1. トップ
  2. 「傘さし・スマホ・信号無視」雨の日の自転車で“違反3連チャン”…反則金はいくらに?弁護士に聞いてみた

「傘さし・スマホ・信号無視」雨の日の自転車で“違反3連チャン”…反則金はいくらに?弁護士に聞いてみた

  • 2026.5.8
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

雨の日の傘差し運転や、移動中のスマホ操作、そして信号無視。自転車に乗っている際、つい「これくらい大丈夫だろう」と軽く考えてしまっていませんか?しかし、これらの行為は道路交通法違反であり、重大な事故を引き起こすリスクを秘めています。

最近では、自転車への青切符導入も話題になっています。もし違反を重ねてしまった場合、反則金はどうなるのでしょうか?また、万が一事故に遭った際、これらの違反行為は「過失割合」にどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、身近な自転車の交通ルールについて、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に詳しく解説していただきます。

傘差しやスマホ、信号無視はどんな違反?なぜ「極めて危険」なのか

---傘差し運転やながらスマホ、信号無視は、具体的にどのような法律違反になるのでしょうか?また、なぜこれらが「極めて危険」とされるのですか?

正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店:

「それぞれ次のとおりの道路交通法違反になります。

  1. 傘差し運転:都道府県ごとの『公安委員会遵守事項違反』
  2. スマホ操作しながら運転:通話のために使用したり画面を注視したりしながら走行する『ながらスマホ』は、『携帯電話使用等(保持)』
  3. 赤信号の交差点に進入:『信号無視』

そもそも運転者には、ハンドルやブレーキ等の装置を確実に操作し、道路状況、交通状況、車両の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならないという安全運転義務が課されていますが、この点からもこれらの違反は事故の可能性を高めてしまう非常に危険な行為です。

すなわち、傘を持ちながらの運転は視界が遮られますし、片手か手放しで運転することになるので、周囲の状況に応じたハンドルやブレーキ等の確実な操作が難しくなります。

また、私達の生活に欠かすことのできないスマホですが、ながらスマホによって運転者の視線や注意力がスマホ画面に奪われ、周囲の状況や危険の認識や運転操作を難しくするため、重大な事故に繋がる可能性があります。警察庁によれば、ながらスマホのからむ事故は増加傾向にありますし、スマホを使用してない場合と比較すると、ながらスマホによる死亡・重傷事故では前方不注意が約3.4倍も高くなっています。

さらに、道路通行時には信号に従う義務が課されていますが、赤信号無視はいうまでもなく事故に直結するものですから、これらのどの行為も安全運転義務に反する極めて危険な行為です。」

自転車への青切符導入。違反が重なると反則金はどうなる?

---自転車への青切符導入が話題ですが、必ず摘発されるのでしょうか?また、複数の違反をしてしまった場合、反則金は合計されるのでしょうか?

正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店:

「前提として、青切符の対象となる違反があれば必ず摘発されるという運用にはなっていません。警察庁によると、自転車への青切符導入後も、自転車の交通違反の取締りは現場での『指導警告』が基本で、交通事故の原因となるような悪質・危険な違反が検挙の対象となるという考え方は変わらないとされています。

そのため、青切符の対象となる違反行為として113種類が定められていますが、今回のように、違反行為の中でも重大な事故につながるおそれが高い『ながらスマホ』や、複数の違反が重なり事故の危険性が高まる悪質な事案では、青切符による検挙の可能性が高くなるでしょう。

そして、今回のように複数の違反が重なった場合の反則金の扱いについては、通達が出されており、それぞれの違反が法的にどのような関係にあるかによって扱いが異なります。

まず、複数の違反が成立しているけれど、違反の間に一定の関係があるので、反則金を通告する上では1つとして扱うもの(観念的競合・牽連犯)。この関係にあるすべての違反は1枚の青切符で処理され、反則金は金額が最も高いもの1つが通告されます。

一方、これに該当しない関係にある違反行為は(併合罪)、違反行為ごとに青切符が交付されるため、反則金の合計額を支払う必要があります。どのような扱いになるかは現場の判断や状況次第ですが、違反が重なった場合、別々に反則金が通告されて合計額を支払わなければならない可能性もあるでしょう。」

事故で不利になることも?自転車の「過失割合」が決まる仕組み

---事故に遭った際の過失割合は、どのように決められるのでしょうか?また、「著しい過失」があると、どう影響するのですか?

正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店:

「事故当事者の過失割合は、実務上、過去の裁判例をもとに事故態様に応じて整理されている基本的な過失割合があるので、これをベースに検討するのが一般的です(ただし、絶対的な基準ではなく、実際の事故状況は様々なので割合は変わりうる)。

そして、個別の事情を反映させて基本的な過失割合を修正するのですが、その重要な要素として『著しい過失』や『重過失』があります。事故態様から通常想定される過失を超えるような『著しい過失』や故意と比肩すべき『重過失』が認められると、基本的な過失割合よりも過失が重くなることがあります。

例えば、自転車で傘をさしながらの片手運転やスマホのながら運転は、一般的には著しい過失とされています。他にも、脇見運転等の前方不注視、ハンドル・ブレーキの著しい操作不適切、二人乗り、運転に必要な音が聞こえない状態でのイヤホン使用なども著しい過失と考えられています。青切符の対象として注目されている様々な違反がいかに危険な行為なのかがわかりますよね。

さらに、違反の内容と程度によっては不利に評価されやすくなります。スマホをずっと注視していて前方を全く見ずに運転しているなど違反の程度が著しいときは、もっと重く評価される可能性もあります。

今回の違反の中で最も重くみるべきものは信号無視です。信号機がある交差点で、赤信号を無視した自転車と青信号で進行してきた自動車による出会い頭事故の場合、信号無視した自転車側の基本的な過失割合は80%とされています。著しい過失や重過失によって修正される過失割合は5~20%程度が多いことと比較すると、いかに重いことがわかります。」

ルールを守ることは、自分自身を守ること

今回、弁護士の解説を通じて、自転車の運転がいかに「車両」としての重い責任を伴うものか、改めて実感できたのではないでしょうか。「傘差し運転」や「ながらスマホ」、「信号無視」といった行為は、単に法律で禁止されているだけでなく、取り返しのつかない重大な事故に直結する極めて危険な行為です。

また、青切符の導入や過失割合の考え方を知ることは、万が一の際に自分を守るための知識でもあります。事故を起こしてしまえば、過失割合によって賠償額にも大きな影響が出る可能性があります。自転車を運転する際は、今一度交通ルールを再確認し、安全な走行を心がけることが、自分自身と周囲の人々の安全を守るための第一歩です。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

undefined
正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。 アディーレ法律事務所は、依頼者が費用の負担で相談をためらわないよう、弁護士費用で損をさせない保証制度(保証事務所)を導入しています。「何もしない」から「弁護士に相談する」社会を目指しています。

弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会)

undefined
弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会)

メディア出演弁護士
保証制度


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】