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「お弁当に割り箸が入ってない!」と電話してくる客。だが、店員の正論をうけ思わず苦笑い【短編小説】

  • 2026.3.1

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

静かな店内に響く怒りの電話

外は日差しが強く、冷房の効いた店内で私は品出しの作業に追われていました。

そんな静かな時間を切り裂くように、カウンターの電話がけたたましく鳴り響きます。

「もしもし、さっきそちらでお弁当を買った者だけど」

受話器から聞こえてきたのは、かなりお怒りの様子の中年男性の声。

「お箸が入っていないんだよ。これじゃあ食事ができないじゃないか」

最近増えているお問い合わせに、私は深呼吸を一つ挟み、穏やかなトーンで言葉を紡ぎました。

店員が告げた事実

「大変申し訳ございません。ですが、当店では先月より、レジでの箸の配布を終了させていただいております」

丁寧な私の返答に、電話の向こうで一瞬の沈黙が。

「……配布終了? じゃあ、どうやって食べればいいんだよ」

「はい。入り口のすぐ横に設けております『セルフコーナー』に、お箸やお手拭きをご用意しております。お客様ご自身で、必要な分だけお取りいただく形となっております」

実はレジカウンターの目立つ場所にも、黄色い大きなポスターで告知済み。

さらには袋詰め用の台にも、はっきりとその旨を記したステッカーを貼っていました。

「あ……あそこか。あの袋を詰めるところの隣?」

「左様でございます。ご案内が至らず、ご不便をおかけいたしました」

すると、先ほどまでの荒々しい口調が嘘のように、男性の気配が和らぎます。

「そっか、僕が完全に見落としていただけなんだね。店員さんが入れ忘れたんだとばかり思って、勢いで電話しちゃったよ」

受話器越しに、照れくさそうな小さな苦笑いが聞こえてきました。

「文句を言った僕が恥ずかしくなってきた。次は忘れずに自分で取るようにするよ、ごめんね」

申し訳なさと可笑しさが混じったような声。そんなやり取りに、私の心も少しだけ温かくなります。

電話を切った後、私はセルフコーナーに目を向けました。

新しいルールが馴染むまでには時間がかかるけれど、こうして対話を通じて伝わっていく瞬間も悪くない。そう思いながら、私は再び品出しの手を動かし始めました。

 

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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