。椎名さんは服の声を聴き、即座に読み解く。まずその理解力、表現力に驚かされた。

ブラックドレスで大胆に、センシュアルに

GGパターンが施されたイブニングドレスは、マーメイドなシルエットと透け感が曲線美を映し出して。胸もとと裾に飾られたマラブーのフェザーが、黒一色のなかに優雅さを伝える。タイガーヘッドをあしらった“ディオニュソス”のジュエリーでひとさじの強さを。

ドレス357万5000円、イヤリング38万5000円、チョーカー51万7000円、リング15万1800円、(すべてグッチ/グッチ クライアントサービス)ピアスは本人私物

「実際に袖を通すとデザイナーが何を表現したいのか、感じ取れる気がしました。フレッシュですごくエネルギーを感じ、ときめきます。この撮影の一瞬ですら、キャラクターデザインを担うほどの強さがあるもの。靴一足で歩き方も変わってしまうわけですし。良くも悪くも支配的。そういう点を含めて、ファッションには本当にいいものとして付き合ってもらっているんです」

年を重ね、質でものを組み合わせるように

カバーで着用したメゾン マルジェラのプレキシヒールのパンプス。着想源のアーカイブを、椎名さんは当時愛用していたという。

「年を重ねるとともに、質でものを組み合わせるようになってきました。創意工夫があり、本当に丁寧につくられているものは、値段も張りますが人の仕事が加わっているぶん、気迫を感じさせます。その価値が周りを圧倒する。そういうアイテムに組み合わせるものには負けない強さが欲しいですよね」

テーラードを進化させた新しいドレス提案

ブラウンのメンズライクなテーラードに、白のシアー素材を重ねたコートドレス。スタッフが纏う白衣を思わせつつも、透け感がセンシュアル。プレキシヒールの「タビ」クロウは、マルタン・マルジェラへのリスペクトも感じさせる。

ドレス96万300円、イヤリング7万1500円、ネックレス25万6300円、シューズ34万1000円(すべてメゾン マルジェラ/マルジェラ ジャパン クライアントサービス) ピアスは本人私物

ステージやMV衣装で曲の一人称を表現

椎名さんは歌の世界観を表現するパフォーマンスも鮮烈。ステージやMVでの衣装はどんな視点で選んでいるのだろう。

「曲を書いている者からすると、誤解されたくないポイントがあるんです。 どういうキャラクターかを示すために、一曲ごとに衣装も化粧も変えたいくらい。曲の一人称が何を思うのか。女性は思いがけない場面にも出くわすし、ホルモンに突き動かされて、それが表に出たり出なかったり。出ない部分も表したいぐらいなので、視覚的には大いに手伝ってほしいですね。私は曲にとってのステージママみたいなものだと思います (笑)」

圧倒的なオーラを放つキルティングドレス

グッチを代表するシグネチャーのひとつ“フローラ”も、デムナ流に更新。春らしいプリントのシルクツイルドレスをキルティングで仕上げているのが新鮮。ハイラッフルカラーが中世のドレスを思わせる。

ドレス159万5000円、イヤリング97万9000円(ともにグッチ/グッチ クライアントサービス) ピアスは本人私物

幸せなキャリアを築いてきた25年

そこにはファンが思い描く曲の世界を、大切にする思いも垣間見える。

「10代でデビューしたので、最初のお客様は年上の大人の方々が多くて、新旧さまざまな文化を教わりました。こういうものを観なさいとか、もっとこういう本を読みなさいとか。私も勉強を勉強とも感じず貪ってきました。自分自身も曲も育てていただいている。アカデミックなお客様に恵まれて、ずっと幸せなキャリアだと思っています」

現代に寄り添うバルーンライン

シンプルなシャツに、バレンシアガが生み出したバルーンラインのショートパンツをコーディネイト。カッティングはもちろん、巧みな素材使いで、構築的なフォルムに。クチュールの手法を使いながら、日常に落とし込むセンスは圧巻。

シャツ21万7800円、パンツ63万2500円、イヤリング(3点セット)8万8000円、シューズ17万7100円 ※参考色※すべて予定価格(すべてバレンシアガ/バレンシアガ クライアント サービス) ピアスは本人私物

最近では若い世代からの率直な反応もくみ取り、秒の速さで更新するのだという。25年もの間 〝椎名林檎〞という看板を守りながら、しなやかな柔軟性を持っていることも、輝き続ける理由なのかもしれない。

軽やかさが魅力のクチュールドレス

可憐なベビーピンクのドレスは、バックスタイルのケープの膨らみがエレガント。色やシルエットや厚手の高級サテン素材からも、ジバンシィらしいクチュール感が香り立つ。のびのびと肌を見せたミニ丈と、ラフな佇まいのポケット使いに現代への進化が感じ取れる。

ドレス73万7000円、イヤリング26万1800円(ともにジバンシィ byサラ・バートン/ジバンシィ ジャパン)ピアスは本人私物

「老舗という存在にはずっと憧れがあって。顔がないぐらいの透明の看板一つ、そのなかで自由自在に何でも書くようじゃないと嘘だろうと思ってやっています。自分のスタイルじゃないとか、そういう言い訳は絶対にしたくない。何でこれを私に? という意外なご依頼でも、ぴったりすぎて驚いていただけるくらいまでの切実さを目指して取り組んでいます。だから飽きない。たかだか25年ですしね」

profile

椎名林檎 しいなりんご

作曲家/演出家。1978年生まれ、福岡市出身。1998年にシングル「幸福論」でデビュー。バンド「東京事変」も率いる。自作自演業はもとより、他の歌い手や、映画・舞台・TV・CMなどへの楽曲提供も精力的に行っている。2009年、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2016年、リオオリンピック・パラリンピック閉会式のフラッグ・ハンドオーバー・セレモニーにおいて演出/音楽監督を務め、国内外から高い評価を得た。2019年、アルバム『三毒史』、及びベストアルバム『ニュートンの林檎 ~初めてのベスト盤~』をリリース。2024年、アルバム『放生会』をリリース。2026年、新作アルバム『禁じ手』を3月11日にリリース。3月17日から5月28日まで、ライブ・ツアー「椎名林檎 党大会 令和八年列島巡回を開催。詳細は http://www.kronekodow.com

椎名林檎 New Album「禁じ手」

2026年3月11日(水)発売
ユニバーサル ミュージック
[初回限定盤] UPCH-29502 3960円
[通常盤] UPCH-20716 3300円


撮影=藤森星児 スタイリスト=青木千加子 ヘア&メイク=稲垣亮弐(maroon brand) 取材・文=古泉洋子
※2026年GLOW4月号より

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