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「図面では91cmなのに…」新築バルコニーで洗濯物を干すのに“カニ歩き”…一戸建て住宅に潜む“落とし穴”

  • 2026.3.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、元注文住宅営業マンのホリカワです。

家づくりにおいて、リビングやキッチンの間取りには時間をかけますよね。一方で、意外と「なんとなく」で決めてしまいがちなのがバルコニーです。

間取り図上で「奥行約90cm」と記載されているバルコニーを見て、「これだけ広さがあれば、洗濯物もたくさん干せそうだし十分だろう」と判断する人が少なくないのです。

しかし、いざ完成したマイホームでバルコニーに足を踏み入れた瞬間、「あれ、思ったより狭い……」とショックを受ける人も。なぜ、そんなことになるのでしょうか?

この記事では、一戸建て住宅の「奥行90cmのバルコニー」に潜む落とし穴と、後悔しないためのチェックポイントをご紹介します。

なぜ「図面と実物」でギャップが生まれるのか?

なぜ、図面では問題なさそうに見えたバルコニーが、実物では狭く感じてしまうのでしょうか。

そこには、建築図面特有の「読み方の落とし穴」があります。

知っておきたい「芯々寸法」と「有効寸法」の差

たとえば一般的な木造住宅の場合、図面に記載されている「91cm(910mm)」という数字は、柱の中心から中心までの距離を示す「芯々(しんしん)寸法」です。

しかし、実際のバルコニーには壁の厚みがあります。その厚みを差し引くと、実際に人が立てるスペース(有効寸法)は「75cm未満」まで狭まってしまうケースもあるのです。

洗濯物を干すと、残る通路はわずか30cm前後?

さらに、ここに物干し竿と洗濯物が加わります。有効寸法75cmから、ハンガーにかけた洗濯物の奥行(約40~50cm)を差し引くと、残りの通路幅はわずか30cm前後。

一般的に、人が快適に移動できる通路幅の目安は60cm程度といわれています。洗濯物を干した状態のバルコニーでは、移動しようと思うと体が洗濯物に当たってしまうでしょう。

カニ歩きで移動しながら洗濯物を干す様子を想像してみてください。ストレスがたまるのではないでしょうか。

狭いバルコニーほど掃除のハードルも上昇

また、狭いバルコニーは掃除がしにくいというデメリットもあります。ホウキがけや排水溝の掃除をする際に、窮屈な思いをするでしょう。

掃除が面倒になると、結果的にゴミやホコリが溜まったまま放置されやすくなります。せっかくのバルコニーがそんな状態になってしまうのは、とても残念なことです。

快適さを左右するのは「横幅」よりも「奥行」

一般的な日本の住宅設計では「半間(はんげん)=91cm」をひとつの単位(モジュール)として考えるため、バルコニーの奥行も自然と「芯々寸法で91cm」になりがちです。

しかし、使いやすいバルコニーにしたいのであれば、半間に「45.5cm(半間の半分)」を足し、奥行136.5cmにできないか検討してみてください。

芯々寸法で136.5cm程度を確保できれば、有効寸法はおよそ120cm前後になることが多いです。もしも奥行をこれだけ確保できれば、バルコニーの可能性も一気に広がります。

たとえば空いたスペースに椅子を置いて夕涼みをしたり、観葉植物を並べたり。工夫すれば最近人気の「ベランピング」も楽しめるでしょう。

もちろん、バルコニーを広げるにはコストがかかります。建築費用が数十万円アップするかもしれません。

しかし、「毎日使う場所」としての利便性と、そこから生まれる心のゆとりを考えると、「ムダな費用」ではなく「投資」になるのではないでしょうか。

「バルコニーをつくらない」という攻めの選択

最近では、思い切ってバルコニーを廃止し、その代わりに室内に「ランドリールーム」を設け、「洗う・干す・たたむ・しまう」を屋内で完結させるご家庭が増えています。

バルコニーをなくすことで建築コストを抑えて、浮いた予算でガス乾燥機や浴室暖房乾燥機を導入するケースも。

とくに共働きで気軽に外干しできないご家庭や、お子さんが多くてまとめ洗いが必要なご家庭には、このような選択肢が暮らしのクオリティの底上げにつながることもあるでしょう。

ちなみに、ガス乾燥機の向き・不向きや設置の可否は、各家庭によって異なります。設置条件や洗濯スタイルを考慮しながら、採用するかどうかよく検討することをおすすめします。

まとめ:家づくりのストレスは「有効寸法」で解消する

間取り図を見るとき、どうしてもLDKや寝室など「居室」に注目しがちです。バルコニーの使い勝手にまで細かく気を配れる人は、じつはそれほど多くありません。

しかし、洗濯はほぼ毎日発生する家事です。バルコニーの奥行が十分でないと、毎日の洗濯がストレスになることもあります。

そんなことにならないよう、ぜひ間取りを検討する際にはバルコニーの奥行にも着目してみてください。

担当者に、間取りが確定してしまう前の早い段階で「有効寸法はどのくらいになりますか?」とひと言聞くと、図面では見えていなかった現実が見えますよ。


ライター:ホリカワ ダット
注文住宅の建築会社に営業職として従事したあと、ライターとして独立。年間200組以上の家づくり相談に携わった経験をもとに、「マイホーム取得を少しでもラクに」をテーマに、住宅ジャンルの記事を幅広く執筆中。インテリアコーディネーター/1級カラーコーディネーター(商品色彩)資格保有。


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