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「駐車場事故だから5:5」は大間違い?ショッピングモールでの接触事故で痛感した“過失割合の落とし穴”

  • 2026.3.25
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「駐車場の事故は公道じゃないから5:5になる」

そんな話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実際、事故の相談を受けていると「駐車場だからお互い様ですよね?」と言われるケースは少なくありません。

しかし、保険の実務では駐車場の事故でも状況によって過失割合は大きく変わります。車の動き方や発進状況によっては、一方の過失が大きくなることもあるのです。

休日のショッピングモールで起きた駐車場事故

ある休日、ショッピングモールの駐車場で接触事故が起きました。

買い物を終えたBさんが、帰宅するためバックで駐車スペースから出ようとしていたときのことです。ちょうどそのタイミングで、駐車場内の通路を走行してきた別の車と接触してしまいました。

幸い大きな事故ではありませんでしたが、Bさんは事故後こう考えていました。

「駐車場の事故だから、過失割合は5:5くらいになるだろう」

しかし、その後保険会社から提示されたのは、Bさんの過失が大きいとの内容だったのです。

駐車場でも「通路」と「駐車区画」で優先関係がある

Bさんはこの過失割合に納得できず、わたしのところに相談に来られました。

話していてわかったのは、Bさんが「駐車場は公道ではない=優先関係もない」と思っていたということです。

確かに、駐車場は一般道路とは扱いが異なる場合もあります。しかし、保険会社が過失割合を判断する際には、車の動き方や安全確認の義務が重視されます。

今回のケースでは、通路を走行していた車と、駐車区画からバックで出てきた車の事故でした。一般的にこのような場合、駐車区画から発進する車の方が注意義務が重いと判断される傾向があります。

通路を走行している車は直進状態ですが、駐車区画から出る車は周囲を確認しながら通路へ進入しなければなりません。そのため、通路走行車との事故では発進側の過失が大きくなるケースが多いのです。

ドライブレコーダーで判断が細かくなることも

最近は、駐車場事故でもドライブレコーダーの映像が重要な判断材料になるケースが増えています。

従来は、当事者同士の証言や損傷状況から推測するしかありませんでした。しかし、映像から車がどのように動いていたか客観的に確認できるようになったのです。

たとえば、通路を走行していた車については、十分に徐行していたのか、それともスピードが出ていたのかがチェックされます。駐車場内は徐行が前提とされるため、速度が出ていればそれだけで過失が加算される可能性があります。

一方で、駐車区画から発進した車についても、単に出てきたという事実だけでなく、どの程度安全確認をしていたかが細かく見られます。ミラーでの確認だけでなく、一時停止に近い動きをしていたのか、じわじわと車を出して周囲を確認していたのか、それともほぼノンストップで通路に出てしまったのか――こうした違いが過失割合に影響します。

さらに、車がどの位置からどのタイミングで出てきたのかも重要なポイントです。

通路側の車から見て回避できる距離だったのか、それとも急に飛び出してきたように見える状況だったのかによって、「回避義務」があったかどうかの判断も変わってきます。

このようにドライブレコーダーの映像がある場合、単に「ぶつかった」という結果だけでなく、事故に至るまでの一連の動きが細かく分析されるため、過失割合もより現実に即した形で算定されるのです。

その結果、「駐車場だから5:5」という大まかな判断ではなく、状況に応じて大きく差がつくケースも少なくありません。

「敷地内だから大丈夫」そんな油断が過失差につながる

駐車場事故は、速度も低く大きな事故になりにくいため、つい軽く考えられがちです。しかし実際には、状況によって過失割合に大きな差がつくことも珍しくありません。

特に、駐車区画から出る場面では、通路を走行する車から見ると「突然出てきた」と感じられやすく、わずかな確認不足がそのまま過失の差として表れます。

だからこそ重要なのは、「見えているつもり」で動かないことです。通路の車の動きをしっかり見極め、無理に出ず、確実に安全が確認できてからゆっくり発進する――その一手間が事故の有無だけでなく、その後の過失割合にも大きく影響します。

駐車場は誰もが気を緩めやすい場所ですが、事故のリスクが高い場所でもあります。

「敷地内だから大丈夫」という思い込みを捨て、公道と同じ意識でハンドルを握ること。

これが結果的に、自分を守る一番確実な方法といえるでしょう。


筆者:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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